猫のルーズスキンとは
猫のルーズスキンとは、後ろ足の付け根からお腹にかけての「たるみ」のことを指し、別名『プライモーディアルポーチ』とも言います。
お腹の皮だけが触り、たぷたぷと柔らかいのが特徴であり、年齢や性別に関係なく見られることがあります。猫のルーズスキンは肥満からできるものではなく、実は猫の身体を守る重要な役割を担っているのです。
猫のルーズスキンの役割①素早く動くため
猫は高いところへジャンプしたり、瞬発的に猛スピードで走ったりすることができますよね。このような動きをしたときに、皮が突っ張らないように皮膚に余裕を持たせているのではないかという説があります。
確かに猫は体がとても柔らかく、「にゃん体動物」などと表現されることもあるほど私たち人間にとっては考えられないような動きをすることがあります。
猫は骨や筋肉だけではなく、皮膚もそのような動きに対応していると考えれば、ルーズスキンはごく自然な構造なのかもしれませんね。
猫のルーズスキンの役割②急所を守るため
ルーズスキンはライオンやトラなどの大型ネコ科動物にも見られることから、内臓や急所を守るためにあるという説も。
つまり、猫がお腹を噛まれたときに致命傷を負わないためのクッションのような役割があると考えられています。
猫にルーズスキンができる理由
猫のルーズスキンの発生は上記でもご紹介したように猫本来の体質であり、年齢や性別に関係なく見られます。成長とともに徐々にお腹がたぷたぷしてくるため心配される飼い主さんも多いようですが、それがルーズスキンでなのであれば特に心配する必要はありません。
一説には猫のホルモンバランスによるもの
ホルモンバランスや不妊手術の傷がルーズスキンの発生に関係していると考えられているようです。
ルーズスキンになりやすい猫類
猫のルーズスキンは、年齢や性別、品種に関係なく見られます。しかし、なかでもルーズスキンになりやすい品種とされているのが、下記の品種です。
アメリカンショートヘア
ベンガル
エジプシャンマウ
ピクシーボブ
上記4種の猫における共通点と言えば短毛種である、骨格がガッシリしている、運動量が多いなどでしょうか。
特にベンガルやエジプシャンマウ、ピクシーボブは大きめの骨格や、長い足を持ち、運動能力が高く、野性的な一面を持ち合わせている品種です。
やはり瞬発的な動きへの対応や、本能的に急所を守ろうとする性質が強く残っていることでルーズスキンが現れやすいのかもしれませんね。
また、上記の品種のルーズスキンは、何とキャットショーの審査基準になることもあるようです。ルーズスキンの状態によって、高得点を得られることもあるようですね。
キャットショーチャンピオンのルーズスキン、是非お目にかかりたいものです…。
ルーズスキンと肥満・病気の見分け方
猫のお腹のたるみがルーズスキンであれば、特に処置を行う必要はありません。しかし、他の病気が隠れている可能性もありますのでしっかりとチェックしてあげましょう。
ルーズスキンと病気の見分け方①触って確認する
まず猫のお腹のたるみが気になった場合、たぷたぷしている部分を触ってみましょう。
触ったときに皮が伸びたような状態なのか、脂肪も掴めるのか、固く張っていないかをチェックします。猫が横向きで寝ているときや、4本足でしっかり立っている状態のときなどが分かりやすいですね。
皮だけが伸びたような状態であれば、ルーズスキンである可能性が高いと言えます。ではその他の場合は、どうなのでしょうか?
ルーズスキンと病気の見分け方②肥満
ルーズスキンと見分けが難しいのが、やはり肥満ですね。猫の肥満は、猫を真上から見たときに腰のくびれがあるか、触れたときに肋骨を感じられるかなどを目安に判断します。くびれがなく、肋骨を触知できないようであれば肥満の可能性が高いでしょう。
ルーズスキンと病気の見分け方②腹水
腹水とは、その名の通り何らかの原因で腹腔内にたまった液体のことをいいます。
猫伝染性腹膜炎(FIP)に代表される感染症、心疾患などによる循環不全、肝リピドーシスや肝炎などの肝疾患、腫瘍などによって引き起こされることがあります。
腹水が貯まると猫のお腹がパンパンに膨らんだり、固く張ったりすることがあるためルーズスキンと間違えないように注意しなくてはなりません。
猫に食欲低下や嘔吐下痢、元気消沈など、他の症状がある場合は、すぐにかかりつけの獣医を受診しましょう。
ルーズスキンと病気の見分け方③排泄障害
猫は腸や泌尿器に何らかのトラブルが生じた場合、ウンチやオシッコ、ガスなどがうまく排泄されず体内に溜まってしまい、お腹が膨らむことがあります。ウンチやオシッコの回数が減った、もしくは全くしていない場合はすぐに動物病院に相談しましょう。
猫のルーズスキンと病気の見分け方として、やはりお腹を触ってみることが重要です。ルーズスキンの場合は伸びた皮を触っているような感触ですが、肥満や病気が原因となっている場合はパンと張っていたり、猫が触られることを極端に嫌がったりすることがあります。
ただ、子猫の場合は正常でもお腹がぽっこり出ている子も多いので、元気、活動性やその他の症状も併せてチェックし、何か少しでも気になることがある場合は獣医師に相談してみることが大切です。
まとめ
猫のルーズスキンの原因と、見分け方についてご紹介しました。たぷたぷとしるお腹はどこかまぬけで愛おしい感じもしますが、猫本来の野生的な体質が関係しているのは意外でしたね。
我が家の愛猫も立派なルーズスキンを身に纏っていますが、触ってみるとダイエット後に余った皮のような感触がします。ただ、ルーズスキンによってお腹の張りや、しこりの発見が遅れることもあるようなので、定期的な触診は必要です。
スキンシップの中で、異変がないかチェックしてあげるようにしたいですね♪