猫の上手な抱っこの仕方
猫を抱っこしたいと思っていても、一度も経験したことがないとどのように猫を持ち上げていいのか不安ですよね。まずはどのように持ってあげると猫に負担がなく持ち上げられるのか、やり方を紹介します。
成猫向けで解説しますが、子猫を持ち上げる時も方法は同じですので、ぜひ参考にしてみてください。
猫の両脇に片手を入れる
まずは猫がくつろいでいる後ろから、両脇に手を入れましょう。慣れないうちは、両手でも大丈夫です。少し上半身を持ち上げたら、片手だけで支えます。
もう片方の手でお尻を支える
次に、もう片方の手で猫のお尻を支えます。背中から手を滑らせて、しっぽの付け根辺りを持ち上げましょう。こうすると、上半身と下半身どちらも支えられるため、猫が苦しくなる体勢を避けられます。
そのまま抱き上げて体に密着させる
持ち上げられたら、素早く体に密着させます。はじめのうちは、仰向けにはせずに、膝の上に乗せて少しずつ慣らすのがおすすめです。猫も飼い主もリラックスしてできるようになると、仰向けでも抱っこさせてくれるようになるでしょう。
また、抱っこ紐(スリング)を使って抱っこの練習をする方法もあります。猫の個体差によりますが、抱っこ紐に包まれて密着されている方が落ち着く場合があります。中には寝てしまう猫もいるようです。
人と密着するのは気持ちいいという感覚を覚えると、抱っこがしやすくなるかも知れません。抱っこがうまくできない時のトレーニングの一つとして、試してみるといいでしょう。
猫を抱っこする時の注意点
抱っこを丁寧に行っても、猫の気分がすぐれないタイミングなら、嫌がって逃げ出そうとします。抱っこ前の様子や、抱っこ中よく観察してみましょう。
無理に抱っこを続けると信頼関係に溝ができてしまうため、注意点を参考にして、猫に負担をかけないように抱っこをしてくださいね。
無理やり抱っこしない
猫に近づいた時にその場から離れようとするなど、避けるそぶりをしたら抱っこはやめましょう。
追いかけてつかまえるのもNGです。そもそも抱っこ自体が苦手になる恐れがあるため、猫のペースに合わせて無理に行わないようにしてください。
嫌がったらやめる
抱っこに成功したけれど、離れようとするなら嫌がっている可能性があるため、やめてあげましょう。抱っこの体勢が合わず苦しそうにする場合もあります。いつもと様子が違うかな?と感じたら、楽な姿勢にもどしてあげてください。
無理に抱っこを続けてしまうと、抱っこが嫌な行為というイメージがつく恐れがあります。猫の気分に合わせて抱っこをするのが大切ですので、嫌なそぶりをしたらすぐに離してあげてくださいね。
手術後や妊娠中は避ける
去勢や避妊後など、手術後は体がつらいため抱っこをすると痛がる可能性があります。妊娠中も同様に、通常負担がかからない体勢で苦しくなる恐れがあります。こんな時は、無理に抱っこをしない方が安全です。
また、ストレスや恐怖心で痙攣を起こす場合があります。もともと抱っこが苦手だったり、抱っこで怖い思いをしたりした可能性があると起こります。そんな時は抱っこをとうぶんしない方がいいでしょう。
ストレスの場合、一時的な痙攣で済みますが、もし病気からくる痙攣の場合は、長時間続きます。その場合は、獣医師に相談してみてくださいね。
猫が抱っこをせがむ時のサイン
飼い主さんに抱っこをせがむ猫もいます。そんなときは、じっとみつめてきたり「抱っこしてほしい!」と言っているかのように鳴いたりなど、猫から近寄ってきて飼い主さんにサインを出していることが多いです。
猫から触れ合いを求めているときは、抵抗なく抱っこができるチャンスですので、ぜひサインを見極めて抱っこをしてあげましょう。
見つめてくる
見上げながら見つめてくるときは抱っこのチャンスです。触ってほしい、甘えたい可能性があるので、ぜひ抱っこをしてみましょう。
中には気づいてくれたのがうれしくて喉をゴロゴロ鳴らしはじめるかも知れません。抵抗なく抱っこができる可能性が高いのでぜひ抱っこをしてあげてください。
鳴く
飼い主さんに向かって、問いかけるように鳴いているなら、抱っこしても良いタイミングかもしれません。
猫は何か要求があると、鳴きながらおねだりします。同時に前足を使って飼い主さんにちょんちょんと触れてアピールすることもありますよ。
触れてほしい、遊びたい、お腹がすいたなど、何か訴えているため、様子を見てぜひ抱っこをしてみてください。
くっついてくる
