猫には帰巣本能があるの?
犬には帰巣本能があることを御存じの方も多いと思いますが、猫についてはどうでしょうか?猫にも犬と同じように帰巣本能があるのか、まずは猫の帰巣本能について詳しく調べてみました。帰巣本能についてはどの動物についても分かっていないことだらけなのですが、猫の帰巣本能について以下のような説が言われています。
猫は体内時計と太陽の位置で方向を把握している
「体内時計」と季節、時間の感覚、そして太陽の位置を把握することにより自分の位置と向かうべき方向を割り出していると考える説があります。
磁場でも場所を把握する
昆虫から鳥、魚、ほ乳類にいたるまで、多くの動物が磁場を感じられる可能性があると言われています。動物の帰巣本能や鳥の渡りにはその磁場を感知する能力がかかわっているとも言われており、猫の帰巣本能もそうなのではないかと考える人もいます。
家から離れた猫が見知らぬ場所に迷路を作り、外が見えないようにして猫を迷路まで運び猫が迷路から出られるかを実験した古い研究がいくつかあります。家から5km以内に迷路がある場合には、約60%の猫が家のある方向と同一方向の出口から迷路を出ることができ、それ以上迷路と家の距離が伸びると猫が家のある方向と同一方向の出口から迷路を出る確率は下がっていったそうです。
距離との関係はあるにしても、なぜ猫が家のある方向が分かったのか、その理由は分かりませんが、もしかしたら猫に磁気感知の能力があるからかもしれません。磁気感知能力はコンパスのようなものと考えられており、磁石を猫に近づけることにより感覚が狂うと言う人もいます。
感覚地図・方向細胞とは?
では「体内時計」「磁場感知」以外の能力である「感覚地図」「方向細胞」について御説明します。「感覚地図」とは視覚や、嗅覚、聴覚などから情報を得て頭の中に地図を作る能力とされています。
人間でも方向音痴な人とそうではない人がいますよね。猫でも方向感覚に優れていると思われる家系とそうではない家系があるそうです。感覚地図を作る能力の違いによるのかもしれません。
また「場所細胞」とは特定の場所を通過する時に活性化される細胞で、マウスやラットをはじめとした動物で発見されており、多くの脊椎動物が持っている細胞だと考えられています。空間や自分のいる位置の把握に関係する細胞は他にもあり、帰巣本能はそれらの脳細胞が関係しているという説もあります。
【補足】
猫を含めた動物に帰巣本能があることは古くから認められていますが、なぜ何の道具もなく遠く離れた場所まで帰ることが出来るのかについては不明なことばかりです。上記の説も仮説に過ぎません。しかし磁気を感知できる能力については、クリプトクロム1aという網膜にある光受容体たんぱく質が関係している可能性が指摘されています。まだ分からないことも多いのですが、クリプトクロム1aが磁気を感知している可能性があること、行動学的な研究から多くの動物が磁気を感知していると考えられることから、磁気感知は動物の帰巣本能にも関係していると考える人は多くいます。ただ、ある研究では、多くの動物種でクリプトクロム1aがあるか調べてみたところ、犬やクマ、オランウータンなどではあったけれども、イエネコやトラ、ライオンを含む猫科動物ではクリプトクロム1aは見つからなかったそうです。
≪参考≫
Nießner, C., Denzau, S., Malkemper, E. et al. Cryptochrome 1 in Retinal Cone Photoreceptors Suggests a Novel Functional Role in Mammals. Sci Rep 6, 21848 (2016).
https://doi.org/10.1038/srep21848
猫に帰巣本能があるという証拠
実は猫達の中には、約3000㎞離れた飼い主の家まで2年をかけてたどりついたという例もあるんです。その他にも引っ越し先から元の家に帰った、動物病院に行った時に脱走して家に帰って来たなど、猫に帰巣本能があると考えられる話は存在するんですね。
【3000kmを移動して飼い主の元にたどりついた猫についての詳細】
Ravila Hairovaさんがウズベキスタンのグリスタンからロシアのリスカに引っ越す際、近所の人に猫のKarimを託したそうです。しかしKarimは数日後に失踪。約2年後、Karimは突然Hairovaさんが住むリスカの家の前に現れたということです。2つの町を歩いて移動するとなると約3000kmの道のりだそうです。
猫が帰ってこない4つの理由
では猫達に帰巣本能があると言う前提で何故、猫が帰ってこないのか考えてみましょう。ここでは外飼い猫が家に帰ってこない4つの理由を挙げていきます。
パートナー探し:発情期(オス・メス)
外飼いの猫が帰ってこない理由として多いのがパートナー探しと言われています。
避妊や去勢手術をしていないオス猫やメス猫によくある行動で、数日帰ってこない場合があります。またパートナー探しと繁殖は一緒と考えられるため、飼い猫の繁殖を望まない場合、計画的な避妊や去勢手術を検討した方が良いとされます。
家の居心地が悪くなって家出
猫は犬と違い、家に付くと言われるほど『家=縄張り』に対して好みや執着心があります。
