20頭以上の多頭崩壊のおうちからのレスキュー
ハチわれくんとサバトラの猫の中で、居場所なく見えたシャルル
里親サイトで、不安げな顔で写っていたシャルルが気になり、一か月ほど様子を見ていました。まったく応募される様子がなく、思い切って里親募集の依頼をしてみました。
びっくりするくらい早いレスポンスで、1/17なら引き渡せますとのこと。悩む暇もなく引き取りが決まりました。
多頭崩壊のおうちでの生活と引き渡し
引き渡し当日、本当に来るのかな?と不安ながらも無事保護主さんと会え、我が家に来る「シャルル」と初多面です。引き受ける前から、シャムっぽい柄だからとシャルルと命名させてもらっていました。
保護主さんから差し支えなければと事情をお伺いさせていただきました。
実は保護主さんの親御さんが、去勢・避妊をせずどんどん増えてしまい、現在23頭で猫屋敷になっており、近所からの苦情で今年いっぱいで家を出るため、親猫含め、引き取り手を探しているということでした。
おうちでの生活の様子を聞くと、ご飯は一日一回。トイレは一週間に一度しか掃除されていない環境ということでした。
もちろん、ノミ駆除やワクチン等はまるでされていない状態です。
段ボールに入れられて渡されましたが、家にあったキャリーに乗せ換え、家路につきました。
私より多分少し年齢の高い方などの意識では、猫を去勢や避妊手術するとかワクチンを打つなんていう意識がないのかもしれません。ただ、どんどん増え続ける猫をかわいがりながら、限界を迎えたのかな?と思います。
自宅での最初の生活スタート、ケージを買っておけばよかったと後悔
引き取ったのが夜だったので、夜遅くまでシャルルが少しでもなじむように観察しつつ、放っておくという微妙な状態。
もともとケージなどは用意せず、自由にしてもらえばいいのかな?という気軽さでしたが、突然広いおうちにやってきて、さらに仲間もいない環境でシャルルはものすごく怯えて物陰に隠れたまま動けない状態となってしまいました。猫の習性から、ケージがある方が安心するというのは後になってわかりました。
いったんは私の部屋だけで自由にさせましたが、狭い隙間から出てこないまま、ご飯も食べられず、水も飲めずだったので、ひとまず隠れている場所にあった棚を寄せ、そこからご飯が食べられるよう設置。
なんとか首だけ出してご飯を食べていました。
心配なのはトイレですが、隠れている場所のほうにトイレを向けて、人から見えないように設置したところ、そっと動いてトイレを済ませていました。
そして、そのままの場所で朝を迎えました。
本来はお昼に迎え、動物病院へ連れて行ってからのほうが猫には安心
いろんな猫サイトに書いてありますが、本当は昼間に迎えて病院等で検査をし、それから自宅へ連れてきた方が猫には負担が少ないそうです。
シャルルの様子を見て、確かにと思います。
猫を迎えるために必要なもの
- ケージ(なくてもいいと思えますが、実はあるとその後のしつけにも有効です)
- 猫トイレ(一頭につき1個プラス1)
- トイレ用猫砂(2種類用意しておくと安心)
- 餌
- 食器(餌用1個、水用2~3個)
- 猫じゃらし(餌で見つけられない場合、本能を刺激しておびき寄せられます)
- ひざかけ毛布(隠れ場所や猫ちぐら的なものを作れるよう3~4枚)
- 猫がぴったりおさまるくらいの段ボール、または箱
- 猫トンネル(猫ちゃんの性格によりますが、隠れながら移動できる場所があると早く家になじんでくれます)
部屋を解放して探検開始
朝になって、私の部屋でご飯の場所を少し隠れている場所から離してみたら恐る恐る出てきました。
そしてしばらくすると、部屋のいろんなところを探検開始。
部屋の広いところを移動するのが怖かったらしく、猫トンネルを設置したら、その中をくぐりながら探検していました。
家に来たタイミングで発情&ノミ発見!!
シャルルはどうやら発情していたらしく、怖がるのになぜかくねくねごろーーーんと撫でてアピールだけが活発な状態。そのおかげで撫でたり、くしでグルーミングできたので、助かりました。
最初ノミは見当たらなかったのですが…3日目。なんだか床に黒い物体が動いているのを発見!!!
