猫のFIPは完治するのか 原因と症状

猫のFIPは完治するのか 原因と症状

FIPとは、猫伝染性腹膜炎のことです。FIPを発症してしまった猫は、ほぼ100%の確率で死に至るという恐ろしい感染症です。猫のFIPは完治するのかどうか、またFIPの原因、種類、症状についてご紹介します。

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猫のFIPは完治する?

ピンクの毛布に包まる猫

猫のFIPは完治しない

猫のFIP=猫伝染性腹膜炎は、効果的な治療法がないため、FIPを発症してしまうと100%死んでしまうとされる、完治しない病気だとされています。

FIP感染の症状を一時的に和らげる、ということはできるのですが、残念ながらFIPを完治させることはできないのが現状です。完治できないと言われているFIPですが、インターネットのニュースや、個人ブログなどの情報では、飼い猫がFIPを克服して治った、という完治例があるようです。

しかし、FIPに感染していなかった可能性もありますし、FIPの検査をするときには、ひとつの検査だけでは結果が出ないなど、FIPに感染しているかどうか診断が難しい場合もあります。

そして実際にはFIPに感染してしまうと治療法がないため、もし自分の飼い猫がFIPに感染したときには、過度な期待はできないというのが現状と言えます。

FIPの発症を抑える薬

FIPに感染してから発症までの潜伏期間が、数週間から数か月あります。

しかしFIPを一旦発症してしまうと、完治せず、10日前後ほどで猫は命を落としてしまいます。

猫の体内に入ったFIPのウイルスを完治させるための薬は今のところありませんが、実験によりFIPウイルスの増殖を抑えて、防ぐ作用を持つ物質が確認されています。

まだFIPの特効薬としては確立されていませんが、研究が進めば、発症を抑えて猫がFIPで命を落とさなくて済むときが、未来には来ると言えるでしょう。

猫のFIPとは その原因

獣医師に診察される猫

猫のFIPとは

猫伝染性腹膜炎=FIP(Feline Infectious Peritonitis)とは、猫伝染性腹膜炎ウイルスにより様々な症状が出る免疫性の疾患のことです。

猫伝染性腹膜炎ウイルスは、球形をしていて、表面全体に突起があります。

この種類のウイルスは、形が太陽のコロナ(太陽の外側に見える散乱光のこと)に似ていることから、コロナウイルスと呼ばれています。

まず、猫にだけ感染するウイルスとして、猫腸管コロナウイルスがあります。

猫腸管コロナウイルスは、多くの猫が感染を経験するもので、一匹だけ飼われている猫でも、30%から50%ほどの感染歴があると推測されています。

多頭飼いであれば、さらに感染歴は増えると考えられます。

猫伝染性腹膜炎ウイルス=FIPVは、この猫腸管コロナウイルスが変異したものか、猫腸管コロナウイルスのうちでも病原体の強いものが、FIPVとして体に影響を及ぼすのか、といった二つが考えられています。

この猫腸管コロナウイルスに感染しても、ほとんどの猫は無症状で、一時的に下痢などの症状が出ても、こちらは自然に回復するとされています。

一方、FIPに感染し、その後発症すると、命にかかわるような症状が出てきますし、完治するのはほぼないといった状態になり、猫は命を落としてしまいます。

FIPに感染するのは、猫腸管コロナウイルスに感染した、猫全体の5%から10%を少し超えるほどだと推計されています。

猫のFIPの感染とは

FIPは症状が出ると完治はしないと言われていますが、FIPウイルスの伝染力は低いので、感染した猫からうつることはあまりないとされています。

しかしFIPの原因とされる猫腸管コロナウイルスは病原性が弱いものですが、感染しやすく、多くの猫に感染経験があるとされます。

感染した猫の糞便が、猫同士のグルーミングや喧嘩、トイレの共有などから口に入ることで、他の猫にも感染が広がっていきます。

子猫の場合は、生後2週間ほどから感染する可能性があるほか、複数の猫と暮らすことで、成猫になってからも感染する可能性がたくさんあります。

猫腸管コロナウイルスがFIPウイルスに変異してしまう原因ははっきりとわかっていませんが、次のようなことが関わっていると考えられます。

  • 年齢
  • 多頭飼い
  • 免疫力の低下
  • 遺伝的なもの

猫がどの年齢でもFIPが発症する可能性はありますが、3歳未満の猫が特にFIPを発症しやすいと言われており、どの年齢でも完治はほぼ望めません。

理由としては、猫が持つ免疫力が未熟なうちということと、若いためにコロナウイルスの増殖が活発であることで、発症することが多いと考えられます。

また、多頭飼いであれば、そのぶん多くの猫と生活を共にして、トイレで他の猫の排泄物に触れる機会も多くなるため、FIPに感染する確率も高くなると言えます。

さらに、何らかのストレスを感じたり、他の病気にかかっていたりして、免疫力が衰えることもFIPを発症する原因となります。

猫の体の免疫力が衰えることにより、ウイルスの増殖が抑えられなくなるのが原因と考えられます。

特に猫白血病ウイルス感染症や、猫エイズウイルス感染症などの病気になると、免疫力が衰えるので、FIPウイルスが増えるきっかけになります。

猫の種類によっても、FIPウイルスが発症しやすいものがいるようです。

どの猫が発症しても完治は難しいものですが、雑種よりも、純血種の方に感染して発症しやすい品種があるようです。ただし、FIPを発症しやすい猫種は国や地域によって違うため、家系による遺伝も関係しているのではないかと考えられています。

