やんちゃな保護猫「のり」が教えてくれたこと

やんちゃな保護猫「のり」が教えてくれたこと

第二の人生が始まって数年、慣れない環境や地理も分からない私の元へやって来た保護猫のりとの出会いをお伝えしたいと思います。

保護猫のりとの出会い

小さい頃ののり

結婚し、夫の実家生活が始まって三年経っていました。その頃、夫は20年一緒だった愛猫が亡くなり、寂しい思いをしていました。新しい子を里親で迎え入れたい気持ちがありましたが、家族の反対があり、猫と暮らす事は到底叶わないのだろう、と私は諦めていました。

そんなある日、目をキラキラさせた夫が「会社の知り合いが里親の募集してる!」とやや興奮気味に知らせて来ました。白と黒の兄弟で、どっちもお迎えしたいと言うのです。

反対している家族を説得するから、と写真を見せられました。それはもう、天使だと思うほど可愛く、今すぐにでもお迎えしたい気持ちがありました。ですが、その時の私は転職途中で、畑違いの職場に転職しようとしていた為、簡単に了承出来ませんでした。

一日考えさせて欲しいと夫に伝えると、今までそんな顔を見たことあるだろうかと思うほど悲しい顔をしていました。それでも、私はお迎えするにあたって、今の自分がちゃんと世話を出来るほど余裕があるのか自問自答していました。新しい職場に馴染めなかったら、子猫に当たってしまうかもしれない、疲れて構ってあげられないかもしれない。夫は仕事柄忙しい人だから当てには出来ない、と悪い事ばかり考えたのです。

自分の実家で暮らしていた時は何も考えずに子猫を迎え入れていました。親も大変な猫好きだったため、家族全員でお世話できていたからです。ただ、今は実家とは違う。殆ど一人でお世話しなきゃいけない、そんな責任感がぐっと感じられました。けれど今のチャンスを逃すと猫の居る暮らしに戻れないのではないか、と思い至った瞬間、答えは出てしまいました。

翌日、夫にお迎えする決断を伝えると、それはもちろん大喜びでした。夫の家族にも了承してもらい、お迎えする事になったのです。ただ残念な事に、黒猫の方は私が考えている間に里親が見つかり、白い方の子猫だけをお迎えする事になりました。それが「のり」です。

やんちゃすぎる「のり」

寝そべって腹を見せているのり

怖がり屋な所のあるのりでしたが、すぐに家族とも慣れ、やんちゃな所も見せてくれるようになっていきました。

台所や洗面所などに立っている家族の肩に飛び乗って来るほど好奇心旺盛でもありました。その時の勢いときたら!

小さいながらもどこにそんな力があるのかというほど、何度も背中に引っかき傷を立てられました。ただ、あまりの痛さに家族からの不満が漏れるようになってしまいました。そしてとうとうのりの悪戯を発端として、夫と義母の大ゲンカが起きてしまったのです。

普段は声を荒げるような夫ではなかったのですが、その時初めて夫が声を荒げる所を見てしまいました。それだけ、思うところがあったのでしょう。そして夫が実家から出ることを決意しました。私は、お互いにストレスになるのならそれが良いと反対せず、二人と一匹で暮らすことになりました。

現在ののり

やんちゃさは相変わらずですが、肩に乗ってはいけないと理解してくれ、手足で遊ぶ際は手加減を知るようになりました。

こうやって、のりの成長を温かく見守れる環境が凄く幸せだと実感しています。

今では甘えモードの時は夫にお腹を摩られてゴロゴロと和むほどです。私とは兄弟かのように追いかけっこを楽しめるほど、のりにとっては良い環境になっています。

まとめ

布団に居るのり

のりを迎え入れる際、環境や自分の置かれている状況で悩んでいました。その結果、夫の実家を離れる事になってしまいましたが、今はむしろ家族間の関係がより良好な状態になっています。

というのも、ケンカしてしまった義母は猫が嫌いな訳ではなく、むしろ猫が好きな方だったのです。義母は昔、道路でうずくまっている子猫を保護した後、お婆ちゃんに反対されても育てていた人です。その子猫と20年という歳月を過ごし、亡くなってしまった時も涙を流していました。

のりをきっかけとして起きた家族間のいさかいでしたが、それと同時に、私たち家族はのりをきっかけとしてそれぞれの気持ちを慮る機会を得たのです。

思い返してみればお義母さんも当時、愛猫を亡くしたばかり。戸惑いや複雑な心境でのりと関わっていたのかもしれません。時に人間関係は距離を置くことも大事ですが、家族となるとなかなかそうはいきません。しかし結果として、のりのやんちゃな遊び心が、適切な心の距離の測り方を私たち家族へ教えてくれたのです。

今では夫の実家から野良猫を保護してると報告があり、なんだかんだ言いつつも猫が好きな家系なのだなと、私はお義母さんの話を聞きながらのりを撫でているのです。

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