猫の腎不全が末期な時の症状や余命、日頃のケア

【獣医師監修】猫の腎不全が末期な時の症状や余命、日頃のケア

腎不全は猫にとってとても発症しやすい病気ですが、気づいたときには末期状態になっていることがよくあります。末期の腎不全になるとどのような症状がみられ、どんな危険があるのでしょうか?残された猫の命の時間に私たち飼い主は何をしてあげればよいのでしょうか?

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫が腎不全末期な時に現れる症状

腎不全末期の猫

尿毒症によるケイレン発作

猫が腎不全になると腎臓の働きが悪くなり体内にある老廃物がオシッコと一緒に排出されず残ったままになり、蓄積されたことにより尿毒症をおこします。尿毒症になると口からアンモニア臭がするようになるのが特徴です。血液検査上で腎機能を示すBUNやCREの数値が非常に高く、カリウムなどの電解質も上昇しとても危険な状態です。

尿毒症になると猫の意識が薄くなり呼びかけに対する反応がほとんど見られない傾向があり、それに伴い手足が硬直しビクビクと震えるケイレン発作をおこすようになります。猫がケイレン発作をおこすと口から泡状のものを吐くことがあります。

嘔吐や下痢が頻繁におこる

猫の腎機能の低下により猫の気分が悪くなり嘔吐するようになります。特に猫の腎不全が末期状態になると1日に何度も吐いてしまったり、常に吐きそうな様子がみられます。頻繁に吐いてしまう影響で消化器系に炎症がおこり吐血することがあります。また便の状態が柔らかくなり軟便〜下痢をおこしやすくなり色が黒っぽくなることがあります。

体温低下

初期段階の猫の腎不全では脱水が進むために水を多く飲むようになりますが、猫の腎不全が末期状態になると食べ物を受けつけなくなり水さえも全く飲まなくなります。摂取カロリーや飲水量の低下、全身の筋肉量の低下、貧血などにより体の熱をつくることができなくなり体温が下がり低体温となり非常に危ない状況です。

命に関わる脱水や貧血

猫が腎不全になると体内にある血液などの水分を再吸収する働きが悪くなり、末期状態になるとほとんど再吸収ができなくなるため必要な水分がなくなってしまい脱水症状になります。猫の皮膚をつまむと戻りが非常に悪くなり、皮膚をつまむ方法は脱水状態を確認する指標でもあります。

また猫の腎臓には赤血球をつくるエリスロポエチンという造血ホルモンがありますが、猫が末期の腎不全になると赤血球をつくることができず貧血になります。貧血や脱水症状になると初期段階は元気食欲がなくなったり粘膜の蒼白が見られたりなどですが、猫の腎不全の症状が進むと意識障害や体のふらつきで寝たきりになります。

腎不全末期の猫の余命

腎不全末期かもしれない猫

予後は極めて厳しい

猫の腎不全に気づいた頃には腎臓の働きが約75%ほど失われているため、ほとんど腎臓が機能していません。特に高齢の猫に非常に発症しやすい病気でもあり15歳以上の約3割が猫の腎不全になっているといわれていますが実際はもっと高い割合で発症しています。しかし腎臓の働きは元に戻ることができないため気づくのが遅いと猫の腎不全の進行が進み、一気に末期状態になってしまうこともあります。

私が動物病院で働いてから多くの末期状態の腎不全の猫を見てきましたが予後は比較的よくありません。猫の状態にもよりますが末期状態の場合の余命は数日で命を落とす子もいれば、数ヶ月生きた子もいます。全体的に半年以内に亡くなっているというデータがあります。

諦めなければ寿命が伸びることもある

しかし猫が末期の腎不全だからといって余命はあとわずかしかないとはハッキリと言えません。実際に何年も生きた猫も中にいます。毎日通院し、点滴や注射などの治療をおこなったお陰で脱水症状や電解質の異常を補ったり、体内の老廃物がオシッコと一緒に少しずつ排出された影響で寿命を伸ばすことができたと思われます。また飼い主さんが諦めない心が猫に伝わり1日でも長く生きようと頑張ってくれます。

