腹水って何?
腹腔内に大量の液体が溜まっている状態のことをいいます。腹腔内には胃や腸など重要な臓器があるため通常でもわずかに水が入っており保護する役割をもっています。
しかし何らかの病気が原因で腹水が異常に溜まってしまいます。大量の腹水の影響でお腹が異様に膨らんでいたり、臓器を圧迫するので食欲不振や嘔吐、体重増加などの症状がみられます。腹水の量が多いと心臓や肺にも圧迫してしまい呼吸が苦しくなるので早めに溜まった腹水を抜いてあげなければいけません。
腹水が溜まってしまう病気
猫伝染性腹膜炎
コロナウイルスが原因なのですが主に猫ちゃん同士のグルーミングなどの接触感染で感染するので、多くの猫ちゃんにウイルスに感染しているといわれています。しかし感染してもほとんどは無症状なため問題はありませんがある日突然、ウイルスが突然変異をし炎症をおこしてしまいます。なぜ突然変異をしてしまうのかハッキリとした原因は分からないのですが多頭飼いによるストレスや免疫力の低下が引き金になっているようです。
伝染性腹膜炎の発症率はおよそ10%以下ですがほぼ100%の確率で命を落としてしまうとても危険な病気です。症状として1番出やすいのが腹水貯留でお腹だけ異様に膨らんでみえます。お腹だけではなく胸にも溜まるケースがあり呼吸困難になり命に関わります。他には高熱や腎臓や肝臓も障害をあたえ食欲不振や嘔吐、体重減少などがみられます。
肝炎
肝臓は体に取り得た栄養素を代謝しエネルギーに変えたり、解毒機能、消化酵素や解毒物質の排泄など生きる上にかかせない臓器です。しかし肝臓に炎症おこしたり細菌やウイルスの感染、腫瘍、中毒などが原因で肝臓の働きが悪くなります。肝臓は再生能力がある臓器なので初期症状がほぼみられず気づいた時には進行していることが多いです。
肝臓の機能が悪くなるとアルブミンが作れなくなります。アルブミンはタンパク質の一種で血管内の水分量を保ってくれる働きがあります。しかしアルブミンが低下すると血管内の水分が外に染み出し腹水や胸水が溜まってしまいます。
肥満細胞腫
肥満細胞とは血管の周りに多く存在しておりアレルギー反応や炎症反応をおこします。その肥満細胞が腫瘍化してしまうのですが原因はよくわかっておりません。また腫瘍ができる部分によって「皮膚型肥満細胞腫」と「内蔵型肥満細胞腫」の2つに分類されます。
内蔵型肥満細胞腫を発症すると主に肝臓や脾臓、腸などに病変ができ、進行すると見た目でもしこりがわかることがあります。状態が進むとしだいに元気がなくなり食欲不振や嘔吐、下痢などをおこすようになり、しだいに腹水が溜まってしまい体重が減って骨ばっているのにお腹だけ膨れます。
猫ちゃんの場合はほぼ8割の確率で悪性腫瘍といわれており転移しやすく、速いスピードで腫瘍が大きく進行するため命に関わります。
腹水以外に疑う病気とは
便秘
元々猫ちゃんは飲水量が少なく毛づくろいの際に毛を飲み込んで腸に溜まってしまうことなどが原因で便秘になりやすいです。また高齢になると運動量が減るので筋肉量も落ちてしまい、排便の際にうまくいきむことができず小さくコロコロした便しか出ないようになります。便秘が長く続いてしまうとご飯を食べなくなったり吐き気の症状がみられ、どんどん溜まった便がカチカチになりお腹の張りや触ることをとても嫌がるようになります。
子宮蓄膿症
避妊してなく高齢のメス猫に発症しやすく子宮に膿が溜まってしまう病気です。膿がどんどん溜まると子宮に入りきらず陰部から漏れ出たり、最悪の場合は子宮が裂けてしまい腹膜炎を引き起こしてしまい命に関わるため一刻も早く摘出しなければいけません。
子宮に膿が溜まることでお腹が膨れたり陰部から漏れ出てくる、食欲不振や嘔吐などの症状がよくみられます。
まとめ
お腹が膨らんでいることにすぐに気づかなかったり、肥満による脂肪だと勘違いしてしまうケースが多いです。元々猫ちゃんは急所であるお腹を触ることが嫌いなため難しいです。しかし分かりやすい方法が真上から見たり、前肢を持ち上げ体勢を立たせた状態にすることです。肥満なら体全体が丸い体型なのですが、しこりや腹水ならばお腹の下腹部だけが異様に膨らんでみえるのが特徴です。
その際は元気や食欲に変化はないか、息苦しくないか、体重が一気に増えていないかなどチェックしなければいけません。様子を見すぎてしまうと場合によっては限られた治療法しかなく命の危険があるからです。
もし愛猫のお腹だけがポッコリ膨れていたら早めに病院に受診しましょう。