ネムとの出会い
我が家には野良出身の先住猫がいました。
12年が経ったある春、老衰のため亡くなりましたが、最期の2ヵ月程は家族全員で介護に徹しました。食事がとれなくなっていましたが、ヨーグルトは最後までペロペロと舐めてくれたのを覚えています。
しっかりペットを看病して看取ったのは初めてのことで、家族全員心にぽっかりと穴が開き、ペットロスになりました。
1ヵ月後、特に次の家族を探している訳でもなかったのですが、知り合いから「保護猫が3匹いるので、誰か飼ってくれる人はいないか」と連絡がありました。
友人にも興味があるという人がいたので、とりあえず3匹に会わせてもらうことになり数日後、保護している知り合いが、我が家に連れてきてくれました。
里親を探している3匹は、おっとりとした白猫の姉妹と、活発なメスのキジシロでした。1匹ずつケージから出し、抱っこをさせてもらいました。それがネムとの出会いです。
愛猫の誕生の状況は知ることが出来ない
私たち家族は大の動物好きです。特段新しい家族を迎える気はなかったものの、愛らしい子猫たちを目の当たりにして、心は揺らぎました。そして気付くと里親になることに…
いままで猫を買った経験もあり、ある程度エサや道具も揃っていたため、その日そのまま我が家の子になりました。
我が家に迎えることになったのは、メスのキジシロ。おっとりした白猫姉妹は出来れば離れず一緒に飼ってあげた方が良いのではないかという思いと、活発なキジシロちゃんのピョンピョン飛び跳る姿を見て、愛猫を失った心の穴がスーッと埋まっていたのが大きな要因でした。
そうして家族に迎えることになったキジシロは”ネム”という名前に決まりました。ピョンピョン飛び跳ねた後はぐっすり眠る、そんな猫らしい姿から名付けました。
猫らしく愛らしい子猫を迎え家族みんなに笑顔が戻りましたが、一つだけ残念なことが。
それは、出生の状況がわからないことです。
どうしようも無いことですが、やはり家族として知りたいことですよね。ペットショップやブリーダーさんから子猫を購入する場合は、親から出生日、出生場所まできちんと情報が残されています。我が家に来たネムは親はもちろん、出生日も全く分かりません。
生まれた場所もわからず、一番最初の情報は保護した人の畑で足元に付いてきたこと。
「きっと家族と離れたんだろうね」「活発な子だからはぐれちゃったんだろうね」と想像するしかないのです。それが唯一の悔やまれる事です。しかし、これから新しい家族、彼女の本当の家族としていっぱい一緒に過ごそうと決めました。
今の暮らしぶり
ネムが家族になって12年になります。12年前、ピョンピョン飛び跳ねていた子猫は今では我が家を支配するボスとなっています。
我が家ではネムを迎えた後、さらに2匹の保護猫を家族として迎えています。ネムはもの凄く友好的という訳ではないので馴染むには時間がかかりましたが、今では2匹を従えています。
大きな病気もなく過ごしてくれて、私たち家族も嬉しく思っています。ペットというのはお世話が大変です。しかし、それ以上に愛情や癒しをくれます。これからも元気に我が家を率いてほしいものです。