猫が腎不全末期と言われた時のケア

病院にいる猫

なるべく食事をあたえる

末期の腎不全になるとほとんどの猫がご飯を全く食べなくなります。しかし猫がカロリーを摂取するには食事しかなく点滴は脱水症状や電解質などを補うものであるため、なるべくご飯をあたえることが非常に大事になります。1番は猫の腎臓に負担が少ない低タンパク質の食事が良いのですが嗜好性が低いためなかなか口にしてくれない傾向があります。またドライフードでは上手く飲み込めず吐き戻しやすいことも含め、水分含有量が多いウェットフードでカロリーが高いものを選びます。猫の1回の食事回数を少量に抑え1日4〜5回ぐらいこまめに食べさせてあげるのが理想ですが猫の調子を見ながらおこないます。

体を温める

猫の腎不全が進行し食事を全くとらなくなったり、嘔吐する回数が増えたなど猫の状態が著しく良くない場合は体温が35度台と平均体温より3度以上低くなることもあります。本来では体温が低くなっているので猫は寒いと感じているはずですが、涼しく冷たいところを好むようになります。これはなるべく猫が体力を使わずエネルギー温存のために、あえて冷たいところで休んでいるといわれています。しかし低体温は呼吸が浅くなったり意識低下などがおき、そのままにしてしまうと命に関わってきます。そのため毛布を用意したり部屋の温度を調節したりなど猫の体を温めてあげることが必要です。

水分補給

毎日の通院が難しい場合は点滴セットを持ち帰り自宅で皮下補液をすることができます。しかし皮下補液は本来なら1日で体内に吸収されるはずが猫が末期の腎不全の場合は上手く吸収できなかったり、皮下に点滴するため体温が低下してしまうなど点滴で補える水分量には限界があります。そのため猫にスポイトなどで水を少量ずつ1日に何回も飲ませてあげることが大事です。ですが猫の状態によって水でも吐いてしまうことがあるため様子みながらおこないます。

排泄の補助

年齢も含めて筋肉量が低下するため猫はトイレに行くことすら難しくなったり、トイレの縁をまたぐこともできなくなるなど上手く排泄することが困難になります。そのため末期の腎不全の猫がトイレをしたそうな様子があれば連れて行ってあげたり、排泄時に足腰を支えてあげることが必要になります。

元々猫は便秘になりやすい動物ですが、高齢や水分摂取量が少ない場合は便が固くなりいきむ力もないため便秘になります。そのため排便を促すように猫のお腹を優しくマッサージしてあげます。それでもコロコロの便しか出なかったり何日も全く排便していない場合は猫に浣腸や摘便の処置をおこなうことがあったり、排便を促進させる薬を服用することがあります。

褥瘡防止

腎不全末期の状態が進行し猫が寝たきりになってしまった場合は褥瘡に気をつけなければいけません。同じ体勢のまま寝たきりにすると床(下)にあたっている部分の血行が悪くなり皮膚が壊死してしまいます。特に猫が痩せてくると肩や腰部分が骨ばるのでよく褥瘡になりやすいです。免疫力や体力もないため一度でも褥瘡になってしまうとなかなか治りにくく、傷口から感染をし敗血症で命を落とす危険がでてきます。

そのため猫に負担が少ない柔らかい布団や低反発マットを用意したり2〜3時間おきに猫の体勢を変える必要があります。また皮膚の血行促進させるためにマッサージするのも良い方法です。

猫の腎不全末期は回復するのか

腎不全末期かもしれない猫

回復することはできない

一度でも壊れてしまった猫の腎臓は元に戻ることはできません。人工透析による治療法もありますがおこなっている動物病院の数が非常に少なかったり、腎臓移植ではアメリカでわずかおこなえる病院は3箇所しかありません。そのためこれ以上猫の腎臓の働きを悪くしないように対処療法が主な治療法になるため回復することはできませんがある程度、状態が良くなったり延命することができます。

