守らないといけない『猫同士のマナー』5つ

守らないといけない『猫同士のマナー』5つ

人間社会において暗黙のルールやマナーが存在するように、猫の社会にもマナーがあります。猫界におけるルールを知ることは、多頭飼いをするうえでとても役立ちます。今回は猫同士の掟についてご紹介いたします。

猫の社会における暗黙のルール

猫界のルール

我々人間が生活するうえで、どこの業界にも、社会の最小単位である家族においても必ず決まり事が存在します。それをある程度守ることにより、秩序が成り立っています。これは人間に限ったことではありません。猫が生きる社会においても、猫同士が守るべきマナーがあります。ここでは猫界で定められた暗黙のルールをご紹介いたします。

1.相手の目を直視しない

見つめる猫

人間同士のコミュニケーションでは、相手の目を見ることは普通の行動です。しかし、猫社会においてはマナー違反です。猫が相手の目を直視する行動は、「喧嘩を売る」ことを意味しています。だから猫同士は目をそらし、喧嘩を回避します。

猫が目を直視してもよい相手は、基本的に母猫・きょうだい猫・飼い主さんのみです。それ以外の相手とうっかり目が合ってしまうと、喧嘩に発展してしまうこともあります。人間が初対面の猫と遭遇した場合も、目をそらしましょう。そうすることで敵意がないことが猫にも伝わります。

2.挨拶は鼻(匂い)で交わす

挨拶する猫

猫同士の挨拶は鼻をつけ、お互いの匂いを嗅ぐことから始まります。人間でいうなら「こんにちは」や「初めまして」など、まず顔を合わせたら必ず交わす言葉に当たる行動です。そして、「〇〇さんですね」と確認する行動が、口周辺の匂いを嗅ぐ行動になります。

一歩間違えば、急所を突かれる可能性があるであろうこの一連の流れをこなすことで、危険な相手ではないと認識します。人間と猫においても同様です。人差し指を猫の鼻に近づけると匂いを嗅いでくるのは、挨拶なのです。初対面の場合は、この挨拶を通して匂いを覚えてもらい、安心させてあげましょう。

3.一定の距離感を保つ

三匹の猫

猫が安全に生活するためには、猫同士で一定の距離感を保つことが大切になります。人間の場合、偶然ご近所の方に会った際は挨拶をするのが常識です。でも、猫界においては敢えて見なかったことにすることが常識となります。

同じテリトリーの中で暮らす猫には極力会わない努力をし、偶然出会ってしまっても、基本的には無視をします。この行動により、必要のない喧嘩をしないようにしているのです。

4.猫同士における関係性

整列する猫たち

単独行動で生活する猫同士にも、優劣関係は存在します。同じテリトリー内で暮らす猫における優劣関係は次のようなものです。

  • ボス猫以外の猫はみな対等である
  • 優劣関係は状況に応じて変化する
  • 弱い猫は強い猫に道を譲る
  • 強い猫と喧嘩になりそうなときは目をそらしうずくまる

猫は犬のように全ての関係において順位はつけず、ボス猫以外は対等な関係になります。そして、ボス猫との優劣関係は、状況の変化に応じて入れ替わります。猫はすぐ喧嘩をしてしまうイメージがありますが、無駄な喧嘩は回避できるようにお互いに注意をしています。

道端で強い猫に遭遇してしまった場合は、まず目をそらすことが鉄則です。そして道を譲るか、速やかにその場から立ち去ります。不測の事態が生じたときは、弱い猫は目をそらし、じっとうずくまりながら耐え忍びます。

5.絶対に無謀なことはしない

戯れる猫

猫はとても賢い動物です。本気で喧嘩をすれば命を落とす危険性があることを、しっかりと理解しています。だから決して無謀なことしません。たとえ喧嘩をしても限度を弁えた行動をとります。弱い者は潔く負けを認め、強いものは負けを認めた相手に対して、それ以上攻撃することはありません。

猫が喧嘩をすると耳や足、尻尾などに細かな傷を作るのは、命を奪うほどの喧嘩をしていない証拠です。また成猫の縄張りに子猫が足を踏み入れてしまった場合は、成猫が視線を逸らすことが暗黙のルールとなっています。これは性別による差はなく、さらに立場による差もありません。子猫は喧嘩の対象にはしないというのが猫界の掟なのです。

多頭飼いにおけるマナー

仲良しの子猫

一匹目の猫との生活に慣れてくると、もう一匹目を迎えたいと思うかもしれません。そして、実際にそうした場合は仲良くしてほしいと願うでしょう。ここで大切なことは、猫同士が仲良くなるということは、人間のように簡単ではないということを一番に理解することです。