その後、シャルルの背中をノミとり櫛で撫でると3匹くらいのノミが出てきました。
熱湯に中性洗剤を入れたものの中にノミを入れ、すぐ動物病院へ連絡。合わせて検査もしてもらうことになりました。
ノミ駆除の方法
ノミはつぶすと卵を産んでしまい、それが大発生につながります。みつけたらつぶさず、熱湯に入れると気絶します。完全に息の根を止めるには、熱湯プラス中性洗剤を入れた入れ物に沈めたほうがいいです。
ある程度、ノミを取ったら病院で駆除剤をつけてもらうと、猫の体に残った卵まで殺せます。ノミの卵が孵化するまでは2週間から何か月も…なので、一匹見つけたら3か月くらいは確実にノミ駆除剤を続ける必要があります。
病院でワクチン接種プラスノミ駆除
もらってきた経緯を説明し、出がけにフレッシュな便も排泄していたので、併せて検査用にもっていきました。ノミがいたということでまず駆除剤をつけてもらいます。
それから、ワクチン接種。
避妊手術時に血液検査を予定しているので、3種混合タイプにしてもらいました。
全体的に気になることを話すと結膜炎だったので、目薬も処方してもらいます。
合計6440円。
猫を引き受け、ワクチン未接種の場合だいたい5000円程度がワクチン代です。
ノミ駆除剤はお腹に虫がいる可能性もあるので、どちらも駆除できる「ブロードライン」をつけてもらいました。普通のノミ駆除だけの場合は、もう少しお安いです。
シャルルは体が小さいので、駆除剤の量と場所が舐められる範囲だったらしく、病院から戻る際、キャリーの中で泡を噴いてしまっていました。
※猫は苦いものを舐めると泡状のよだれを流します。多量に薬を舐めた場合は吐いてしまったりするので、その際は動物病院へ連絡して対応を相談してください。
しばらく様子を見ても、吐く様子はなかったので、そのまま様子を見ることにしました。
病院ではワクチン接種したので、激しい運動は禁止。またぐったりしたり、食べないなどあればまた来てくださいということでした。
野良猫や保護猫の保護の際気にすること
ノミ
これは確実にいます。ノミ取り駆除剤をしてもらっていない猫ちゃんは早めに病院で駆除剤をつけてもらうのがおすすめです。
ネット等で購入できるので、もし自分で猫を触れる人はあらかじめ手元に用意しておいてもいいかもしれません。
回線虫などお腹の虫
おなかの虫は「内部寄生虫」または「腸内寄生虫」とも呼ぶように、動物の腸内(主に消化管)に寄生する虫のことをいいます。主なものに「回虫<かいちゅう>」「鉤虫<こうちゅう>」「鞭虫<べんちゅう>」「瓜実条虫<うりざねじょうちゅう」などがいます。
ノミの卵を食べてしまうことで「瓜実条虫<うりざねじょうちゅう>」(幼虫を持ったノミ(中間宿主)などを飲み込むことで感染する。腸の粘膜に体を固定し、体の表面から栄養分を吸収する虫)がいることもあるので、便の様子を気にしてください。
便の中に白いものが見えたり、お尻から白い糸上のものが見えたら虫ですので、動物病院で駆除剤をもらってきちんと駆除したほうがいいです。
お腹の虫は放置すると栄養を取られてしまったり、猫にとって苦しい状態が続いてしまうので早めに対応してあげてください。
こたつで駆除剤が揮発!!!
シャルルが落ち着く場所としてこたつがあったのですが、冬の季節のこたつは要注意でした。
息子とこたつでまったりしていたシャルル。あまり動く気配がないのも、ワクチン接種のせいかな?なんて思っていました。
しかし、まず息子が気持ち悪いと言い出します。
はじめはインフルエンザかな?風邪かな?なんて思って息子の様子を見ていましたが、こたつの中を私が5分くらい覗いていたら、私も気持ち悪くなってしまいました。
あ、駆除剤が揮発しているんだなと気づき、慌ててこたつを切り、部屋の換気。シャルルもこたつから出して、様子を見ます。
水を飲ませても吐かないので、とりあえず大丈夫という判断でその日を過ごしました。
後日、動物病院でこたつで揮発して具合が悪くなったと伝えたところ、病院でも盲点だったわ!と言われました。
冬の駆除剤後、こたつは切った方がよいです。
発情が激しくなり、マーキング開始。避妊手術することに
ワクチン接種から1週間ほど経って、シャルルが粗相しはじめます。する場所はいつも私の布団の上。
実は初日に一度羽毛布団で粗相したのですが、その後は大丈夫だったので安心していました。
猫にとって沈み込む=猫砂の感覚なので、そのせいかなとも思いましたし、さらに多頭崩壊のおうちで一週間に一回しか交換しない猫砂ならば、気に入らないときは布団でしていたんじゃないかな?と思っていたのです。
様子を見ていると、気に入らないことがあると私の布団を狙います。
布団に上がるたびにトイレに入れるとすぐおしっこをするんですが、量が少ない。ああマーキングされているなと思い、動物病院に連絡して発情していてマーキングを始めたので避妊手術してほしいことを伝えました。
※病院によっては、発情時には手術しない病院もあります。詳しくは病院の先生と相談して決めてください。
発情期の雌猫の様子