足元をグルグルまわったり、後ろをついてきたりしたら、飼い主さんに甘えたいモードの可能性が高いです。時には飛びつきながらねだる猫もいます。
そんなときは触れても嫌がる可能性は低いので、抱っこをしてあげましょう。甘えたい欲求が満たされて、きっと猫も喜んでくれますよ。
猫が抱っこを嫌がる理由
猫が抱っこを嫌がる理由は、いくつかあります。普段から抱っこが好きでも、してほしくないタイミングのときもあります。そしてもともと抱っこ自体が苦手と感じている猫も。
また、抱っこに嫌なイメージがついてしまって、どうしても怖くて逃げてしまう場合もあります。
もし、抱っこがなかなか上手にできないなと感じているなら、タイミングや、猫の性格、過去の嫌な記憶などの中から、いくつか原因があるのかもしれません。
これまで抱っこをしたときの猫の様子を思いだして、ぜひ参考にしてみてください。
ストレスを感じるから
抱っこ自体にストレスを感じるとさせてくれない場合があります。これは抱っこ好きな猫でもあるケースです。たとえば、一人でゆっくり眠りたいタイミングで飼い主さんに抱っこをされたらストレスになります。
ストレスを感じさせないためには、猫のペースを崩さないことが大切です。かわいい姿を見るとどうしても抱っこをしたくなる日もあるかもしれませんよね。しかし、抱っこが苦手になる恐れがあるので、我慢しましょう。
自由に過ごしたいから
抱っこは猫にとって身動きができない状態です。自由に過ごしたいと思っているときに、抱っこをされそうとわかると逃げることがあります。
抱っこが好きな猫は、今は抱っこをしてほしくないときに、しっかり態度で抱っこを拒否してくれます。そんなときは一度放してあげましょう。猫の気が向くときまでゆっくり待ってあげてくださいね。
体勢が苦しいから
抱っこをしてほしいときでも、体勢が苦しいと嫌がる場合があります。たとえば、お腹や胸が圧迫されるような体勢や、ぎゅっと抱っこをしてしまったときは、猫は苦しいと感じます。
そして、猫の体は両手を使って上半身と下半身両方を支えると安定しますが、前足だけ持って、猫のお尻をぶらーんとさせてしまうと、とても苦しい体勢です。
体全体を両手でしっかり支えて、一部にだけ体重が片寄らないように抱っこしてあげましょう。
飼い主の抱っこが下手だから
抱っこに慣れていない飼い主さんが猫を抱っこをすると、猫も落ち着ける場所と感じないため嫌がる場合があります。猫の上半身、下半身を支えてからすばやく体に密着させると比較的スムーズに抱っこができますが、やはり慣れていないと難しいですよね。
猫の体はとても柔らかくて、持ち上げようとすると体がよく伸びます。触り慣れていないと、どうやって持つのが安全なのか不安になると思います。
しかし、日々接して触れ合っていると、猫の体の柔らかさにも慣れてくるでしょう。不慣れな場合は、なでるところから始めてゆっくり猫と接して距離を縮めるのもいい方法です。
猫にも好き嫌いがあるから
抱っこが好きな猫と嫌いな猫がいます。これは生まれつきの性格も関係しています。抱っこは急所のお腹周りを触れられる可能性が高いため、猫の警戒心も自然に働きます。
もし、タイミングを見計らって抱っこをしようとしても、逃げるなら無理をしないほうがいいです。嫌なことを何度もくりかえしされると猫にストレスがかかり、飼い主さんとの信頼関係を壊す恐れがあります。
すぐにお腹をオープンにして寝られる猫もいれば、飼い主さんのそばで丸くなって寝るのが安心な猫もいます。愛猫はどんなタイプか見極めて、抱っこが苦手と感じたら無理にしないのがおすすめです。
嫌な臭いがするから
抱っこをする人から苦手な臭いがすると嫌がる場合があります。たとえば香水やたばこの臭いです。
普段から香水やたばこの臭いが身近な人はあまり臭いを感じないかもしれませんが、猫にとっては刺激が強い可能性が高いです。香りの強いハンドクリームでも反応する場合があります。
また、みかんやグレープフルーツのような柑橘系の香りも苦手です。柑橘系のフルーツをカットした後に、猫に近づくと嫌がられてしまう場合があるので注意しましょう。
痛い思いをした記憶があるから
抱っこをされたときに、落ちた経験などから痛い思いをした記憶があると嫌がる傾向があります。特に嫌な経験を生後2〜7週間頃にしていると、より鮮明に記憶している可能性が高いです。
特にこれまでに、抱っこで落としたり、怖い思いをさせたりした記憶がないのに、嫌がる場合は子猫時代の記憶や、慣れない病院で抱っこをされたときに怖いと感じてしまったかもしれません。
