アメリカンショートヘアのかかりやすい病気と予防法

アメリカンショートヘアのかかりやすい病気と予防法

アメリカンショートヘアはその昔いろんな種類の猫と交配されてきたため、遺伝性の病気は少ないと言われています。しかし、生活習慣が病気につながることも…!アメリカンショートヘアはどんな病気にかかりやすいのでしょう?

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

アメリカンショートヘアがかかりやすい病気一覧

  • 多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)
  • 糖尿病(とうにょうびょう)
  • 関節疾患(かんせつしっかん)
  • 肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)
  • 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
  • 急性腎不全(きゅうせいじんふぜん)

アメリカンショートヘアが遺伝的にかかりやすい病気

アメリカンショートヘアの子猫

アメリカンショートヘアは純血種ではありますが、様々な猫種と交配されてできた猫種なので特有の遺伝的な病気が少ないです。

多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)

この病気は、成長とともに腎臓内に液体が溜まった袋状のもの(←これが嚢胞)が発生し、最終的に慢性腎不全となって死に至る病気です。生後1~2ヶ月の頃から嚢胞は形成されます。
少数の嚢胞であれば腎臓に大きな負担は与えないですが、大きくなったり数が多くなったりすると正常な腎臓の機能が失われます。
アメリカンショートヘアやスコティッシュフォールド、ペルシャ系の猫種に多発する遺伝性の腎臓病です。親のどちらかの遺伝子に異常があると、50%の確率で子猫に遺伝すると言われています。

症状

初期の頃は無症状で、進行して慢性腎不全になってしまうと

  • 食欲がなくなる
  • 多飲多尿
  • よく吐くようになる

などの症状が出てきます。

対処

この病気は遺伝病なので、現在完治させる有効な治療法は見つかっていません。病気が進行した時に出てくる慢性腎不全の症状に対して対症療法を行うことしかできません。
しかし、早期発見できれば治療を早い段階で開始することができ、延命につながります。この病気の診断には超音波検査が有効で、その診断率は生後10ヶ月の猫で90%以上。なので、生後6ヶ月~2歳くらいまでの間に複数回、超音波検査を受けることで早期発見することができます。

肥満が原因のアメリカンショートヘアがかかりやすい病気

こちらを向いているアメリカンショートヘアの子猫

アメリカンショートヘアはよく運動をする猫種ではありますが、食欲は旺盛でもともと太りやすい体質なので肥満に気をつけなければなりません。肥満は様々な病気を引き起こします。

糖尿病

人の世界でも生活習慣病である糖尿病。猫も生活習慣による肥満が原因とされています。
通常、体を動かすために必要な栄養素である糖を膵臓から分泌されるインスリンがエネルギーに変えてくれますが、糖尿病になるとこのインスリンの分泌量が減り、糖を上手くエネルギーに変えられず血糖値が高くなります。
また、ストレスが原因となって糖尿病にかかってしまうことも。

症状
  • 多飲多尿
  • 食欲は増すのに体重は減る
  • 嘔吐や下痢
対処

毎日のインスリン投与と食事のコントロールによる治療を行います。
とにかく肥満とストレスにならないことが予防になるので、運動はしっかりさせて、ごはんはどれだけ愛猫が欲しがっても定められた量以上はあげないようにしましょう。年齢に合わせてフードを見直すことも大切です。

関節疾患や心疾患

関節疾患

アメリカンショートヘアは肥満になりやすいため、関節に負担がかかって関節炎や椎間板ヘルニアなど関節疾患を引き起こしやすいです。慢性的な痛みが続き、活発に動いたり遊んだりできなくなります。

心疾患

肥満は心臓に大きな負担がかかるため、様々な心疾患を引き起こす原因となります。

アメリカンショートヘアがかかりやすいその他の病気

あくびをしているアメリカンショートヘア

肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)