猫のFIP 種類と症状

薬と注射器の匂いを嗅ぐ猫

猫のFIPには、症状の特徴によってウェット型とドライ型という2種類に分けられます。
どちらでも、完治が難しいというのは同じです。

感染の割合は、ウェットが6から7割、ドライが3割から4割となっていますが、どちらかはっきり区別できない、両方の複合型に感染していることも多くあります。

ウェット型の症状

ウェット型=滲出型は、ウイルス感染細胞が血管の壁に蓄積することで起こります。

血管の中からたんぱく質が漏れ出して、周辺に体液がたまってしまう状態になります。心膜腔、腹膜腔や胸膜腔などに発症して、重度の心嚢水、腹水や胸水という状態になります。

お腹や胸など、液体が溜まったところが、風船のように膨らんでしまいます。

ウェットで見られる症状は、次のようなものです。

  • 元気がなくなる
  • 発熱する
  • 副鼻腔炎
  • 心嚢水がたまる
  • 腹水による腹部の腫れ
  • 胸水による呼吸困難

症状から、ウェット型のFIPに感染していると疑われる場合の検査は、血液検査、浸出液の検査、免疫染色といったものが行われます。

猫の腹水や胸水などは、体内にたまった液体を採取して、FIPによるものか、それ以外によるものかを判断することができます。

免疫染色とは、コロナウイルスの抗原を調べる検査で、抗原が検知されれば、FIPであると診断することが高確率で行えます。

治療には、完治を目指すのではなく、症状を和らげ、苦痛を感じないようにする方法が取られます。

ドライ型の症状

ドライ型=非滲出型の症状は、血管以外の、眼球、脳、肝臓、脾臓、肺などに症状が現れるものを言います。

ウイルスに感染すると、免疫細胞を呼び寄せます。

免疫細胞はたんぱく質を分解する酵素を出すために、ウイルスの近くにある細胞や組織を破壊してしまい、様々な症状が出ます。

ドライで見られる症状は、次のようなものです。

  • 元気がなくなる
  • 発熱する
  • 食欲がない
  • 黄疸が見られる
  • 貧血
  • 目の様々な症状が出る(ぶどう膜炎、角膜沈殿物、虹彩炎、視覚障害など)
  • 神経症状が出る(動きがおかしい、運動失調、ふらつきなど)
  • 腸間膜リンパ節の腫大

血液検査や身体検査で、ドライタイプのFIPの症状が多く出ていれば、ドライと診断されます。

症状が一部しか当てはまらないときには、腹腔鏡手術によって検体を採取して行う検査によって、FIPの診断ができます。

しかし腹腔鏡手術で行う検査では、複数の箇所から検体を採取するので、猫の体に負担がかかるという欠点があります。

FIPの診断は難しく、ひとつの検査では診断が正確にはわからないので、複数の検査を行って判断する必要があります。

FIPは完治が望めない病気のため、安楽死を選ぶ飼い主さんもいますが、猫の状態や検査の結果など、様々なものを踏まえて、獣医さんとよく相談して結論を出す必要があるでしょう。

まとめ

部屋でくつろぐ長毛の猫

FIPは、発症してしまうと完治することは難しく、高い確率で死に至る感染症です。そのため、飼い主さんにとってはとても恐ろしい感染症と言えます。

FIPウイルスそのものは伝染力が弱いため、ふだんの生活では感染しにくいと考えられています。

しかし、FIPウイルスに変わる前の猫腸管コロナウイルスは感染しやすく、猫のトイレやグルーミングなどを介して簡単に感染します。

FIPを完治させる特効薬や治療法などはまだないので、FIPを発症したときには、猫ができるだけ苦しまずに、余生をおくれるような生活をさせてあげるしかありません。

また、猫エイズウイルス感染症などの病気にかからないよう、ワクチンを接種させ、完全室内飼いにすることも、免疫力を落とさないことにつながり、FIPウイルスに変異するのを防ぐことにつながります。

確かな予防法もまだ見つかっておらず、完治はしないとされるFIPですが、猫に強いストレスのかかる生活、多すぎる頭数での多頭飼い、不衛生なトイレといった環境にしないように、飼い主さんは気をつけるようにしましょう。

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