猫はオーガニックフードで健康を維持できる?

猫はオーガニックフードで健康を維持できる?

近年の猫ブームの影響なのか、最近では猫の食・住が注目を集め、フードやその他猫の生活について見直すよう促す記事が散見されます。しかし、結局は高級フードや、高額な猫用品を購入すべきだということのこじつけになっているようにも思える内容も多々あります。ネット上やその他メディアなどに惑わされて皆さまが錯乱することにならないよう、アドバイスをさせていただきます。猫を飼育する上で、今後の参考になればと思います。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 吉本 翔
  • (東京大学獣医学専攻博士課程 ペンシルバニア大学客員研究員)

北海道大学獣医学部を次席で卒業。日本獣医師会会長賞受賞。東京大学にて動物のがんに関する研究を行いつつ、埼玉県にある動物病院で夜間救急獣医師として勤務していました。2018年よりアメリカのペンシルバニア大学に留学し、動物のがん免疫に関する研究をしています。国際学会発表や論文執筆を多数経験しており、獣医学研究に貢献できるよう日々精進しています。

猫にはオーガニックフードを与えれば健康になる?

キャットフード

最近では、猫用フードもオーガニック、ノーグレイン、グルテンフリー、など健康を追求したワードがいたるところで飛び交っています。

私はその言葉だけに惑わされ、飼い猫にはとにかくオーガニックで、猫にとって摂取不要な要素を排他したフードを与えれば、健康を維持できるんだ!と思い込んでいました。

オーガニックフードの落とし穴

しかし、それは大きな間違いでした。とにかく口コミやレビューを読み込んで、評価が高いものを厳選していたにもかかわらず、オス猫2匹は共にストルバイト結石の尿が続き、やむを得ず治療をしなければならない結果になりました。

こんなに高級なフードを与えているのになぜ??と繰り返し思い、その後やっと気づきました。
猫も人間も同じ❝生き物である❞ことを。

人間もオーガニック食材や高級な食事しかしないから絶対健康、とはなりませんよね。
猫も同じです。

猫それぞれ合う・合わないがある

生き物にはみな個体差があります。それぞれの臓器(肝臓、腎臓など)の機能は個体により異なり、どこかの臓器の機能が他の個体よりも劣っていることがあります。
猫を飼育する上で、その個体差を把握し、健康管理をしてあげることが肝要なのだと思います。
全てが分かるわけではありませんが、健康診断で血液検査などの検査をしてもらうことにより、大まかに臓器の機能が正常かどうかを把握することができます。

実際、高級フードだけを与え続けたから飼い猫は長生きした、ということは聞いたことがありません。

それに気づいてからは、各々の個体差を把握した上で、最適な栄養成分が含有されているフードを選び、嗜好性を試す、更に良質な原材料であるなら尚可、という考え方に変わり、飼い猫それぞれに合ったフードを選び抜いたことで、我が家の飼い猫たちの食生活の質は改善され、現在は健康に過ごしています。

様々な情報、言葉に惑わされないために

猫がそれぞれ自分のご飯を食べている様子
  • まずは自分の飼い猫の体質、嗜好性等についてを知ること。
  • 健康を匂わせるワードに惑わされないこと。
  • ネットの口コミやレビュー、統計データはあくまで参考程度にし、鵜呑みにしない。
  • 自分自身がフードや栄養に関する基礎知識を身につけること。
  • 無添加という表現に騙されないこと。

(無添加と記載されているだけで、何を無添加なのか明確にされていないことも多いです。)

これらを実践するだけで、選ぶフードが良い方向にガラリと変わるかもしれません。

猫にとって快適な住環境とは

  1. 部屋が整理整頓、きちんと掃除されており、空気がきれいであること。
  2. 猫が誤飲・誤食する危険性のあるものが床に落ちていないこと。
  3. 猫がくつろげるお気に入りの場所が確保されていること。
  4. 新鮮な飲み水が複数箇所に設置されていること。

これだけで、猫にとっても人にとっても居心地よい空間が出来上がります。

最近では、猫専用の高額な日本製のベッド、ソファーなどが、人間用の倍以上の価格で販売されていたりもしますが、猫がそれを必要とするとは思いません。

もし、何かのご褒美やプレゼントを買ってあげるのであれば、本当にその猫が欲しがるだろうと思うもの、かつ人間から見てもいい商品で素敵なデザインだな、と思うものを選んであげてくださいね。

まとめ

猫専用部屋の様子

猫を飼育する上での“食と住”は共通して、個体に合ったものを選定し、与えることが最も重要です。産地や健康ワードだけに敏感にならず、まずは飼い猫の本質を理解してから最適と思われるものを食と住にあてはめていきましょう。

飼い猫を“知る”ことで家族間の絆を強めることができます。また、猫のためにしていることは意外と人間のために役立っていることもあります。

例えば、網戸ロックなどの脱走防止策は、防犯効果を高めますし、猫のために家をきれいに保つことで人間も気持ちよく生活できます。

飼い猫との共存生活を楽しんで最高に幸せな毎日を過ごせることが理想ですね。

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