強烈な現場の状況
捜査・救出
この細身のきれいな黒白猫さんは「アレックス」です。とても人が好きです。
アレックスは、ミシシッピ州にある小規模な遊園地のような施設の中の、生きた猫の展示コーナーで、ケージに入れられていました。
34匹の猫と55匹の犬が、展示品として監禁され、ひどいネグレクトの状態に置かれていました。
捜査令状を手にした地元警察からの要請で、動物愛護団体Humane Society of the U.S.(HSUS)は、全ての猫と犬を救出し、協力団体と共に、彼らをシェルターで保護しました。
大がかりな救出の前の、入念な打ち合わせ。
適切な世話がされていなかったのは、一目瞭然。すべてのケージがこんな状態でした。
建物内は非常に空気が悪そう。伝染病など、すぐに蔓延しそうな環境です。
そしてこれが、現場で発見された時のアレックスです。
遊具や目を引く置物が無常感をかもし出します。
現在のアレックスについて、HSUSのスタッフは言います。
「アレックスには、猫としてあるべき姿を取り戻してほしいです。こうしていつでも人と交流できるということに、これから慣れていくのです。アレックスは、それを求めていますから。」
猫たちの健康診断や適性検査、しつけなどのステップを踏んでから、里親さん探しが始まるでしょう。
この事件のまとめ
このケースについてインターネットで情報を探したところ、施設の所有者は高齢の夫婦で、動物虐待の疑いで裁判になっていることがわかりました。この救助活動の様子はテレビニュースでも紹介され、夫婦は逮捕・連行されましたが、彼らは虐待の事実を否定しています。おそらく本心から、動物の飼育とはこういうものだと思っているのでしょう。
HSUSを始め、この救出活動にたずさわった組織が裁判で証言し、資料を提出しています。
資料の中で、「キティ・シティ」の状況は次のように説明されていました。
「コンクリートブロックの建物の中は強烈なアンモニア臭に包まれ、猫が入れられたケージが天井まで積み上がっていました。ケージの中に猫のトイレ、水、エサはなく、毛布に糞尿がこびりつき、猫は糞尿にまみれていました。」
17匹の遺体も発見されたそうです。(おそらく犬と猫の両方。)
また、ミシシッピ州は動物虐待に関する罰則が米国の中でも非常に軽く、この夫婦が罪に問われたとしても、大した痛手ではないのかもしれません。HSUSをはじめとした各種団体は、継続的に法律の整備を訴えています。
施設の極限状態と、その中から救出された1匹、アレックスを動画でご覧ください。
動画を見ることは保護活動支援につながります。
※こちらの記事は動画の制作・配信をしている団体より許可を得て掲載しております。
動画制作者:Humane Society of the United States
掲載YouTubeチャンネル:The Humane Society of the United States