猫が脱走した時に帰ってくる確率は?
家の外には、鳥や虫など猫の興味を引くものがたくさんあります。
扉を開けた一瞬の隙をついて、愛猫にあっという間に脱走されてしまった経験をお持ちの飼い主さんも少なくないはず。
動物には、見知らぬ場所から自分の巣や家に帰ることができる能力「帰巣本能」が備わっています。単に嗅覚や方向感覚だけに頼るものではなく、体内時計や、磁気を感知する器官、方向細胞など様々な能力を働かせることによって機能すると言われており、犬ほどではありませんが、猫にも少なからず帰巣本能が備わっていると考えられています。
しかし、脱走して家に戻ってこれるかは、飼育環境や脱走期間によっても変わります。
室内飼いの家猫が自力で帰ってくる確率は低い
猫は、自分の縄張りを地図のように頭の中に記憶している「猫地図」によって行動していますが、室内飼いで育っている飼い猫は、外の猫地図を持たないので帰巣本能が弱くなっていると言われ、行動範囲も広くても半径50mほど。
あまり遠くに行ってしまうと自宅の匂いや自分の居場所が分からなくなり、帰ってこられる確率はとても低くなります。
帰ってくる確率は脱走期間にも左右される
猫が戻ってくる確率は、脱走してからの期間にも関係があり、脱走から7日以内では30〜40%、1ヶ月経過する頃には10%と、時間の経過とともに帰ってくる確率が低下します。
また、外にいる期間が長くなると野良化して人間を警戒するようになるので、飼い主が呼んでも出てこなくなってしまうことも。愛猫の脱走が発覚したらできるだけ早く見つけることが大切です。
避妊・去勢をしていない猫は発情期に帰ってこなくなる可能性がある
猫は、発情期になると子孫を残すために相手を求めて外に出ようとします。また、発情期は興奮しやすく、警戒心も強くなっているので、飼い主が呼んでも戻らない可能性もあります。
猫にとって相手がいない状態での発情期は、心身共に負担をかけてしまいます。
子猫の出産を望まないのであれば、発情期の問題行動(家を抜け出してしまう、ほかのオス猫との争いでケガをするなど)や、乳腺腫瘍の発症率の低下や感染症・卵巣・子宮の病気を予防するためにも、適正年齢になったら、避妊・去勢手術を受けるようにしましょう。
脱走した猫が帰ってくる確率を上げる探し方
外に出たことのない家猫は、脱走してもすぐに遠くには行かず、自宅付近の建物の隙間や、車の下などにいる場合が多いと言われています。
脱走してから2〜3日の間に、愛猫が好きなおやつ、キャリーケース、懐中電灯を用意して、自宅周辺から徹底的に探していくのがポイントです。
時間帯は、夕方や早朝の時間帯が狙い目です。夜中は人間の目では姿を捉えづらく、日中は陰に隠れてあまり活動しないため見つけることが難しい事が多いです。
近所にチラシを配り自宅周辺を徹底的に探す
愛猫の写真を載せたチラシを近所の方に配り、目撃情報の提供をお願いするのも効果的です。
チラシには以下の内容を載せると伝わりやすくなります。
- 愛猫の名前
- 性別、避妊去勢手術をしているか
- 猫種、模様や色などの特徴
- 首輪や鈴をつけているか、首輪の特徴や色
- 飼い主の名前(苗字のみや仮名でもOK)
- 電話番号(携帯もOK)
自宅で作成が難しい場合は、印刷業者にお願いしてみてもいいかもしれません。
屋外捜索では声を出して猫に飼い主の存在を伝える
屋外に逃げ出した猫は人間の死角になるような物陰に潜んでいるケースが多いので、いつも呼んでいる名前を声に出して飼い主の存在を伝えましょう。
自力で帰ってくることができない、自分の居場所が分からなくなってしまった愛猫を誘導するためにも、
普段通りの声のトーンで呼びながら探してあげることが大切です。
猫が保護される可能性がある場所に連絡しておく
猫がすぐに見つからないようであれば、最寄りの警察署に遺失物の届け出、保健所などに事前に連絡しておくことで保護される確率を上げることができます。また、動物病院などにチラシを貼ってもらえるかも聞いてみると良いでしょう。
- 各自治体の保健所
- 動物病院
- 警察署(遺失物の届け出を行う)
