野良猫が怪我をしていたときにすること
怪我をした野良猫がいたらどうするべき?
猫好きなら、怪我をしている猫を見つけたときは助けてあげたいと思うもの…。ですが、怪我をしている猫は、非常に警戒心が強くなっています。
助けてあげようとしている方に対して、野良猫は警戒するあまり噛みついたり、引っ掻いたりと、逆に怪我をさせてしまうこともあります。
このため、怪我をした野良猫がいても「すぐに助けてあげたい!」という気持ちを一旦抑えて、「素手」で触らないことが重要になります。
まずは、ここで野良猫が怪我をしているときの対処法をご覧くださいね。
1.怪我をした野良猫が逃げないよう迅速に保護する
怪我をした野良猫を保護するときは、迅速に保護することを心がけましょう。猫は病気や怪我をしたとき、その弱点を本能的に隠す習性があります。
これは、野生で弱点を見せることが死に繋がるため、周りに体の不調を悟られないように隠していた名残であると言えます。
飼い主のいない野良猫であれば尚更、怪我を負っていることで警戒心が強まり、人が近づくだけで逃げてしまう場合や、姿を隠して出てきてくれないということもあります。
このため、怪我をした野良猫を保護するときは、逃げられてしまわないよう迅速に保護することを心がけることが大切です。
また、怪我をしていても必死に逃げてしまうなど、怪我をした野良猫をどうしても捕まえられないときは、家族やボランティア団体、又は動物病院などに相談して、アドバイスや協力者を探してみましょう。
2.怪我をした野良猫に静かに優しく声をかけてあげる
怪我をした野良猫を保護するときは、怪我をした野良猫に「大丈夫」と静かに優しく声をかけてあげることで、少しでも警戒心を和らげることができます。
怪我をした野良猫を安心させるためにも、猫の好きな「キャットニップやまたたび」の匂いを利用したり、「おやつ」を用意してみるなども野良猫の警戒心を解くのに最適です。
逆に、怪我をした野良猫を保護するときにしてはいけないことは以下とされています。
- 大きな声を出す
- 無理に近づかない
- 急に動かないこと
- 猫が嫌がる匂いは付けてはダメ(香水、たばこ、柑橘系)
- 目を合わせ過ぎないこと
以上の行動は、怪我をした野良猫をより警戒させてしまいますので、注意してくださいね。
3.怪我をした野良猫はタオルや毛布を使って抱き上げる
猫たちは、タオルや毛布で体を包まれることで安心することができるため、怪我をした野良猫を保護する際には、タオルや毛布を活用するのが最適です。
また、タオルや毛布を使って抱き上げる際に、傷口に触れてしまわないように注意してあげましょう。このときに、万が一、野良猫に噛まれる可能性も考慮して、できれば手袋などをして、素手は避けるようにしてください。
4.車で移動する際はケージに入れて床(足元)においてあげる
動物病院に連れて行くためにも、車に乗せる必要がありますね。怪我をした野良猫をそのまま車のシートに乗せてしまうと、移動中に揺れてしまい、怪我をした野良猫が不安を感じて暴れてしまう可能性があるので、車で移動する際はケージに入れて、助手席か後部座席の床(足元)においてあげることが大切です。
ケージやキャリーバッグがない場合は、洗濯ネットでも代用できますが、入れる際には怪我をした野良猫をタオルなどに包んだまま、傷口に触らないようにそっと優しく入れてあげましょう。
また、車で移動する際に付添いが頼める人がいると、付添いの人が移動中の怪我をした野良猫の様子を見てあげることができるので、安心して運転に集中できます。
5.動物病院に連れて行って治療してもらう
野良猫が怪我をしていたときにすることの最終目標とも言えるのが、動物病院に連れて行って治療してもらうことですね。このときに、治療費はどうなるのかな?と思われるかも知れません。
野良猫の治療費は基本的に請求される
野良猫が怪我をしていたときの治療費は請求されることがほとんどですが、病院により異なります。連れていく前に動物病院に直接確認しましょう。
治療した野良猫を飼う場合の手続き
