目指すは『さくらねこの島』|鹿児島県十島村のノラ猫問題解決に貢献した「どうぶつ基金」に感謝状

ノラ猫が増えすぎた鹿児島県十島村からのSOS

鹿児島県十島村は、有人島7島と無人島5島を合わせると南北約160kmにも渡る日本で一番長い島です。

有人島のひとつである平島から、「公益財団法人どうぶつ基金」にノラ猫問題解決のために手を貸してほしいというSOSが届きました。

平島では人口64人に対して猫はおよそ70頭もいる猫の島。猫好きの方には楽園のような島に思えるかもしれませんが、実際に島で暮らしている住民は糞尿被害や鳴き声に悩まされていました。

また猫が増えすぎると弱い猫は十分に食べ物を得られなくなったり、子猫の安全が他の猫に脅かされたりするリスクもあります。

島で人と猫が共生するためには、猫の数が増えすぎないように猫たちに不妊手術をすることが必要なのです。

さくらねこを増やすTNRを実施

SOSに応えて「どうぶつ基金」から獣医師を含む5名が平島に出張し、中之島の猫も含めた82頭の猫に不妊手術やワクチン接種などが行われました。

ノラ猫に不妊手術を施すことをTrap(捕獲)・Neuter(不妊手術)・Return(猫を元の場所に戻す)の頭文字を取ってTNRといいます。不妊手術が完了した猫は耳をさくらの花びらのようなV字にカットして、不妊手術が済んでいる目印にします。

目印をつけることで、何度も不妊手術のために開腹されることを防いでいるのです。耳にしるしがある不妊手術済みの猫は、さくらねこと呼ばれます。

平島では小中学校の生徒たちが手術を受ける猫たちを心配して様子を見に来るなど、島で暮らす猫たちを可愛がっていることがわかる微笑ましい光景も見られたとか。

ノラ猫たちにTNRを実施するだけでなく、小中学生と島民に「命の授業」を行い、TNRの大切さや工程を知ってもらう機会も設けられたようです。

平島のノラ猫問題解決に貢献した「どうぶつ基金」には感謝状が贈られました。今後もさくらねこが増えることで、一代限りの猫の命が尊重される社会になっていくことを願います。