【みんなの保護猫物語〜ちっぷくんとの出会い】

【みんなの保護猫物語〜ちっぷくんとの出会い】

最近では、外で暮らしていた猫ちゃんを保護し、家族に迎える人も増えてきました。飼い主さんと保護猫ちゃん、どのように出会って、どんなふうに共同生活を築き上げているのでしょうか?飼い主さんのリアルな声をお届けします!

引っ越し先の沖縄で出会った子猫

野良猫のコロニーで負傷した子猫を発見

今回の主役は、キジトラの男の子で2歳のちっぷくん。普段は、1歳年上の「くるみ」ちゃんと暮らしています。

ちっぷくんとくるみちゃんは、どちらもキジトラのねこちゃん。ちっぷくんの被毛は、黒色が多めでくっきりとした縞模様が特徴。瞳は黄色味が強く、鼻下の“ひげ袋”(通称:ウィスカーパッド)がくるみちゃんよりふっくらとしています。普段は、「ちー」というニックネームで呼ばれているそうですよ。

飼い主さん夫婦とちっぷくんは、引っ越し先の沖縄で出会いました。おうちのまわりには、野良猫ちゃんたちのコロニーがいくつもあったそう。大家さんの話しでは、昔、近くで猫をたくさん飼っているおうちがあったそうですが、飼い主さんが亡くなり、残された猫ちゃんたちがコロニーを形成していったのだとか。

どのくらいの猫ちゃんたちがいて、どのように暮らしているのか興味をもった飼い主さん夫婦は、猫ちゃんたちを見分けるためにお名前をつけて、お互いに報告し合っていたそうです。

その中に、三毛猫の「とこ」ちゃんという高齢の猫ちゃんがいました。近所の方の話しによると、繁殖時期を迎えると今でも3匹から4匹くらいの子猫を生んでいるといいます。飼い主さん夫婦は、野良猫ちゃんたちとは一定の距離を保ちながら見守っていたため、とこちゃんの様子もうかがっていたそうです。

ある日、とこちゃんが4匹の子猫を出産したことがわかりました。そのうちの1匹の子猫は、とこちゃんのそばを離れず、まわりをキョロキョロ見回したり、甘えたりするものの、あまり動き回る様子が見られません。飼い主さん夫婦は気になってその子猫の様子をよく見ると、左の後ろ足が少し変形し、引きずるように歩いていることがわかりました。

しばらく子猫の様子を見守っていたところ、飼い主さん夫婦は衝撃的なシーンに遭遇してしまいます。お庭でふと気になる何かに目をやると、なんとそれは猫の足だったのです。どうやら、あの子猫の足が取れて落ちてしまったようです。あわてて子猫の姿を探しましたが、その日はみつけることができませんでした。

ようやく、子猫を保護したのは翌日のこと。雨が降る中、飼い主さん夫婦のおうちの軒下でうずくまっている子猫を発見。ママ猫のとこちゃんが子猫に声をかけますが、痛みから身動きが取れない様子。しばらくすると、とこちゃんはほかの子猫を連れて立ち去ってしまいました。

飼い主さん夫婦は、見るに見かねて、子猫を保護。先住猫のくるみちゃんがいたことと、足が不自由な子猫の一生に責任を負えるかなど話し合った上で、小さな命を救いたいという思いに突き動かされたそうです。

足にハンデを負った子猫…元気いっぱいに成長!

こうして、飼い主さん夫婦の家族の一員になった子猫のちっぷくん。おうちに迎えられてからは、1ヶ月ほど、入院をする日々が続きました。外での生活はとても過酷。野良猫ちゃんは、ノミダニ、皮膚炎、目やになどの症状を抱えていることが多いですが、ちっぷくんはそれに加えて、ケガをした左足の処置も必要に。一度は、皮膚を再生し左足を残すための手術が行われましたが、うまく皮膚が定着しなかったため、結果的に、断脚することになりました。

片足を失った子猫が無事に成長することができるか不安も大きかったそうですが、そんな飼い主さん夫婦の心配をはねのけるほどのやんちゃな男の子になったそう。

「野良猫について深く考えるきっかけにもなりました。無事に退院したあとは『ぼく!にんげん、だいすき!!!』感がすごくなって驚きました(笑)抱っこすればずっとゴロゴロ鳴くし、お返事もする。何でも食べるし、立派なうんちもすぐしました。結果的に3本足になって身体を動かしにくいはずなのに、いつも元気に飛び跳ねて、お世話している私たちがいつも元気をもらっていました」

おうちでの生活がはじまると、ちっぷくんには布におしっこをする癖があることが発覚。特に、ひんやりした布地のものには、今でも100%の確率で粗相をしてしまうのだとか。そんなちっぷくんを温かく見守りながら過ごしています。

飼い主さんによると、ちっぷくんはお姉ちゃんのくるみちゃんに対しては“オラオラ”系になって「ぼくが1番!」とアピールするのだとか。一方で、飼い主さんの前では、超がつくほどの甘えん坊に大変身するそうですよ。

「ちっぷは、来客があると驚いて走り回ってバレバレのところに隠れたと思えば、すぐに様子を見に来ます。いたずらをして叱ったときの反応でいえば、『ボクじゃない!!!』と反論するタイプです」

「保護猫」ちゃんをお迎えすることへの思いとは?

くるみちゃんに続いて、ちっぷくんを保護し家族に迎えた飼い主さん。猫ちゃんにずっとのおうちと家族を作ることができること、そして保護主にとっても猫と暮らすことでしか得られない貴重な経験をさせてもらえること、それらすべてがとても素晴らしいことだと感じているそう。

その上で、飼い主さんはくるみちゃんとちっぷくんを保護したことをきっかけに、保護猫を取り巻く厳しい現実を知りました。今でもたくさんの猫が外での過酷な暮らしを余儀なくされていること、そして猫ちゃんたちを保護するために活動している団体がたくさんあるものの、その手が追いつかず、経営難や人材不足などで存続の危機に陥るケースがあること。

クラウドファンディングや募金など一般の人でもできる支援をしながらも、もっとどうぶつと暮らすことについて意識を高めていかなくてはいけないと考えるているそうですよ。

「くるみとちっぷを保護して、そういった現状を目の当たりにして『私たち人間は、もっと深く考えて生きていかなければならないな』と強く感じました。いつか野良猫たち、動物たちと人間が素敵に共存できる世界ができたらいいなと思っています」

ちっぷくん、くるみちゃん、飼い主さん、素敵なエピソードをシェアしてくださり、本当にありがとうございました!

※この記事は、取材協力者さまのご了承をいただいたうえで制作しています

取材/ねこちゃんホンポ編集部
文/m_sato

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