そして、動物病院で病気の検査や投薬治療を行って、怪我をした野良猫を治療して元気になった後には、そのまま飼うこともできますが、保護した時に警察や動物愛護センターに相談するようにしましょう。警察に相談した場合は「拾得物届出」を提出することが必要です。
これは、通報ではなく、落とし物と同じ扱いになりますが、届出をして3か月以内に飼い主が現れなければ、保護した人がそのまま飼うことができると言われています。
怪我をした野良猫を保護するときの注意点
怪我をした野良猫を見付けたときは、保護をして手当をしてあげたいと思いますね。
しかし、怪我をした野良猫を保護するときには、保護をする人が怪我をしてしまわないようにすることも必要と言えます。
安全に、怪我をした野良猫を保護するための注意点として以下の2つがあります。
- 怪我から身を守れる服装が好ましい
- 無理やり捕まえないこと
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
怪我から身を守れる服装が好ましい
怪我をした野良猫を保護するときの注意点では、怪我をした野良猫が抱っこの際に暴れてしまうこともあります。
この際に、猫が引っ掻いたり、噛みついたりすることで、保護する人に怪我をさせてしまうだけでなく、猫から人に感染する病気もあるため、怪我をした野良猫を保護する人は、手袋や長袖など、怪我から身を守れる服装を着てから保護にあたる方が好ましいと言えます。
無理やり捕まえない
怪我をした野良猫を保護するときの注意点では、無理やり捕まえないことが大切です。
警戒心の強い猫の場合は、無理やり捕まえようとすると、信頼関係が崩れて今後の関係が更に大変になってしまいます。
抱っこでサッと捕まえられないときは、基本的にケージの奥にエサやおやつを置いて、食べようと中に入ってきたときに扉を閉めるか、このときにサッと捕まえてケージに入れるのが好ましいです。
怪我をした野良猫を手当てする際に注意すること
野良猫が怪我をする原因は、猫同士のケンカや高所からの落下、又は交通事故などがありますが中でも多いのが、猫同士のケンカであると言われています。
このため万が一、怪我をした野良猫を保護した場合は、怪我をして警戒心が強くなっているだけでなく、興奮状態にあることも考慮する必要があります。
ここで、怪我をした野良猫を手当てする際に注意することについて確認しておきましょう!
興奮している場合は落ち着かせる必要がある
猫同士のケンカで怪我を負った直後であると、怪我をした野良猫が興奮した状態と言えるため、野良猫が興奮している場合は、手当の前に落ち着かせる必要があります。
怪我をした野良猫が落ち着いてから、出血箇所を見つけて応急処置をするなど、必要に応じて対応してあげましょう。
また、嫌がって触ることができないときや、既にぐったりしているときはすぐに動物病院に連れて行ってあげましょう。
まとめ
いかがでしたか?
怪我をした野良猫がいたら、すぐにでも助けてあげたいと思うものですね。ですが、怪我をしている野良猫は警戒心が強くなっているため、素手で触ると引っ掻かれる場合や噛みつかれて保護する人が怪我をする可能性もあります。
もしも、緊急を要するときに手袋がない場合は、身の回りにある布を使用して、野良猫を素手で触らないように優しく保護をしてあげましょう。
また、怪我をした野良猫を助けてあげることは、誰もが簡単にできることではありません。怪我をした野良猫を放って置けないという気持ちになっても、保護するのに踏み切れない人もいます。
ですが、それは動物病院に連れて行き、元気になった後の「そのまま飼うか、里親を探してあげるか」そう言った責任もあるからでしょう。だからこそ、怪我をした野良猫にとって手を差し伸べてくれる人は特別であり必要な存在です。
そして、そのまま最後まで見てあげることができるなら、怪我をした野良猫にとっても、それが一番良いことですね。
各県の動物愛護センターでは、けがをしている猫を保護してくれる場合があります。詳細は、最寄りの動物愛護センターに確認してください。
山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。