心臓の筋肉がどんどん厚くなって肥大してしまう病気です。この病気にかかると血管の中に血栓ができてしまい、詰まってしまいます。猫の場合、心不全や大動脈血栓塞栓症による後ろ足の麻痺、最悪の場合は突然死の原因になることもあります。
中年期から老年期の猫やオス猫に発症しやすいと言われています。

症状
  • 調子が悪く、じっとして動かない
  • 起き上がることができずに苦しそう
  • 呼吸が荒いまたは呼吸困難
  • 突然後ろ足を痛がるようになる

後ろ足を痛がったり、起き上がれなくなった時は病状も進行していることが多く、また発症していてもすぐには症状が見られないこともあるようです。

対処

この病気は一刻も早く病院に連れて行き、治療することが大切になってきます。遺伝病のため予防方法などはなく、定期的な健康診断や症状が少しでも見られたらすぐに獣医さんの診察を受けましょう。
症状が悪化している場合は検査も困難となり、外科手術も途中で心臓がもたなくなったり、成功しても再発率が高くなるようです。

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)

皮脂腺からの皮脂の異常分泌によって皮膚の角質化が進む病気で、アレルギーやホルモン分泌量の異常、寄生虫の感染など原因は様々です。
脂漏性皮膚炎には2種類あり、「油性脂漏症」と「乾性脂漏症」とに分けられます。

症状
  • 油性脂漏症体がベタついて脂っぽくなり、強い臭いを発する
  • 乾性脂漏症皮膚がひどく乾燥し、フケやかさぶたが増える
対処

原因に合わせた治療法を行います。
予防としては、皮膚を清潔な状態に保つこととストレスを溜めさせないこと。

急性腎不全

腎臓の機能が急激に低下する病気です。急性腎不全は猫下部尿路疾患による尿路閉塞や心筋症などによる心不全、中毒など様々な原因が考えられます。

症状
  • 食欲がなくなる
  • 元気がない
  • オシッコの量が減る or まったく出ない
  • 頻繁な嘔吐

治療が遅れると・・・

  • 脱水
  • 口臭がきつくなる
  • 嘔吐がひどくなる
  • 痙攣
  • 体温の低下
  • 昏睡

など尿毒症の症状も出てきます。

対処

急性腎不全は慢性腎不全と違い、早期発見できれば集中治療によって回復する可能性もあります。利尿剤や点滴、透析治療などが主な治療法ですが、原因によって手術が必要な場合もあります。
腎不全につながる感染症や尿路閉塞を起こさないようにワクチン接種を徹底することや食事などの管理をしっかりすることが予防につながります。

アメリカンショートヘアの病気についてまとめ

寝転がっているアメリカンショートヘアの子猫

「猫のコロコロした体型が可愛い」と甘やかして肥満にさせてしまう飼い主さんはたくさんいます。しかし、それが愛猫を苦しめる病気の原因となることを知っていたら、どの飼い主も甘やかしてコロコロ体型にはさせないでしょう。
アメリカンショートヘアは特に太りやすい猫種なのでより一層気をつけて、愛猫を病気から守ってあげましょう。

投稿者

女性 Keiko

アメリカンショートヘアーもよく飼われているねこさんだと思います。性格も穏やかでマイペース、結構人懐っこい子も多くみられますし、独特の柄もかわいいです。比較的飼いやすいねこちゃんなのかな、と思いますが、色んなねこちゃんと交配してきた歴史があるようですね。ということは、色んなねこちゃんのいいところをもらってきたねこちゃんなのでしょうか。遺伝病も少ないんですね。でも、どのねこちゃんにもいえると思いますが、太っていて肥満体型の子をよく見かけます。長毛ではないので体型がはっきりとわかりやすいからなのかはわかりませんが。もともと顔も丸顔なので、コロンとした感じが可愛らしくみえるのかもしれないですね。でも、一緒に少しでもいたいと思うになら、ごはんやおやつのあげすぎには十分注意しなければですね。

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