さらに仲良くなるかどうかは飼い主さんの接し方にポイントがあります。ここからは猫界の暗黙のルールを参考に、多頭飼いにおいて大切なポイントをご紹介いたします。

相性の問題

人間同士においても相性があります。そして猫同士にも相性の善し悪しがあります。比較的ベターな相性は以下のような関係です。

  • 実のきょうだいを迎える
  • メス同士
  • 避妊去勢手術が済んだオス猫とメス猫

実のきょうだいであれば関係性も築きやすく、比較的仲良くなれる傾向にあります。メス同士や、お互いに手術を済ませたオス猫とメス猫という関係も、トラブルは起こりにくい傾向にあります。

ただし、成猫のオス同士は注意が必要です。オス猫は元々猫の中でも縄張り意識を強く持っています。このような者同士の同居は、互いに縄張りを主張し合う可能性があります。

高齢猫がいる家庭では慎重に

年齢が若いうちは、新たに子猫が加わることで良い刺激になります。しかし、高齢になった猫にとって子猫の存在はストレスになってしまう場合があります。自分自身はのんびりと過ごしたいのにも関わらず、活発な子猫が忙しなく動き回る日常は疲労を誘発してしまいます。

高齢猫は些細な刺激であっても、体調を崩してしまう恐れがあるのです。意図的に新たな猫を迎えたいと考える場合は、迎えることを控えたほうがよいでしょう。もし偶然子猫を保護し、そのまま家族に迎える場合は高齢猫とは別室で生活させるか、困難な場合は必ず飼い主さんが子猫の遊び相手をすることを徹底しましょう。

顔合わせはケージ越しにする

先住猫がいる環境に子猫が加わる場合、次のようなステップで顔合わせをしましょう。

  • 子猫がワクチン接種をするまで接触させない
  • ケージを用意し、一週間程度は子猫を別室で生活させる
  • 顔合わせは必ずケージ越しにする

保護した子猫の場合、まずは病院で一通り検査をします。先住猫に影響を与えるような病気の有無を必ず確認してください。そして問題ないなければ、ワクチン接種の時期について獣医さんと相談しましょう。ワクチン接種が済むまでは接触させないでください。

帰宅後は迎えた子猫はまず、先住猫とは別室でケージの中で生活することが望ましいです。別室での生活が困難な場合は尚更ケージ(その場になければ段ボールなどを活用する)が役立ちます。万が一の怪我に備え子猫を守るためです。一週間程度は先住猫を近づけないほうが無難です。その間、先住猫には気配に慣れてもらいましょう。

そして、いよいよ対面の日。初顔合わせは必ずケージ越しにしてください。恐らく先住猫が「シャー」と威嚇するでしょう。このとき、明らかな攻撃行動が見られなければ叱らずに、優しく先住猫に声をかけてあげましょう。

仲良くなる日をじっと待つ

先の項目でも紹介たように、猫には猫のルールがあります。そして、適切な距離感を保ちながら同居猫の場合は徐々に打ち解けていきます。そこに至るまでに要する時間は、人間には予測できないほど個体差があります。最初は先住猫が威嚇をしたり、喧嘩に見える行動をとる場合があります。ここで思い出してほしいのは、猫は「絶対に無謀なことはしない」ということです。

相手の命を奪うほどの喧嘩はせず、先住猫が後輩猫にルールを教えている可能性が考えられます。よって、飼い主さんは余程のことがない限りは見守り役に徹してください。ここで猫の社会を知らない人間が割り込んでしまうと、関係を築きにくくしてしまいます。

トイレは猫の頭数+1

猫にとってトイレは重要です。頭数より一つ多く用意してあけることが理想的です。そして、こまめに掃除をするように心がけましょう。排泄は一種のマーキングです。掃除を怠ると、トイレの我慢による病気の誘発や、粗相の原因になります。また、設置場所は複数のルートを確保できる場所にしましょう。お互いが確実にトイレに行ける状況を作ることが大切です。

それぞれのお気に入りの場所をつくる

段違いのキャットタワーや家具など、それぞれが安心して寛げる場所をつくりましょう。猫は縄張りを持っています。確実にここは自分の居場所という環境を整えることで、心身のバランスが保たれます。

先住猫の気持ちを大切にする

後輩猫を迎えるのは人間の都合です。子猫の場合はとても手がかかります。それでも先住猫と過ごす時間は確保するようにしてください。場合によっては、今まで以上に甘えてくることも考えられます。これまで飼い主さんを独り占めしてきたので、不安になるのは当然です。

たとえ家族が増えても、先住猫に対する愛情は変わらないということを、しっかりと伝えてあげてください。そして、何をするにもまずは先住猫からということを心がけましょう。

まとめ

ちびにゃんズ

猫の社会にも、人間社会のように暗黙のルールが存在し、それに則って生活していることが分かりました。マイペースで、些細なことで喧嘩をしているイメージの猫ですが、きちんと相手のことを考えているのです。

猫のマナーは人間のマナーとは全く異なり、意識しなければ知りえぬ領域にあるものといえるでしょう。もし多頭飼いを検討する場合は、猫には猫同士のマナーがあるということを弁えるようにしましょう。先住猫がルールを教え、後輩猫がそれを理解し、やがては楽しく過ごせるようにあたたかく見守ってあげましょう。

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