台風上陸まぢかに保護した子猫
資材置き場で鳴いている子猫を保護
今回の主役は、キジトラの女の子で3歳の「くるみ」ちゃん。普段は、1歳年下のちっぷくんと暮らしています。
くるみちゃんとちっぷくんは、どちらもキジトラのねこちゃん。くるみちゃんは、全体的に茶色が多く、しましまが薄めの被毛が特徴です。普段は、くーちゃんと呼ばれているそうですよ。
飼い主さん夫婦とくるみちゃんの出会いは、ある日、外から聞こえてきた鳴き声に気づいたことがきっかけ。すぐに姿を探しましたがみつからなかったため、しばらく気にかけながら過ごしていました。
すると、台風上陸のニュースが出た夜、事態は急展開を迎えます。
「そろそろ寝ようと思っていたら、また子猫の鳴き声が聞こえて来ました。私は『呼んでる!』と声を出してベランダへ。あとから夫も来て、一緒にベランダから外をのぞくと、夫が『あそこにいる!』と子猫の姿を発見。すぐに外へ飛び出して鳴き声をたよりにあたりを探しました」
飼い主さん夫婦は、畑の中にある木材が積み上げられた資材置き場のようなところから、子猫の鳴き声がすることを探し当てます。ところが、人の気配におびえたのか、子猫は奥の方に隠れてしまいました。
そこで、飼い主さんはご主人をその場に残し、いったん自宅へ。子猫を保護するときに使用する洗濯ネットを持って、コンビニで猫用のおやつなどを購入して、再び、現場に直行。「子猫を救いたい」という一心で、子猫を誘い出そうと試みますが、なかなか姿を現してくれません。
しばらくして、飼い主さんはふとあるアイデアが頭に浮かんだそう。
「SNSで子猫が母猫を呼ぶ声を聞くと猫が寄ってくる動画を見たことを思い出し、スマホで動画を再生すると、ようやく子猫が歩いて出てきました。そのまま、私たちが用意したご飯を勢いよく食べ始めました。変わらず、大きな声で鳴いていましたが、その声は前と違って『お母さん、大丈夫だよ、私はここにいるよ。元気だよ』と訴えているように聞こえました」
飼い主さん夫婦は、無事に子猫を保護。猫ちゃんとの暮らしがはじめてだったため、知り合いからアドバイスを受けながらお世話をしたそうですよ。
子猫を保護して驚いたこと
飼い主さんのご主人は、実家で猫ちゃんと暮らした経験があったそうですが、飼い主さん自身はハムスターちゃんと暮らしたこと以外、どうぶつと暮らすのははじめて。子猫のくるみちゃんをお迎えした当初は、「これでいいのかな?」と悩みながら、必死でお世話をしていたそうです。
「どの仕草もかわいくてかわいくて仕方ありませんでしたが『これからこの子を幸せにできるかな?』と思って不安でした。子猫はあまりにふにゃふにゃしていて、どう抱っこしていいかわからなくて、あまり抱っこできませんでした。今振り返ると、『もっと抱っこしておけばよかった!』と思います」
飼い主さんの不安をよそに、くるみちゃんはすくすく成長!トイレもスムーズに使うくるみちゃんを見た飼い主さんは「あ、あ、できるのね…!すごい!えらい!」と、とても驚いたそう。
また、おうちに来てすぐの頃は、「シャー!」と威嚇する仕草を見せていたくるみちゃん。あるとき、「パンッ!!」という破裂音のような威嚇をされて、「そんな音出るの?!」と新たな発見もあったのだとか。飼い主さんは、どんな威嚇をされてもかわいくて仕方がなかったようです。
子猫が家族になった瞬間とは? 今では“お嬢様”に成長♡
くるみちゃんは、子猫時代、不安からか飼い主さん夫婦を“後追い”する行動がみられたそう。どこに行くにもついて来ようとして、姿が見えなくなると大きな声で鳴くくるみちゃんのために、一緒に寝たり、遊んで気をまぎらわしたり、工夫をしたそうです。
そんな、子猫のくるみちゃんと飼い主さん夫婦の間に、確かな絆が生まれたことを感じられる出来事が起こりました。
就寝時は同じ空間で寝るようになって3日目のこと。それまで、くるみちゃんは飼い主さん夫婦が寝ているベッドの下にあるクッションで寝ていましたが、ふと気づくとベッドの上にきて一緒に寝ていたそう。次の瞬間、あるハプニングが起こりました。
「夫と私が『いるよ、いる!』と、ベッドの上で起き上がると、同じように起き上がり、眠気眼をがんばって開きながら布団の上に座って少しぼんやりしていました。すると、おしっこをしたんです。あわてて夫がおしりを抱え持ち上げましたが、そのまま手の中でおしっこをし続けました。多分くるみにとってその瞬間が『あ、ここのおうちの子になっていいんだ』と気が抜けた瞬間だったんだと思います。後にも先にも、くるみが粗相をしたのはその1回だけでした」
飼い主さんによると、くるみちゃんはちょっぴり臆病な性格なのだとか。来客があるとすぐに隠れて気配を消すそう。一方で、“メンヘラ”気質なところも持ち合わせているようで、「自分が一番じゃないとダメなお嬢様」なところもあるのだとか。イタズラをして叱られたときの反応にも、その性格があらわれているそうですよ。
「『え、あたし?なにもしてないですけど?怒らないでくださる?わたしを。そういえば撫でてもらっても?』という場を濁すタイプです」
猫と暮らして気づいたこと
飼い主さんにとってはじめてとなる猫ちゃんとの暮らし。そこには実際に生活を共にしないと見えてこない気づきがたくさんあったそうですよ。
「単純に猫を見る目が変わりました。猫は飼いやすいなんて言われることもありますが、トイレも失敗するし、いたずらだってたくさんする。夜鳴き朝鳴き運動会、そんな生活に慣れるまでは睡眠不足が続きます。病気になれば病院、自宅での薬の管理、お世話だってしなければなりません。頭ではわかっていたものの生き物と暮らす、ということは本当に簡単なことではないんだなと感じています」
また、新たな発見もあったそう!飼い主さんによると、一般的に猫の鳴き声は「にゃー」と表現されることが多いですが、それ以外にもいろいろな鳴き声があることを知ったそう。
「『わおー』だったり『ぶるるん』だったり『ぴ』という電子音みたいな音だったり。たまに『にゃー』と鳴けば、我が家では『ねこみたいなやつがいるぞ』と騒ぎになります」
飼い主さんは、くるみちゃんをお迎えする前は「猫はクールな生き物」だと思っていたそうですが、そのイメージも180度変わったようですよ。
「ひんぱんに構って欲しがるし、撫でるとすっごい喜ぶし、飼い主に元気が無いと猫も元気が無くなり、飼い主が元気だと猫の機嫌も良くなるんです。とても観察眼に優れていて、まわりに影響されやすく、寂しがりやで、すぐに表情に出る。かなりユーモアな生き物でした」
くるみちゃんはもちろん、弟のちっぷくんは、飼い主さん家族にとってかけがえのない存在になっているそうです。
「くるみとちっぷに、夫も私も救われています。猫たちがいなければ、乗り越えられなかった場面もたくさんありましたから。毎日元気をたくさんもらっています」
くるみちゃん、ちっぷくん、飼い主さん、素敵なエピソードをシェアしてくださり、本当にありがとうございました!
※この記事は、取材協力者さまのご了承をいただいたうえで制作しています
取材・文/m_sato
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