- 動物愛護、動物保護センター
- 市役所や町村役場
愛猫が無事に保護されたら、各所に発見の連絡を入れることや、チラシを回収すること等もきちんと行いましょう。
SNS・掲示板やペット探偵を活用して捜索する
ネット上の掲示板やSNSなどで迷子猫の情報が確認できます。「迷子猫 掲示板」や、「猫 脱走」「猫 家出」などのハッシュタグで猫の特徴をSNSで投稿するのも捜索の役に立ちます。
自力では難しい場合は、ペット探偵に捜索を依頼することで見つかる確率はより高まります。調査費用は会社によって異なるので、事前に確認してから選ぶのがポイントです。
脱走した猫が帰ってくる確率を上げる対策
脱走してしまった愛猫が、少しでも帰ってくる確率を上げるため、写真を撮っておくなど、万が一に備えて対策しておきましょう。
個体識別ができるものを猫に装着しておく
脱走などの万が一のために、迷子札やマイクロチップなど「個体識別ができるもの」を装着しておきましょう。
マイクロチップは、動物病院で埋め込みができ、情報登録を済ませておくことで、脱走して保護された時に、保健所や動物愛護センターなどで飼い主の身分が確認できます。
愛猫の体内にチップを埋め込むのに抵抗がある方は、GPS機能付きのタグや、迷子札を変わりに付けておくもの安心に繋がります。
チラシ作成に役立つ愛猫の全身写真を撮っておく
猫がすぐに見つからない理由として意外と多いのが、猫の特徴が伝わりづらい(似ている猫と間違える)ことです。
日頃から愛猫の写真を撮る時は、体の特徴や全身の模様がはっきりと見えるものも写しておきましょう。
万が一の時のチラシ作成に役立ち、帰ってくる確率を上げる対策として有効です。
猫を脱走させないための注意点
猫は身体能力が高いので、脱走対策をしておかないとスルッと脱走されてしまうかもしれません。そこで猫の脱走を防ぐための注意点を3つ紹介します。
完全室内飼育・外には出さない
外に出すことは、交通事故や、感染症など様々なリスクが伴うため、完全室内飼育がおすすめです。
ただし、室内飼育でも部屋の模様変えなどで居心地が変わったり、大きな音に驚いて扉の隙間から出てしまう危険性がなくなるわけではありません。常に注意を払うことが大切です。
猫が脱走しやすい場所には脱走防止グッズを活用する
窓やベランダ、玄関のドアが開いた瞬間、網戸を破ってしまうなど、家の中には猫が脱走しやすい場所は意外とあるのです。
このような事態を防ぐために、脱走防止柵を活用しましょう。通販サイトや、100円ショップのワイヤーネットと突っ張り棒を利用して作ることも可能です。
また、軽い窓や網戸は猫が自分で開けてしまうケースもあるので、網戸用のストッパーを活用したり、窓は開けっ放しにせず、閉めたら必ず鍵をかけるなど、日頃から注意しましょう。
高層階のマンション等はベランダに落下防止ネットを張る
猫が落ちても無事に着地できる高さは、6~7m程度(建物では2階程度)までの高さだと言われています。8mを超えるとケガどころか死亡してしまう可能性が高くなります。
高層階のマンション等で飼育している場合は、ベランダの手すりにネットをくくりつける、猫が落ちない高さのフェンスを内側に取り付けるなど万全の対策を取りましょう。
まとめ
猫は好奇心や発情期、驚いてしまった時など様々な理由で脱走してしまうことがあります。
本来、猫には帰巣本能があり、自分の巣や家に戻ってくることができますが、産まれてから一度も外に出た経験がない猫や、脱走してから1ヶ月以上経ってしまうと戻ってくる確率は10%と低くなってしまいます。
脱走直後は家の近くに潜んでいることが多いので、愛猫が好きなおやつと確保時のキャリーバッグ、懐中電などを用意して、まずは自宅付近の物陰や車の下など、いつもの名前を呼びながらすぐに探しに行きましょう。
また、最寄りの警察や保健所などにすぐに連絡を入れる、猫の特徴や全身がわかるチラシを配るなども戻ってくる確率を上げることができます。
愛猫の危険を防ぐため、飼い主の心配を減らすためにも、マイクロチップ・迷子札の装着や、脱走防止対策など、日頃から心がけるようにしましょう。