猫の膀胱炎とは?
猫は泌尿器系疾患になりやすく、その多くが膀胱炎を発症しています。オシッコをためる膀胱に炎症が起きることで膀胱炎になります。メス猫の方がオス猫よりも尿道が短く、細菌が膀胱に入りやすいため、細菌感染により膀胱炎を発症することが多いです。また尿石症により膀胱内が傷ついたことで発症することもあります。そのため膀胱炎でも症状が軽く、猫が持っている自然治癒力で良くなることもあれば症状が長続きしたり、重症化することもあります。猫が膀胱炎を発症すると以下のような症状が現れます。
- 何回もトイレに行くがオシッコの量が少ない(頻尿)
- トイレにいる時間が長く、落ち着きがない
- 痛そうに鳴く(排尿痛)
- 血尿
- トイレ以外でオシッコする
- 陰部をよく舐める
- 元気喪失、食欲不振
猫の膀胱炎は自然治癒する?
猫の膀胱炎は自然治癒するのでしょうか?確実に断言はできませんが、たまに猫の膀胱炎が自然治癒する事もあります。
実は猫の膀胱炎の多くは原因が不明である「突発性膀胱炎」といわれており、主な要因としてストレスがあげられます。引っ越しやペットホテルに預けた、家族が増えた、騒音などの環境の変化によるものです。
猫は些細なことでも敏感に感じ、ストレスとなってしまうため膀胱炎を引き起こしやすいと考えられます。また飲水量の低下も膀胱炎を引き起こす要因ともいわれており、夏場よりも飲水量が少なくなる冬場に発症しやすい傾向があります。
このような環境の変化によるストレスや飲水量の低下などによるものであれば、場合によっては膀胱炎が自然治癒で治ることも稀にあるそうですが、膀胱炎の根本的な原因が明確ではない限りは自然治癒で治るとはハッキリ断言できません。
猫が膀胱炎になったら自然治癒を待たないで!
環境の変化によるストレスや飲水量の低下などによって膀胱炎を発症した場合、自然治癒で治ることもありますが突発性膀胱炎のように原因が不明な場合が多いため、自然治癒で良くなることもあります。
猫の膀胱炎は再発しやすい
しかし猫の膀胱炎は再発しやすいのが特徴です。そのため猫が持っている自然治癒力で一時的に症状が軽減されるだけであり、完全に治ったわけではありません。また尿石症によりオシッコに結晶や結石ができ、それが膀胱内を傷付けてしまうことで炎症を起こし膀胱炎を発症することもあります。
最悪の場合、尿道に結晶が詰まってしまいオシッコが全くでなくなってしまいます。腎臓に大きなダメージをあたえ急性腎不全、尿毒症となり命を落とす危険があります。自然治癒でそのうち良くなると思ってしまっては取り返しがつかない事態になることもありうるのです。
仮に命が助かったとしても一度ダメージを受けた腎臓機能は元には戻らないため、後遺症として慢性腎不全となり生涯過ごすことになります。膀胱炎を繰り返し発症することも、膀胱粘膜や炎症細胞が膿のようなドロッとした固まりとなり尿道に詰まってしまうケースも実際にあります。
適切な治療が必要
適正な治療を受けなければ再発を繰り返したり、更に状態が悪化して命に関わってくるため、自然治癒力だけではどうしようもありません。そのため完全に完治するためには早めに動物病院を受診し、治療を受けることが必要です。
しかし中には通院が必要だけれども1回の治療で症状が良くなったことで様子を見てしまい、再び膀胱炎を発症してしまうケースが非常に多いです。必ず獣医師の指示に従い、根本的な原因を見つけ対処していくことや良くなったからと自己判断で投薬をやめないことが膀胱炎の再発を防ぐことに繋がります。
猫が膀胱炎になった時の治療方法や費用
治療方法
猫の膀胱炎は自然治癒力で症状が落ち着く場合もありますが排尿痛や頻尿、血尿などの症状があり、再発しやすいため放置せず早めに治療を受けることが大事です。
一般的な膀胱炎の治療として膀胱内が炎症を起こしているため消炎剤や止血剤の投与をおこないます。また細菌感染で膀胱炎を発症した場合は抗生物質の投与もおこないます。
しかし尿石症が原因だった場合は膀胱炎の治療とともに尿石症に対しても対処していかなくてはいけません。療法食に切り替える場合もあれば、膀胱内に結石ができている場合は手術する必要があります。
治療にかかる費用