ですが、猫も住んでいる環境の変化により居心地が悪くなれば『家=縄張り』を変えることがあるんです。そして外飼いの猫が家出した場合、外飼いの猫ならではの猫が持つ、複数の休憩所のいずれかにいることがあるようです。
事故に遭ってしまった
外飼いの猫が長期間帰ってこない理由として考えられる理由の1つに、「事故に遭ってしまった」ということもあります。
交通事故や落下事故、また他の猫とのけんかによる大けが、鳥や犬など他の動物に襲われての大けがなど、事故には色々あるでしょうが、猫は大きな怪我を負うと隠れて回復を待つこともあるので、猫を探しても見つかり難い原因となるようです。その為、事故に遭ってしまわないように車通りの多い危険な場所が近くにある場合などは「完全室内飼い」にするなど、飼い主の方は気を付けなければいけません。
他の家に住んでいる
外飼い猫が他の家に住んでいることがある理由として、家出したまま他の家に居着いてしまうことや首輪を付けていないことにより誰かに連れて行かれてしまったというケースがあります。また、定期的に自ら複数の家を渡り歩いて生活している猫もいます。外を出歩く外飼いの猫にはマイクロチップを埋め込むと、連れ去られても身元を明らかにすることができるでしょう。
猫を探し始める期間の目安
完全な室内飼いの猫が脱走して帰ってこない場合はすぐに探す必要があるでしょうが、外飼いの猫はいつから探し始めた方が良いのでしょうか?猫を探し始める目安期間について調べてみました。
遅くても3日目以上から探し始めた方が良い
複数の休憩所を持つ外飼いの猫は1、2日程度なら帰ってこないことはよくあると言われており、3、4日目あたりでお腹を空かせて帰宅することが多いようです。そのため3、4日以降も姿を見せない場合、困ったことにはならずどこかで安全に暮らしている可能性が低いと考え本格的に飼い猫を探し始めた方が良いと言えます。
最初はテリトリー内を探す
猫達は基本的にテリトリー(縄張り)で暮らしている生き物です。そして、外飼いの猫は毎日テリトリーを確認して歩いています。
外飼い猫のテリトリー範囲は、環境やその猫の社会的地位によっても変わりますが、性別で範囲が違い、オス猫の方が広いテリトリー、生活圏を持ちます。そのため、オス猫の方が遠くに行ってしまう可能性が高く、メス猫の場合だと、割と近くで見つかることが多いとされています。
まとめ
今回は外飼いの猫が帰ってこない理由と猫の帰巣本能と猫の探し方について御紹介しました。猫には帰巣本能があると言われていますので、車通りの少ない外飼い猫の場合、1、2日くらいは待ってみて3日目あたりから探してみても良いかもしれませんが、事故やけがなどの予期せぬ事態はいつどこで起こるか分かりません。
完全な室内飼いの猫が脱走した場合は外飼いの猫とは事情が異なります。家の外にいること自体に不慣れなのでどうしたら良いか分からないでしょうし、慣れない環境にパニックになり遠くへ行って帰ってこられなくなったり、交通事故に遭う可能性もより高いと思われるので、さらに注意が必要です。いずれにしても、飼い猫の性格や環境、いなくなった状況を考えて探してあげる必要がありますが、完全室内飼いの猫の場合にはまずは脱走することのないようにしましょうね。
【猫が帰ってこない場合についての補足】
猫が帰って来ない場合、探し始めると同時に地域の保健所にも連絡を入れましょう。もし収容された猫に特徴が似ている猫がいれば連絡をくれます。また、起こって欲しくはないことですが、特徴の似た猫が遺体で収容された場合にも連絡をもらえるようにお願いすることも出来ます。道路や公共の場所での動物の遺体の取り扱いは自治体によって担当部署が異なりますので、もし必要になってしまった場合には詳細はお住まいの自治体に問い合わせてください。
探す時は、まずは家の近くから探します。どこかに隠れているかもしれないし、高い所に登ってしまって降りられないこともあります。時間帯をかえて探すのも良いでしょう。近所の人にも聞いてみましょう。複数の家を渡り歩いて生活をしている場合、すぐ近くの家で暮らしていた、なんてこともあります。
それでも見つからない場合には、捜索範囲をひろげたり、業者に頼んだり、チラシを貼ったり、SNSを活用したり、と色々な方法が考えられます。
しかし何と言っても一番大事なことは、迷子にさせないことです。家と外とを行き来する猫の場合、最低限去勢・避妊手術をし、マイクロチップを入れておくことをおすすめします。
50代以上 女性 匿名
なのですが、最近野良猫♂が来てオシッコしたり寝てたりで、家のトラは「秘密基地」へ
屋根の軒下とか・・・行く時は「ニャンニャンニャ~ン」って必ず言って行きます。
私が出かける時は、出て来てゴロリンして帰って来たら玄関で待っています。
所が、朝ごはん食べてたのに夕方には帰ってこずベルと名前呼んでも帰ってきません。
3月21日夜から未だ帰ってきません。
4月21日で1ヵ月経ちます。
帰って来るのかなぁ~♀で、避妊手術しています。
眠れません。
20代 女性 匿名
一緒に寝たり、帰ってきたときには玄関まで迎えに来てくれたりしていてたし、ゴロゴロと甘えてくれてもいて可愛かったのです。
ケガや事故に遭っていないか心配です…
20代 女性 匿名
近隣に迷惑だし猫自身も危険だしで何も良いことがない
40代 女性 もも