トレイルカメラが捉えた猫とアカギツネの姿
米国再北東部に位置する自然豊かなメイン州では、野生動物と家庭のペットが遭遇することも珍しくありません。
ですが、こうした遭遇の瞬間は多くの場合夜間の暗闇や森の奥深くで起こるため、私たち人間が目にすることはあまりないでしょう。
このため、同州のヨーク郡サコに住むキャロリン・メドウさんは、自宅の裏庭に設置したトレイルカメラで様々な動物たちの姿を撮影して楽しんでいます。
ふと現れるようになった野良猫
2021年11月某日、彼女はこのトレイルカメラの写真に見つめ合うアカギツネと野良猫の姿が写っているのを見つけました。
この猫は10月の初め頃からメドウさん宅の裏庭に現れるようになったそうです。
当初は誰かの飼い猫だと思っていましたが、奇妙なことに夜しか姿を見せず、地元のシカが餌を食べている間も近寄ってきません。
メドウさんは、時おりやって来るキツネにこの猫が出くわさないかと心配していましたが、トレイルカメラの写真を見て、キツネと猫が平和に共存できることを知りほっとしました。
メイン内陸漁業・野生動物局の生物学者であるシェバネル・ウェブさんは、「キツネは機会があれば猫も捕食することもありますが、おそらくそれほど頻繁ではないのかもしれません」と言います。
また、猫は捕食者から逃れるために木に登るなどして自身の身を守るのも得意です。
野良猫とキツネが向かい合った写真は、お互いに興味があることを示しており、接近し過ぎて警戒しているわけではないそうです。
実は行方不明の飼い猫であることが判明!
メドウさんがその後裏庭にキャットフードを置いてみると、初めは距離を置いていた猫も徐々にメドウさんに近づいてくるようになりました。
ある晩メドウさんが猫にそっと近づくと、その猫は鼻をメドウさんの手に押し当ててきたそうです。
やがて猫は定期的に餌をもらいに訪れるようになり、とうとうポーチでくつろぐ彼女の膝にまで乗ってくるようになりました。
「これは明らかに野良猫ではない!」
そう感じたメドウさんは、義理の姉妹の勧めで行方不明の猫を探している飼い主がいないかSNSをチェックすることにします。
そして、迷い猫探しのフェイスブックページ「Maine Lost Cat Recovery」にそれらしき投稿を見つけたのです。
この子は、2カ月近く前にオールドオーチャードビーチで行方不明になった「サンパー」という名の猫でした。
飼い主のケイティ・ケリーさんはその頃、10年間住んだ自宅を売ってユタ州に引っ越す準備をしており、一時的にオールドオーチャードビーチの借家に住んでいました。
ケリーさんの娘のチェルシー・ターボックスさんによると、サンパーが失踪したのはその借家に移って数日後だったそうです。
飼い猫の行方を必死に探していた飼い主
ケリーさん宅には他にも2匹の猫がいましたが、いずれも前年に亡くなっていたことから、今回のサンパーの失踪にケリーさんとターボックスさんは心底落ち込んでいました。
ビラを配ったりSNSで呼びかけたり、動物管理局に通報したり地元の動物シェルターに問い合わせたりとあらゆる手を尽くしてもサンパーは見つからず、ほぼ諦めかけていたのです。
2021年12月最初の週にケリーさんはユタ州へ引っ越し、ターボックスさんはボストンの自宅へと帰りました。
飼い猫との奇跡の再会
しかし、その後メドウさんの見つけた猫がサンパーであることが確認され、ターボックスさんとサンパーは無事に再会することができました。
ターボックスさんはサンパーが自分のことを忘れているのではないかと心配していましたが、サンパーの名前を呼ぶと彼女の声に反応してすぐに駆け寄ってきたそうです。
ターボックスさんはひとまずサンパーをボストンへ連れ帰り、その後2022年1月中に実の飼い主であるケリーさんのいるユタ州へ彼を連れていく予定です。
「何よりのクリスマスプレゼントになりました」と、ターボックスさんはサンパーを助けるため尽力してくれたメドウさんに心からお礼を述べています。