猫の膀胱炎にかかる治療費は幅が広く、細菌感染やストレスなどの場合は注射や内服により改善されたり、専用の療法食を切り替えることで症状が落ち着く場合があるため、だいたい1日の治療で10000円以内に収まるケースが多いです。
しかし再発を繰り返してしまうとその分、治療費がかかります。
また膀胱内に結石ができていたり、尿道に詰まりオシッコが出ない状態であれば手術が必要となりますので治療費が高額となり10万円以上もかかってしまうこともあります。
個体差がありますが猫の膀胱炎をはじめ、泌尿器系疾患は再発しやすいため定期的な尿検査・レントゲン検査などを受けることが大事です。
猫の膀胱炎を予防するには
ストレスをあたえない
環境の変化などによるストレスで猫は膀胱炎を引き起こしやすいため、ストレスの原因であるものを排除させることです。猫は些細な変化に対しても敏感に感じとってしまうため、なるべく生活環境を変えないように配慮しましょう。
猫は単独動物ということもありテリトリー意識が高いところがあります。そのため環境が変わる引っ越しやペットホテルに預ける、来客などは猫にとっては自分のテリトリーが乱されストレスとなってしまうため注意が必要です。
トイレ環境を見直す
またトイレの大きさが猫に合っているのか、静かな場所にあるかなど、猫が安心してトイレができる環境づくりも非常に大切です。こまめに清掃することも大事ですが、中にはトイレ砂の種類や敷き詰められている量にこだわりがあったり、臭いでトイレを使わない子がいます。
そのため猫がスムーズにトイレしているか、日々の様子をチェックするようにしましょう。トイレの大きさや砂の種類を変えたり、トイレを綺麗に洗うだけでも改善されることがあります。
特に多頭飼いの場合は猫の頭数より最低でもプラス1個は多めにトイレを置いておくようにし、いつでも安心してトイレができるようにします。
水飲み場を数カ所設置する
飲水量の低下も膀胱炎や尿石症などの泌尿器系疾患を引き起こしやすいので、水飲み場を複数箇所用意し、猫がいつでも水を飲めるようにします。特に冬場は飲水量が少なくなる傾向がありますので水ではなく温かいお湯にしてあげるなど、ほんの一工夫するだけでも水を飲んでくれることがあります。
定期的な尿検査を
ストレスや飲水量の低下などに膀胱炎を発症した場合は比較的軽症で、稀に自然治癒力で症状が落ち着いたり1回の治療で改善することもありますが、オシッコの見た目は普通でも出血していることがあります。
そのため出血していないか、どれくらい炎症が起きているかどうか知るためにも尿検査をする必要があります。また結晶の有無も分かるため尿石症と関連していないか知るためにも尿検査をおこなうことは非常に重要です。
自然治癒力で症状が良くなったとしても再び症状がぶり返しやすいため、再発防止のためにも定期的に尿検査をおこないましょう。
まとめ
猫は泌尿器系疾患にかかりやすく、その多くが膀胱炎を発症しており頻尿や血尿、排尿痛などの症状が見られます。しかし猫の膀胱炎の多くが、原因不明である突発性膀胱炎といわれています。猫はストレスを感じやすく体調を崩しやすいため膀胱炎になりやすいと考えられます。
引っ越しやペットホテルに預けた、来客、家族が増えたなどの環境の変化によるものです。また飲水量の低下もオシッコが濃縮するため膀胱炎を引き起こす要因でもあります。
そのような環境の変化によるストレスや飲水量の低下などにより膀胱炎を発症した場合は、稀に猫が持っている自然治癒力で症状が良くなることがあります。ですが根本的な原因が不明なケースが多いため再発しやすいので、あくまでも自然治癒力により一時的に治っただけにすぎません。
また尿石症により膀胱内が傷ついて膀胱炎を発症するケースもあり、最悪の場合は尿道に詰まってしまいオシッコが完全に出なくなり命を落とす危険性があります。そのため自然治癒でそのうち良くなると思ってしまっては取り返しがつかない事態になる恐れがありますので必ず動物病院に受診し適切な治療を受けることが大事です。
そのこともあり内科療法や食事療法で済む場合は治療費の負担が少ないですが、再発しやすいので繰り返してしまったり手術が必要な場合は高額となってしまいます。
そのためにも日頃から猫の様子を観察しながらストレスになるものを排除したり、トイレ環境の改善や水飲み場を増やすなど生活環境を良くすることが膀胱炎の発症・再発を防ぐことができます。