痛い・怖い経験は、人間もすぐに忘れられませんよね。すぐに抱っこは難しいと思われるので、なでるところから始めて、ふれあいが気持ち良いと感じてもらうところから始めてみましょう。
猫が抱っこを嫌がる時に見せるサイン
猫の抱っこに成功した!と思っても、そのままじっと眠る猫もいれば、嫌がるそぶりを見せて抱っこから解放されようとする猫もいます。抱っこが嫌になると猫は一体どんな行動をとるのでしょうか。一例を紹介します。
- 暴れる
- 噛む
- 震える
- 唸る
- 猫パンチする
おもに、体を動かして、鳴き声を発して「ここから逃げたい!」とアピールします。まずは体を反るところからはじめるのが多いでしょう。
そして、抱っこの手をほどこうと、体とともに足をピーンと伸ばして逃げる隙間を一生懸命につくります。同時に、なにか訴えるように鳴くこともあります。
この時点で抱っこをやめると安心ですが、訴えを無視して抱っこを続けると、「シャー」と声を出して怒ったり、爪を立てたりする場合があります。
猫と飼い主さんがお互いにケガする恐れがあり、大変危険です。また、信頼関係を壊してしまうかもしれません。
特に子猫の場合、怖い記憶になる恐れがあります。抱っこ嫌いにならないためにも、無理に続けずに猫から嫌がるサインが出ていたらすぐに放してあげてくださいね。
猫を抱っこ好きにする方法
猫を抱っこ好きにするには、いつから慣れさせるのが良いのでしょうか。
実は子猫のうちから触れ合って抱っこが気持ちいいものと知ってもらうのが理想です。しかし、怖い思いをした経験や、もともとあまり抱っこが好きではない場合もあります。
訓練のようになるため時間は必要ですが、正しい抱っこの方法を覚えて、猫のペースに合わせて触れ合っていくと、抱っこが好きになってくれる可能性があります。
もし、現在猫の抱っこがうまくいっていないと感じていたらぜひ参考にしてみてください。
抱っこの仕方を見直す
これまでしていた抱っこの仕方が猫の嫌がるやり方かもしれないと感じたら、今一度見直してみましょう。
もしかしたら、いつもタイミングが悪かったのかもしれません。逆に、タイミングが良くても猫に合わない抱っこの仕方をしていた可能性もあります。
ぜひ、記事の最初で取り上げた「猫の上手な抱っこの仕方」を参考にして、抱っこの仕方を見直してみてくださいね。
猫とコミュニケーションを取る
まだ猫を抱っこをするには早いと感じたら、猫とのコミュニケーションを取ることからはじめましょう。名前を呼んでなでるところからゆっくり進めてみてください。
たとえば「おはよう!(猫の名前)」と挨拶とセットにして、頭をなでなでしたり、猫がくつろいでいるときに名前を呼びながら背中をなでたり、ふれあう回数を増やしてみてください。
すると徐々にお互いの距離感が縮まって、抱っこがしやすいタイミングが増えるはずです。
ご褒美をあげる
抱っこができるようになっても、すぐに逃げてしまうようならご褒美をあげる方法もあります。一番手軽なのはおやつですが、抱っこのたびに与えると食べすぎにつながるため、ときどき行ってみましょう。
他の方法は、飼い主さんが喜んで愛猫をたくさん褒めることです。「よくできたね」とやさしく声をかけてあげてください。
「抱っこ」=「良いこと」と理解して、さらに気持ちの良いことだと認識していくと抱っこが好きになる可能性が高くなります。
時間をかけて慣らす
保護猫は人慣れをしていない場合が多いため根気よく触れ合うところからはじめましょう。抱っこが怖いものと思われないためにも、触っても逃げない状態になるまで時間をかけて距離を縮めるのがおすすめです。
怖がっている様子がない、触れても穏やかに過ごしていると感じるまでは、無理に抱っこを進めずぐっと我慢が必要になります。抱っこを好きになってもらうには、怖がらせないことが大切です。
まとめ
猫を抱っこできるようになるには、まずは信頼関係が必要です。「体を預けても安心できる人だ」と思ってもらえるまでは、時間をかけて触れ合い仲良くなる必要があります。
しかし抱っこが好きな猫でも、行うタイミングが悪かったり、抱っこの仕方が苦しい体勢だったりすると嫌がる場合もあります。もちろん、甘えたくて猫から膝に乗ってくることもありますよ。
猫のペースに合わせて抱っこをすれば、抱っこに嫌なイメージが付かずに、今後抱っこをさせてくれるはずです。しかしもともと抱っこが苦手な猫もいると覚えておいてください。愛猫はどっちのタイプかぜひ把握しながら、抱っこに挑戦してみてください。