猫エイズのキャリアとは
キャリア猫とは、猫エイズに感染しているけど発症はしていない、ステージ2のウイルスが眠っている状態の猫のことを言います。
まず猫エイズとは、猫免疫不全ウイルス(FVI)が原因でなる病気で、「猫後天性免疫不全症候群」のことです。一度かかってしまうと完治は望めません。
この猫エイズには進行具合がステージ1〜3まであり、キャリアとはどういうことか、よりわかりやすく説明するために、このステージについて少し触れたいと思います。
ステージ1 急性期
猫エイズに感染すると、まず1か月ほどの潜伏期間があり、潜伏期間を超えるとステージ1に入ります。ステージ1では、ウイルスがどんどん体内で増殖し、それに伴い白血球がみるみると減っていきます。
この期間中は発熱、貧血、リンパの腫れといった症状が数日〜数か月ほど続くことがありますが、猫によっては全く症状もなく過ごすこともあるので、飼う前に検査を受けなかった猫は、感染していても気がつかないことが多くあるようです。
ステージ2 無症状キャリア期
そしてこのまま様々な症状が現れ始めるのかと思いきや、そうではありません。ステージ2のキャリア期に移行すると、ウイルスは一度体内で眠りにつき、健康な猫と同じように、見た目は元気いっぱいの猫に戻ります。
ステージ3 猫エイズ発症期
眠りについていたウイルスが、何らかのきっかけにより目覚め、本格的に活動を始めます。発症すると、発熱、食欲低下、体重の減少、下痢、嘔吐、脱水などの症状が現れます。
「免疫不全」の名の通り、免疫力が著しく低下するため、口内炎や歯肉炎といった口内の病気をはじめ、猫風邪や癌などの大きな病気にもかかりやすくなります。
猫エイズのキャリアとの暮らし方
なるべくキャリアのまま、猫エイズを発症させないようにするには、飼い主さんはどうしたら良いのでしょうか。
薬について
猫エイズには、残念ながら特効薬はありません。ですので、なるべくキャリア期のまま進行を遅らせるには、インターフェロン治療を行うことになると思われます。
このインターフェロンには、猫の免疫力を高めるタンパク質が含まれており、1回の費用はおよそ1000〜5000円です。
生活について
どの病気でもそうですが、ストレスを溜めない生活というのは、猫エイズを発症させないためにとても重要になってきます。
そしてできるだけ健康的な状態を保つため、質が良く、バランスが優れているフードを与えてあげると良いでしょう。免疫力アップのサプリなどを使ってみるのも手です。
ストレスとフードに気をつけ、免疫力を上げることができれば、猫エイズの発症を遅らせることが可能になります。
保険について
あらかじめ猫エイズに感染していることが分かっている場合は、ほぼ保険は入れないと思った方が良いです。ただ、保険加入後にキャリア猫だと分かった場合は、保険会社により補償の対象となるところもあるようです。
猫エイズ発症後は、かなり治療費がかかることが予想されますので、保険加入前に猫エイズの陽性反応が出たら、キャリア期の間にペットローンなどでお金を貯めておく方が良いかもしれません。
多頭飼いについて
猫エイズのウイルスは、グルーミングなどの唾液交換、喧嘩による咬傷、交尾によって猫同士でうつります。ですので、完全室内飼いを徹底し、多頭飼いはしないか、キャリア猫と健康猫を別部屋で分けるというのが望ましいです。
しかし、猫同士の仲が良く、引き裂くと強いストレスを与えてしまう可能性がある場合は、飼い主さんの判断で一緒に飼育する人もいます。
猫エイズキャリアの寿命
キャリア期間
キャリア期を過ごすのはだいたい2〜10年で、猫の個体や生活の仕方によって大きく変動があるようです。
発症しない猫も
中にはキャリアのまま猫エイズを発症せず、寿命を全うする猫もいます。
まとめ
猫エイズを発症するとみるみるうちに進行し、あっという間に末期になり、亡くなってしまうことも珍しくありません。
猫エイズを発症をさせずにキャリアのまま寿命を迎えられるよう、飼い主にできることはなるべくしてあげられると良いですね。