シャルルは発情だったので、とにかく撫でてほしい欲求が恐ろしさより勝っていたようで、あんなに怖がっているのに、突然コテンと横になり撫でてほしいとアピールしていました。
撫でてあげると、ひたすらゴロゴロ転がり、あっちを撫でて、こっちを撫でてという感じでずいぶん撫でられるの好きなんだなと思っていました。
鳴き声が小さい猫ちゃんだったのもあり「あおーーん」というより「うなー」と鳴いてゴロゴロしていたので、発情期特有の鳴き声には気づきませんでした。しかし、だんだん腰を上げたり、お尻周りを触るだけでゴローンとしてしまうので、これは…と発情に気づきました。
- 撫でてほしがる
- 体をくねらせてアピールする
- 大きな声で鳴く
- お尻を上げてしっぽを寄せる(オス猫を受け入れるポーズ)
とにかくくねくね体をくねらせてアピールしていました。
避妊手術前日、絶食ができない
シャルルはもともと1日一回の食事だったということで、我が家に来た際は餌をあげても食べるのを途中で切り上げ、餌に砂かけをはじめていました。
多分、もともとすごいきれい好きな猫だったんでしょうね。トイレも早く片付けて!というアピールがすごいです。砂かけも上手できっちり大きい方は隠します。
ご飯が残っていると、近くを通るたびに砂かけをするので、いったん引き上げ、少し食べては隠すというのを繰り返し始めていたのが、避妊手術前です。
夜22時から絶食ということでしたが、この調子ではちょっと難しい…気に入らないと布団におしっこもするという状態のため病院に相談し、前日から入院させていただきました。
病院に預け、頑張ってねと声をかけ、一晩入院。
避妊手術終了
手術の翌日、朝いちばんでお迎えに行きました。
私の声を聴くとにゃーにゃーアピール。先生に術後の状態を見せてもらい、いろいろ説明を受けている間もにゃーにゃにゃと甘えている感じでした。
- 完全血球計算、血液化学検査、尿検査
- 猫白血病ウイルス抗原/猫免疫不全ウイルス抗体の同時検査
まずは、病気がないかを確認のため、上記の血液検査を依頼していました。
血液検査の結果を聞き、猫エイズ、白血病は陰性ということでひとまず安心です。
カラーをとても嫌がり、首を掻いてしまったので、爪を切りましたとの説明。家に帰ったら、首の一部の毛が剥げてしまっていました。
避妊手術と血液検査で30500円。
こちらの病院では、非常に良心的な値段で避妊手術をしてくださっているので、通常よりも全体的にお安いかもしれません。
カラーもかわいそうなので、家では術後服を準備して着せてあげていました。
術後服は正確なサイズを測って購入するのがおすすめ
シャルルはあっという間に手術することになってしまったので、体のサイズを測っていませんでした。術後服をいくつか購入したのですが、明らかにサイズ違うというのが2つもあったので、手術前に首周り、胴回り、背中の長さを測っておいた方がピッタリのものが購入できると思います。
結局、自作で作った術後服を一番長く着せることになりました。
まとめ
20年前から保護猫を迎える知識などもだいぶ変わってしまっているなという印象です。
特にケージの用意については、不要と思っていましたが、今思えば最初から準備してある方が猫も安心だっただろうなと感じています。ケージは後から準備しましたが、我が家では上で寝るだけの大きなベッドとなってしまっていました。
実は独立した次男が、ペットロスから突如ペットショップで猫を飼いはじめていて、その後我が家でシャルルを迎えました。ちょうど次男の家で事情でケージが欲しいというので譲ったのですが、次男の猫を入れたらものすごいなじんでいて、初めての場所に連れて行っても、ケージがあると猫が安心するんだというのを体感しました。
ケージを設置する際、次男の家にシャルルも連れて行ったのですが、やはりケージに一緒に入れても、お互いに上と下でそれぞれ過ごしていたのでケージは大事だなと本当に実感しました。
シャルルは一度、ものすごい狭い隙間に入ってしまい、出られなくなり4時間くらい見つけられないことがありました。ケージに入れておけば、猫はケージ内で思い思いの隠れられる場所にいるので、どこいった?と探すこともありません。
先代猫は体重コントロールできず7.5キロという大きさだったので、シャルルについてはきちんと体重コントロールしてあげたいかなと思っています。シャルルが自分でコントロールしているふしもありますが…また健康で長生きしてほしいので、できる限りのことをしてあげたいなと思っています。
我が家に来た経緯は、多頭崩壊のおうちからそのまま我が家へという流れ。保護猫活動等からの受け入れではありませんでした。それでも、殺処分される可能性のある猫を受け入れたことに変わりありません。
保護猫を受け入れたときはまず動物病院へ行き、
- ワクチン接種
- ノミ、お腹の虫駆除
- 避妊去勢手術の相談
この三つは最低限必要だと思います。
我が家の新しい家族となったシャルルが幸せになれるようしっかりお世話してあげたいと思います。
そして、少しでも殺処分される猫ちゃんが減って、みんなが幸せになれる社会になればいいなと心から思います。