カラスが落とした「たぬき」
夜遅くに母から「家にたぬきみたいなものが落ちてる。助けてあげて」と電話ありました。
私は「たぬき?」と思いながら主人に車を飛ばしてもらい、実家まで向かいました。
母は「1日中たぬき(?)が鳴いていて、そばでカラスがじっと見ていた。夜になりカラスに食べられてしまうのではと思い助けたけれど、育て方がわからない。ミルクを与えても飲まない。このままでは死んでしまうのでは?と思い電話した」とのことでした。
箱の中には小さな小さなな真っ黒な塊がいて、目だけがぎょろっとして、必死に鳴いていや叫んでいました。
小さなしっぽにはカラスについばまれた跡が残っていたので、カラスに捕まり、落ちたところが実家の庭だったようです。
次の日、動物病院につれていき、診察してもらいました。
その際、先生から「この子猫、飼われますか?」と聞かれ、「そのつもりです」と答えると「あなたの家族に会うために来たんだね。良かったね」と子猫の頭を撫でながら言って下さった事が忘れられません。
大変だったミルクのお世話
うちには親子の猫が3匹います。アース君(パパ)と小梅ちゃん(ママ)、杏子ちゃん(娘)です。小梅ちゃんはあんちゃん(杏子ちゃん)含め5匹の子育てを終えたところでした。
小梅ちゃんの出産に合わせて、万が一のことを考え、夫婦でへその緒の切り方や赤ちゃんの膜の取り方、呼吸のさせ方等色々と学習しましたが、小梅ちゃんは一人で出産し最後まで子育てをやり遂げました。
そんな小梅ちゃんなので、もしかすると小梅ちゃんの母性本能が復活しそらちゃん(保護猫)を育ててくれるのでは?と甘い期待をしておりました。しかし会わせた途端、その甘い期待は一瞬に消えました。
しかたなく自分たちでお世話をすることに。何十年前のムツゴロウさんのテレビの受け売りで、哺乳瓶でミルクを与えようとしましたが、そらちゃんは自力で飲むことができなかったので、スポイトや注射器で少しずつ与えました。
飲んだあとは濡れティッシュでお尻を軽く叩き排便をさせました。子猫のミルクは3~4時間ごとですが、当時は私も働いていましたので、朝と夜、そして夜中に与えることにしました。この頃の会話はムツゴロウさんが出ずっぱりでした。
大変でしたが、息子にも手伝ってもらい、充実した日々を過ごし、家族皆で育てあげた!と感じました。それと同時に5匹を育て上げた小梅ちゃんのすごさにも感心しました。
これは余談ですが、保険に入るため生年月日が必要になり、小梅ちゃんの子猫たちの記録をもとにして計算しましたが、今考えると体重ではなく外見(目の開き具合、耳の角度等)で判断した方が良かったかなと思います。
家族だけに甘えん坊のそらちゃん
そらちゃんは我が家のアイドルです。そらちゃんは4kg近くあり、猫としては平均的なサイズ。
でも先住の3匹の猫はメインクーンでアース君と小梅ちゃんは7kg以上、あんちゃんも6kg近くあります。メインクーンの中では小さいですが、やはり日本猫とは全く違います。
その3匹の中にいるとそらちゃんが小さく感じることもあり、すぐに抱っこしてしまいます。
そらちゃんは人間に育てられたせいか、一番人間に近寄ってきます。また嬉しいことに、一緒に住んでいる家族にだけ寄ってきて抱いてほしいと甘えた声で鳴くのです。
ちなみに命の恩人の母が抱っこすると「うー」と怒りだすので、毎回母に「誰に助けてもらったと思ってるの!」と言われ、皆で大笑いしています。
そらちゃんが来て、家族が同じ場面で笑うことがとても増えました。
猫の格付け、平和的解決
最初は先住猫とどうなるかと心配しましたが、4匹とても仲良しです。
アース君が大黒柱になり小梅ちゃん、あんちゃん、そらちゃんと格付けがあるようで、食事の際その順位がわかります。
そらちゃんは誰よりも食事が速く済むので一番最後に渡すのですが、それでも一番最初に食べ終わります。するとあんちゃんや小梅ちゃんのところにご飯を奪いに行きます。
でもアース君にだけは態度が違い、アース君が食べ終わるまで隣に座り、いなくなったら残りをもらう。遊びもアース君が遊んでいる時はそばで見ているだけです。
これだけだとアース君を怖がっているように思いますが、そらちゃんが寝たい場所でアース君が先に寝ていると一緒に寝るので、仲が悪いわけではないようです。そらちゃんが一人で寝たい時は、なめなめ攻撃。アースくんがその場所を離れるまでひたすら顔中なめてまわし、移動させます。とても平和的なやり方だなと感心しています。
さいごに
そらちゃんと呼んでいますが、「そら」って名前は男の子が多いですよね。
私たちは、空から降ってきたからそらと名付け、顔を見て男の子だしちょうどいいね。と思い、そらと名付けました。しかし、そらちゃんは女の子でした。
赤ちゃんの折は性別が分かりにくいと言われ、うちの5匹の子猫たちもなかなか性別がはっきりしませんでしたが、待てど暮らせど男の子のアレが出てきません…。どの写真を見ても男の子にしか見えませんが、誰よりも元気な女の子の保護猫です。
人間は自分で命を絶つことができますが、猫(動物)はできません。どんなに過酷な状態でも必死に生きます。生き抜こうとします。その姿を間近に見て、そのお手伝いを少しでも出来たらと思います。