生き残った三毛猫はうちの子に
車に乗り込み、膝の上で眠りながらうちの子になった杏。ケージも何も準備せずに、車に乗せたのは、今思い返すと、少々無謀だったと思います。
保護されて知らない所に連れて行かれるのに暴れもせず安心し切って眠る姿は、これまでの野良生活の過酷さも思われました。深夜、家に着き、大人しく抱かれて室内へ。老犬との接触が心配でしたので、とりあえず犬のお留守番へ隔離しました。
これから2週間、犬のお留守番部屋での家猫生活スタートです。 猫砂の準備もなく、新聞紙をちぎりダンボール箱に、仮のベットもダンボール箱に毛布を準備。子猫もその様子をおとなしく見守っていました。
食器から水を飲む事も知らず、汚れた溜まり水を飲んでいた杏。両耳の先は、虫に刺されて血の固まりだらけで、今でもギザギザの痕が残ったままです。
猫はあまり水を飲まないと言いますが、杏はお水が大好き。初めて食器から水を飲んだ時、もし話すことができたなら「おいしいニャン」と言いそうなほど、がぶがぶとよく水を飲みます。
家猫として安心して過ごしてきた子たちが知らない、外での過酷な暮らしがうかがえる時はとても胸が痛みます。もっと早く足を止めて保護するべきだったと、申し訳ない気持ちでいっぱいです。妹猫を助けられなかったことも後悔しています。
幸い、子猫は隔離部屋で落ち着いて過ごし、ご飯も食べ、おしっこは犬のシーツに済ませるようになりました。私が仕事から帰宅すると、待っていたかのようにお迎えしてくれるもたまらなくかわいらしい!
多くの猫の飼い主さんが一度は悩んだことがあるであろう、トイレのしつけもスムーズに覚えてくれました。その後、子猫の成長に合わせて、トイレの砂、トイレ本体を変えましたが、これまでの1年半、一度も失敗したことはなく、とてもお利口さんです。
数日後、犬のかかりつけ病院を受診。3〜4か月の三毛猫の女の子であることがわかりました。医師からは、猫風邪を引いているため、回復してもウィルスは残るため、室内外で飼うようにとアドバイスをいただきました。採血をする時、ちょっとしたハプニングが発生!手足全開でかなりショックな体験だったようです。
離乳してからしばらく、自分自身で生き抜いてきたからか?甘えん坊ですが、少々勝ち気で、はっきりした性格です。
先住犬ビジョン、フリーゼと初めての顔合わせ
いよいよ、隔離部屋から居室へ。老犬で元々穏やか、猫好きなうちの犬との対面はスムーズで、お互い特に警戒する様子もなく、同居生活がスタートしました。
幼い杏はも、犬のふもふした白い毛に興味深々。一緒に遊びたくて仕方ない様子です。時にはしっぽを触ってみたり、時にはお互いに相手のベッドでお昼寝をしてみたり、夏になると冷んやりしたアルミプレートを取り合うことも。
お留守番をしているときは、お互いに協力し合ってフードの入った容器から食べようとしたこともあります。高いところにひょいと登ることができる猫が落として、眼科で犬が待ち受けるという見事な連携プレーを披露しました。
すでに17歳のシニア犬だったことから、杏を迎えてまもなく、虹の橋へ。杏は横たわる犬にそっと近づいて、鼻と鼻をくっ付けながら見送りました。
それ以来、杏は以前にも増して甘えん坊になりました。おそらく、犬とはもう会えないということを理解しているのかもしれません。その様子を目にした私は、ご縁があったら保護猫ちゃんを迎えようと考えています。