公園で保護された茶トラ猫…親猫のために取った行動が尊い!

公園で保護された茶トラ猫…親猫のために取った行動が尊い!

不思議なことに、相手を思いやる気持ちは人だけのものではありません。自分のお父さんを守るため一生懸命に公園で生き、保護された後自分だけの家族を手に入れた、茶トラ・さすけのお話です。

【私と猫との出会い〜りりぃ。さんの体験談〜】

これは、お店(保護猫シェルター)にやってきた、相手を思いやる気持ちがとっても強い猫のお話です。

何かを探し続ける子

さすけは兵庫県のとある公園で保護されました。お店(保護猫シェルター)に到着した日、とにかく高い所へ登りキョロキョロ何かを探していました。推定3歳くらい。大きな顔とドスコイ体型の茶トラ、キョトン顔が憎めない男の子。さすけです。

もちろん、知らない場所へ来たのですから、不安なのは当たり前で落ち着かないのも当然です。ですが、何かが違うのです。1週間、2週間と日にちは過ぎていくのに、さすけは相変わらずキョロキョロ何かを探しています。時折り、アオーンアオーンと鳴きます。

他の猫には目もくれず、さすけはしばらくそうして過ごしていました。

高い所へ

父猫、チャー吉を守り続け、介護を頑張った茶トラのさすけ

保護主さんが明かすさすけの行動

シェルターに到着し、しばらくしてからさすけの保護主さんが訪れました。「最近は数が減りましたが高い所に登り、何かを探して鳴いています」とお伝えすると、もしかして…お父さんを探しているのかも?との事。

さすけは人が苦手で公園の木から降りて来れない(おそらく父猫)であろうチャー吉の為に、玄関先まで自分を呼びに来るのだとか。
 
なるほど、あの行動は父親を探していたのか…。さすけを保護する日もチャー吉は木から降りてこず、さすけしか保護できなかったのです。2匹をそのままにすべきか、一旦さすけを保護して、再度チャレンジすべきか…地域の皆様は悩まれたそうです。

ですが寒い冬が来る前に、さすけだけでも保護をしようという決断をされたのでした。そうです。さすけはずっと、チャー吉を探して鳴いていたのでした。

所変われば…

そのうちさすけもだんだんお店に馴染み、高い所を好むのは以前と変わりませんでしたが、鳴き続ける事もなくなり平和に過ごす日々でした。

今まで我慢していたものが溢れてきたのでしょうか…だんだん我儘を言うようになり、それは日が経つにつれ、エスカレートします。朝ごはんも夜ごはんも、皆と一緒には食べません。スタッフが出入りするキッチンの扉が開くと一目散に飛んで来て、洗濯機の上に飛び乗ります。

今まで頑張ってきたんだから、僕を甘やかしてちょうだいよ!と、言わんばかりに。大きな声で鳴き、頭をぶつけ、カンヅメを要求するようになりました。今や、さすけのワンマンショーとなり…。あの頃の介護精神は何処へ?

棚の上

変化はまだまだ続きます

お店に来て半年も過ぎた頃になると、他の猫への威嚇が始まりました。

しかし、さすけの賢い所は自分より弱い子には絶対に悪意を持ちませんでした。いわゆるお店の中でもヒエラルキーの頂点に立つ、ボス猫軍団を筆頭に、さすけの下剋上が始まりました。当時、長老ながら1番の存在感があった福くんに対して、より一層威嚇をするようになりました。

この頃になると、さすけの居場所はカウンターの上。番頭さんとしてお客様から可愛がられるようになります。それを知ってか知らないでか…ここは俺の縄張りだと言わんばかりに、カウンターの上に上がってくるボス一派の猫に威嚇します。

ですが、どことなくヘタレというかビビりなところが何とも言えず、スタッフのハートをガッチリキャッチしていました。

そして、やはり自分より小さい子や女の子には優しく、時には自分の居場所を分けてあげることもありました。

カウンターの上

運命の出会い

自分だけの家族

さすけが保護されて、3年程経ちました。お店にもすっかり馴染み、お客様からもかわいがられ、完全に我儘ライフを定着させ始めた頃。自分のテリトリーを広げようと水場にマーキングを始めました。トイレの近くの壁にもスプレーをし始めたのです。さすけのボスを狙う計画は終わっていないようでした。

ですが、これには流石に困り果て、ある女性のお客様にその様子をお話しました。その方は、今は我儘になってしまっているけどお父さんの面倒を見ていたさすけの優しい心にすっかり気持ちを奪われたようで、さすけを引き取りたいと申し出てくれました。

いろいろ不安はあったものの、譲渡の話はスムーズに進み、今では自分だけを可愛がってくれる家族に見守られ幸せにしているそうです。

お父さんを面倒見ていたことや、ボスを狙って威嚇をしていた頃の事は、もうきっと忘れてしまっているでしょう。やっとさすけにも本当の幸せが訪れて、これからは自分だけの為に生きることができます。

籠の中

まとめ

多頭に馴染める子、馴染めない子、馴染めているようで途中からそれができなくなる子。私達人間は、なるべく早くその子の性質を察知してやる必要があります。

どこかで出しているヘルプの信号を読み取り、1番良い環境を与えてやることが本当に大切なんだと思います。

ほかの猫とぐっすり

スポンサーリンク