猫アレルギーが「出る猫」と「出ない猫」がいるって本当?
結論から言うと、「猫アレルギーがまったく出ない猫」とい存在は、まだ科学的に証明されていません。
というのも、基本的にどんな猫でもアレルギーの原因となるアレルゲンを持っているからです。一方、猫アレルギー持ちの人が、猫を飼って触れ合っていても、何の症状も出ないということも多く聞かれます。
これはなぜなのでしょうか?
アレルゲン量が少ない猫であれば症状が出ない場合がある
猫アレルギーの原因は、猫のフケや毛にあると言われています。
猫が持つアレルゲンの量は、体の大きさやオス・メス、去勢手術の有無などによって個体差がありますが、もともとアレルゲンが少ない猫であれば、猫アレルギー持ちの人でも症状が出ない可能性があります。
自分にアレルギー症状が出る猫、出ない猫の傾向を知ろう
アレルギー症状が出やすい猫とそうでない猫の傾向を知っておくことが大切です。自分が接触した猫の種類を記録しておくとよいですね。
触った猫の種類、長毛か短毛か、オスかメスか、春や秋の換毛期か通常期か、そして自分の症状などを覚えておくと、症状が出にくい猫の傾向がよくわかると思います。
猫アレルギーの症状は人によって大きく異なる
花粉症や食物アレルギーと同様に、猫アレルギーの症状も人によって様々です。一般的に起こる症状としては、
- 咳や喘鳴(ぜんめい)
- くしゃみ、鼻水、鼻づまり
- じんましんや発疹
- 目のかゆみ、充血
などがあげられます。
※「喘鳴」とは、気道が狭くなり、呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューと音が鳴ること。
アレルギー感受性の高い人は、猫を飼っている人の近くにいるだけで、症状が出ることもあります。また、それまで猫アレルギーが平気だった人でも、ある時期から発症することもあり、そのタイミングも人それぞれ違います。
猫アレルギーが出ない可能性がある猫種
2003年の研究によると、猫の唾液や皮脂腺に含まれる「Fel d 1(フェル ディー ワン)」というタンパク質の一種が主な原因物質であり、このアレルゲンが元々少ないと思われる猫種が発表されました。
サイベリアン
ロシア原産の長毛種ですが、猫にしては珍しく水を怖がらない子が多いので、シャンプーは比較的楽です。サイベリアンのアレルゲン量は、他の猫種に比べて少ないと言われています。
バリニーズ
シャム猫の長毛版ですが、寒冷地の長毛猫のようにアンダーコートがないため、細く小さな抜け毛が宙に舞いにくく、猫アレルギーを引き起こす可能性は低いと言われています。サイベリアン同様、アレルゲン量が少ないと言われています。
ロシアンブルー
短毛はアレルゲンが飛散しにくいと言われています。また、長毛種に比べてシャンプーがしやすいというのもメリットですね。
その他の猫種
今回紹介した猫種以外で、短毛で抜け毛が少なく、アレルギーの心配が少ないと言われている猫種です。
- スフィンクス
- オリエンタルショートヘア
- コーニッシュレックス
- デボンレックス
※「Fel d 1」の研究は、現時点ではまだ始まったばかりであり、対象となった頭数も十分ではありません。アレルギーを起こしにくいと言われていますが、あくまで科学的根拠はその可能性を示唆するものであることに留意する必要があります。
猫アレルギーが出ないようにするための対策
すでにアレルギーで困っている人も、症状と上手に付き合いながら、猫と一緒に暮らせたら最高ですね。アレルギーが出ないようにするためには、具体的にどのような対策が必要なのでしょうか。
まずは手洗い
アレルゲンが最も付着しやすいのは、猫を撫でた後なので、手をよく洗い、清潔に保つようにしましょう。直接猫に触れない場合でも、猫のベッドやおもちゃなどを触った後は手を洗いましょう。
こまめに掃除機をかける
外出時や夜間は、部屋の空気の流れが落ち着き、床にホコリが落ちます。その都度、掃除機でホコリを吸い取り、部屋にホコリがたまらないようにしましょう。
ロボット掃除機なら、留守中も掃除してもらうことができるので、部屋をきれいに保つことができますね。
カーペットや布製の家具は使わない
カーペットは、いくら掃除機をかけてもアレルゲンがそのまま残ってしまうので、なるべく使わないようにしましょう。洗えない布製のソファーも危険です。見落としがちなカーテンも、こまめに洗濯することが大切です。
猫の毎日のブラッシング
こまめに抜け毛を取り除くことで、空気中の毛の量を減らすことができます。ブラッシングだけでなく、蒸しタオルやペット用ボディタオルで体を拭くと、毛に付着したアレルゲンを減らすことができます。
マスクや空気清浄機の使用
室内ではなるべくマスクを着用し、アレルゲンを吸い込まないようにしましょう。また、最近では空気中のアレルゲンを吸着する空気清浄機も販売されていますので、活用しましょう。
加湿器を使用して湿度を維持する
加湿器を使って部屋の湿度を保ち、猫アレルゲンの飛散を抑えましょう。湿度は50~60%が目安です。
寝室には猫を入れない
猫の出入りを制限することなく、寝室を毎日掃除し、寝具を毎日洗濯することができればよいのですが、そうもいきません。
人が数時間横になって過ごす寝室は、アレルゲンを直接吸い込む可能性が高いので、猫を入れない方が無難です。猫の毛の持ち込みを防ぐためにも、できればスリッパなども部屋の外で脱ぐようにするとよいでしょう。
低アレルギーフードの活用
猫アレルゲンは唾液の中にある事をお伝えしましたが、その猫アレルゲンに直接作用する低アレルギーフードと言うものが販売されています。このフードを主食にすることで猫の唾液中のアレルゲンを中和でき、その結果、アレルゲンを減少させることができると言うものです。
猫アレルギーの人が猫を飼う時の注意点
猫アレルギーの人は、猫アレルゲンに接触することで重度の症状を引き起こす可能性があるため、残念ながら新たに猫を飼うことはあきらめた方が無難です。
しかし、すでに猫を飼っている人や、やむを得ず猫を家に入れなくてはならない時は、簡単に諦めるわけにはいきませんね。
以下の点に注意して飼育しましょう。
事前に医師に相談するか、アレルギー検査を受けておく
アレルギー症状を経験したことがある人は、猫をお迎えいいかどうか、医師に相談してください。アレルギー検査を勧められることもありますし、治療が必要な場合は保険適用で受けられます。
猫カフェで触ってトライアル飼育した後に猫を飼う
アレルギー対策をせずに猫を飼うと、猫アレルギーが重症化した場合、飼い続けることが難しくなります。
実際に猫を飼う前に、猫カフェで猫を触ってアレルギー症状が出ないか確認したり、1~2週間のトライアル期間として飼ってみて、体の調子を確認してから正式に飼うことをおすすめしています。
猫アレルギーの症状に応じた薬の服用も検討する
軽い猫アレルギーの症状であれば、市販の薬で対応できる場合もあります。最近では、ペットなどの動物にアレルギーを持つ人が増えているため、専用の抗アレルギー薬も市販されています。
薬を服用する際は、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
まとめ
猫を飼うとなると、10年以上一緒に暮らすことになります。アレルギーは原因物質が体内に蓄積されることで発症し、その環境が続くと重症化する可能性があります。
猫アレルギーの治療法は今のところありませんので、発症のリスクを減らすことが重要になってきます。
- 低アレルギーの猫種の選択
- アレルゲンの排除
- 自分自身の治療
今回ご紹介した3つの対策をもとに、ぜひ猫との生活を楽しんでくださいね。