【私と愛猫との出会い〜真田 侑子さんの体験談〜】
老猫1匹、寂しい日常
我が家にはもともと18歳の雄猫が一緒に住んでいました。長い間多頭飼いの環境で生きていた猫ですが、つい1年程前から1匹だけになってしまったのです。そこで、愛猫に寂しい思いをさせたくないということ、また、殺処分の運命にある猫を助けたいと前々から考えていたことから、私は新しく猫を引き取ることにしました。
最初は1匹だけ引き取るつもりで施設に見学に行ったのですが、私があらかじめ引き取りたいと伝えていた猫には、仲の良い猫が1匹いると担当の方は伝えてきました。「知らないおうちに行くわけだし、この子は臆病な子だし…出来ることなら、仲良しの2匹をまとめて引き取ってほしいと考えているんです」保護猫の面倒を見ている担当さんは、私が引き取るつもりでいる猫と仲が良いというもう1匹の猫も紹介してくれました。
2匹ともゲージ越しの対面ですが、扉を開けて触れてみようとしても、触らせてはくれない様子。当たり前ですが、人間のいない環境…100匹の猫が放置された家で生まれ育ち、最近になって急に人間という存在を知った猫たちなのですから、まだ人間に恐怖感を抱いていても仕方がないことです。
正直なところ不安でした。私は生まれたてでしつけのしやすい赤ちゃん猫からしか、猫を育てたことがないのです。それに、こんなに怯えた状態の猫を、ましてや2匹もだなんて、無事に育てていけるのだろうかと悩みました。ですが、私が引き取らなければ、この2匹はいずれ殺処分になってしまうかもしれないのです。
「わかりました。ぜひ2匹とも引き取らせてください」気が付いたらそのように言葉にしていました。
そして私は、同意書や契約書、簡単な適正チェックの書類に記入をし、2週間後に2匹を家にお迎えすることになったのです。
2週間後やってきた猫2匹は
どれほど大変な日々が待っているのだろうと不安に思っていました。どきどきしながら待った2週間。ペットキャリーに入って家にやってきた2匹は、扉が開けられると、恐る恐る出てきました。部屋の中の匂いを確かめている様子。その間に組み立てたケージが完成したのを見ると、即座に入っていきました。
「じゃあ、よろしくお願いいたします」担当さんはそう言って帰っていきました。
ケージの中にいる2匹をまずはこの家に慣れさせようと思い、私はごはんと水をあげて、その日はそっとしておくことに決めました。
しかし、翌日になるとすぐにゲージから出たがる様子を見せたので、私は2匹をゲージの外に出してあげました。
すると、驚くべきことに2匹ともすぐに家に馴染んでくれたのです。なんとか上手くやっていけそうだと、心底安心しました。保護猫を引き取って大変だったことは、1つもありません。
ごはんをモリモリ食べる2匹の成長の様子
引き取った2匹は、とにかくごはんをよく食べる猫たちでした。100匹もの猫の中で生まれ育ったのですから、きっと「食べられるときに食べる」という習慣が身についているのだと私は自分なりに納得しました。ですが、食べ過ぎるくらいに食べてしまうので、すぐに横に大きくなってしまいました。
しかし、いつも仲良く並んでごはんを食べる2匹はとても可愛らしく、健康面に害がない程度に大きくなる分には良いかと思い、私は2匹の成長の様子や日に日に家に馴染んでくれる様子を見ることに楽しみを覚えていました。
家に、私に徐々に慣れてくれている。こんなに嬉しいことはないです。2匹がこの家を「自分の家」だと思ってくれていると信じて、今日も可愛い2匹の仲の良い様子を眺めて、見守ることに決めました。
すっかり慣れ切った2匹の現在
もうすっかりこの家に馴染んで、ここを「自分の家」だと信じて疑わない様子の2匹。おやつも仲良く分け合って食べてくれますし、夜の大運動会もしますし、大あくびをして心からくつろいでいる時も多く見られます。
冬は寒いのでしょうか。2匹でくっついて寝ることも多いですし、私の布団の上や枕元で寝たり、ストーブの前でくつろいでいることもあります。寒い思いをさせてはかわいそうだと思い、ついつい部屋の中を暖めすぎてしまうこともしばしばあります。
時々唸り合ったり喧嘩をすることもありますが、私が一言声をかけるとやめてくれます。仲が良いのか、悪いのか…いえ、喧嘩するほど仲が良い、のでしょう。現に毛づくろいし合って、普段はぴったりくっついて過ごしていますから。喧嘩をすることはあっても、本当のところはやはり仲良しなのです。
撫でてくれとにゃーにゃー鳴きながら寄ってくることもあります。猫なのに犬みたいにおなかを見せてごろんと横になることもあるくらいで、そんな時は少し笑ってしまいます。
引き取って1年程になりますが、まさかこんなに慣れてくれるとは、見学に行ったときは思いもしませんでした。今日も2匹は、仲良く揃って眠って過ごしています。
先住猫との暮らしぶりと今後
ちなみに、「先住猫と保護猫が慣れてくれない」などという話をよく耳にしますが、我が家ではそんなことはありませんでした。はじめのうちは先住猫の方が少し警戒しているようでしたが、すぐに慣れてくれたみたいで、今でも時々唸ることはありますが仲良くやってくれています。先述の通り、もともとは多頭飼いの環境で育ってきた猫ですから、抵抗感というものがなかったのでしょう。
保護猫2匹の方も、積極的に先住猫の方に歩み寄っていってくれたので、仲良くなることができたのだと思います。今ではくっついてクッションや布団の上でみんなで眠るシーンもよく見られます。
これから先、また猫を保護する機会はあるでしょう。いいえ、むしろ積極的にそういった機会を作ろうと思っています。猫がたくさんいる環境は苦ではないどころか、幸せすぎる暮らしと思っています。少しでも多くの猫の命を救うためにも、既に家にいる猫たちがにぎやかに過ごせるためにも、これから先、また保護猫を家に迎え入れたいと考えます。
また、そういった考えで猫を保護してくれる方が、少しでも増えてくれることを祈っています。