早期発見が大切

治すことができない猫の腎不全ですが早く気づくことができれば末期状態を防げるため、早期発見が非常に大事です。ですが血液検査でねこの腎臓の数値に異常がみられるときにはすでに腎臓の半分以上は機能が失われているといわれています。また初期症状が水をよく飲み頻尿になることや食べムラなどで気づきにくいため見逃してしまいがちになります。そのため食欲やトイレの回数や排泄の異常など、常に猫の調子に変わりがないか気にしてあげることが何よりも大切です。人よりも早いスピードで猫は年をとるので定期的に血液検査をおこなうことも早期発見に繋がります。

まとめ

こちらを見ている猫

猫が末期の腎不全になると呼びかけに反応がほぼなく意識が薄かったり、食事を全くとらなくなり寝たきりになってしまいます。猫の腎不全は対処療法になってしまうので予後は極めて難しいのが現状ですが、中には末期の腎不全でも長く生きた猫もいます。治療をおこなうのか決めるのは飼い主さんやその家族の方々になりますが決して諦めないでほしいです。

また猫の体温を下げないように保温したり、トイレの補助や体勢を変えたりなどケアしてあげることも寿命が伸びる要因でもありますが猫の側に寄り添うことも大切です。

50代以上 女性 玲子

家の子は雄猫です、保護猫を1歳半で健康良好との事で貰い受けましたが、間無しに慢性腎不全と判明以来、現在腎不全と闘い始めて、今年の8月に7歳を迎えますが、週3回の点滴とロイヤルカナンの腎臓サポートを、粉末にしてお水を加えドロドロにしてポンプで強制給餌をしている状態です、少しでも永くと諦めずに獣医師と相談しながら、頑張っています。

20代 男性 匿名

今年18歳の飼い猫が腎不全になりました。
悪性リンパ腫が原因だそうです。
現在ほぼ動くこともできず、少しヨロヨロと歩いたと思えば水に軽く口を付け、また横たわってしまいます。
この子は私が小学生の時に自分で選んで飼い、一緒に育ち、いつでも一緒に過ごしてきた、私にとっては大切な大切な家族です。
願わくばずっと一緒にいて欲しいです。

50代以上 女性 匿名

17歳になったばかりの雄猫です。
突然、跛行が始まり即病院で診察を受けたところ、末期の腎不全でした。
輸液を投与し療養食に切り替えて
まだ3日目ですが、
ウェットフードは昔から食べつけなくて、療養食でも変わらず横向いて口にしないので、
ドライフードだけでも、と思い、
大好きな鰹節の匂いを染み込ませてみました。
方法は、密閉容器に鰹節を入れ、
キッチンペーパーで包んだドライフードを重ねて入れて保存。
給餌の時には少しの鰹節と
キッチンペーパーで包んだままのドライフードをラップに包んで
レンジで10秒ほど温めてから、
ドライフードだけをお皿に乗せたところ、匂いを感じたのか食べてくれました。
水分補給のためにウェットフードも食べて欲しいのですが、
ササミの茹で汁を足しても
食べてくれないのがもどかしいです。
週単位、1日単位での生活になりますが、
少しでも穏やかに過ごさせてあげたいと思います。

50代以上 女性 くう

うちのにゃんは6歳の保護猫です
昨年慢性腎不全を発症して1ヶ月入院し、その後毎日点滴で通院し今は自宅で皮下注射と炭カプセルをウェット餌にまぜて毎日強制給餌しています
動物は言葉を話さないので人間が気を付けて少しの変化も見逃さないようにしてあげないと、それには体重の減少と獣医師に言われたので毎日体重測定して記録を付けています。
1日でも長く生きてもらうために。