猫のクリプトコッカス症の症状と原因、その治療法

猫のクリプトコッカス症の症状と原因、その治療法

猫のクリプトコッカス症についてまとめました。猫のクリプトコッカス症とは、あまり聞きなれない病名かもしれません。しかしその感染源はとても身近で、愛猫が既に感染している可能性もある病気です。愛猫をあらゆる病原体から守るためにも、改めてクリプトコッカス症について確認してみましょう。猫のクリプトコッカス症の症状や原因、その治療法から人にうつるのかについてをご紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫のクリプトコッカス症とは

公園で寛ぐ猫

猫のクリプトコッカス症とは、カビ(酵母様真菌)の一種であるクリプトコックスネオフォルマンスを鼻などから吸い込むことで感染する人獣共通感染症です。クリプトコッカスは、主に鳥の糞などで発育し、空気中や土壌、植物などの環境中に多く分布しています。

健康な猫がクリプトコッカスに感染しても、殆どの場合は症状が現れない無症候性であるとされています。そのためクリプトコッカス症は、健康な動物では感染を引き起こすことがないような病原体が原因となって発症する感染症、「日和見感染」の一種として知られる病気でもあります。

猫のクリプトコッカスの症状は、ドロドロ、ネバネバとした鼻水や鼻血、大きないびきなど呼吸器障害として現れることが多いようです。また、鼻に生じる肉芽腫、脳炎や髄膜炎と重症化する可能性も十分にあります。

猫のクリプトコッカス症の原因

ハト

猫のクリプトコッカス症の原因は、主に空気中に飛散したクリプトコッカスを吸い込むことですが、その感染部位は気道から皮膚、神経と全身に及びます。

通常、少量のクリプトコッカスを吸い込んだとしても、無症状であることが殆どですが、何らかの原因で免疫力が低下している場合は、その症状が強く現れる場合もあり、なかでも、猫白血病ウイルス(FeLV)や猫エイズウイルス感染症(FIV)などの基礎疾患に続いて発症することが多いとされています。

また、猫のクリプトコッカス症では、鼻汁や鼻の変形、目の周りの腫れ、運動障害など感染部位によって症状が様々なため、病理組織検査による診断が主です。

猫のクリプトコッカス症の治療法

薬を飲む猫

猫のクリプトコッカスの治療法についてご紹介します。

猫のクリプトコッカスの治療法①投薬治療

猫のクリプトコッカスの治療では、トリアゾール系抗真菌薬を用いた投薬治療が行われることもあります。トリアゾール系抗真菌薬とは、クリプトコッカス症やカンジダ症、白癬などの幅広い真菌感染症を治療する薬です。服用期間はそれぞれ猫の状態によって異なりますが、2ヶ月~2年という長い月日を要する可能性も十分にあります。

症状が全身に及んでいる場合など、生涯服用しなければならない可能性もありますが、肝臓や腎臓への副作用やトリアゾール系抗真菌薬と併用禁忌の薬剤もあることを踏まえると、長期の服用が難しい場合もあります。

猫のクリプトコッカスの治療法②対症治療

猫のクリプトコッカス症は、別の基礎疾患に続発することが多い病気です。そのため、基礎疾患の治療や、上記のような抗真菌薬を用いた投薬治療と並行して対症治療が行われます。対症治療とは、その時にある症状を抑えるための治療のことをいいます。

猫のクリプトコッカス症は早期発見、早期治療を行うことができれば完治も望むことができる病気でもあります。健康な猫が感染した場合は無症状であることが多いこのクリプトコッカス症を発症しているという時点で、何らかの疾患を患っている可能性も十分にありますので、異変を感じた場合は早急にかかりつけ医を受診しましょう。

猫のクリプトコッカス症の予防方法

窓から外を覗く猫

クリプトコッカスを予防するには、まず完全室内飼いを徹底し、自宅の周りにハトが集まる場所やハトの糞が落ちているような場所があれば、ハト避けやこまめな清掃を行うなどして、空気中に飛散したクリプトコッカスを猫が吸い込む機会を避けましょう。また、猫の免疫力が低下しないよう、良質な食事と運動など、生活環境を整え、体調管理をしっかり行いたいですね。

しかし、猫のクリプトコッカス症を完全に予防するのは非常に難しいといえます。と言うのも、とても身近な野生動物である「ハト」の糞はクリプトコッカスの温床とも言われており、その糞に胞子となって寄生しているクリプトコッカスは、空気中や土壌、植物など幅広い環境中に分布しているからです。
クリプトコッカスは低温を好むため、他の哺乳類よりも体温が高いハトの体内では感染、増殖することができません。ですから、体内を通り、ハトの糞に含まれる病原性真菌の増殖に必須であるクレアチニンと呼ばれる栄養素を得て、糞で増殖、飛散するのです。

猫のクリプトコッカス症は人にうつる

猫とキスする子供

クリプトコッカス症は、人獣共通感染症です。そのため猫から人へと感染が広がる可能性も十分にあります。健康な人がクリプトコッカス症に感染した場合、同様に無症状であることが殆どですが、稀に全身の倦怠感や疲労感、食欲不振、発熱、頭痛、嘔吐などの症状が現れることがあります。猫のクリプトコッカス症と同様に、感染部位が脳にまで及んだ場合には髄膜炎、脳神経麻痺など重篤な症状を引き起こすことも。

特にヒト免疫不全ウイルス感染症(HIV)や、慢性白血病などの基礎疾患を持つ人や、臓器移植やステロイド治療を行ったことがある人の場合は注意が必要です。ちなみに、人から猫、人から人へのクリプトコッカス症の感染は起こりにくいと考えられています。

猫がクリプトコッカス症を発症した場合で、家族に上記のような免疫力が低下している可能性がある人が居る場合は、獣医師に相談しましょう。

まとめ

猫と子供

猫のクリプトコッカス症の症状と原因、その治療法についてご紹介しました。クリプトコッカス症は、ハトの糞が原因となることが多いことから、とても身近な病気ともいえます。

特に家を自由に出入りしている猫の場合は、クリプトコッカス症の感染のリスクが高くなりますので改めて完全室内飼いの徹底や、生活環境にも気を配りたいですね。特に免疫力の低い小さなお子さんやご年配のご家族と猫ちゃんが暮らしている場合は、注意してください。

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