猫にまつわる有名な日本のことわざ・慣用句の意味は?
日本のことわざには猫がつくものが多くあり、「猫の手も借りたい」や「猫に小判」など定番のものから「窮鼠猫を噛む」など猫と他の動物との関係から派生したものなど様々存在します。まずは猫にまつわる有名なことわざから見ていきましょう。
猫に鰹節
猫の大好物の鰹節を猫のそばに置いていたら、いつ取られてもおかしくない。過ちが起きやすい状態や危険で油断できない状況のたとえ。
猫に小判
人間には価値のある小判でも、猫にはそれがわからない。貴重な物を持っていても、その価値がわからない人には何の値打ちもないことのたとえ。
猫を被る
一見大人しい猫のように、表面は大人しく振る舞うことのたとえ。また知っているのに知らないふりをすること。
猫にまたたび
大好物のたとえ。また大好物を与えれば非常に効果があることのたとえ。
猫も杓子も
猫の手と杓子(しゃくし)の見た目が似ていることから、「誰も彼も」「何もかも」という意味。
借りてきた猫
普段と違って大人しく振る舞っていることのたとえ。
猫も跨いで通る
猫も跨いで(またいで)通り過ぎるほど美味しくない魚のたとえ。また、きれいに食べきって骨だけになった魚のこと。
猫の子一匹いない
周囲に人影が見当たらず、誰もいない様子。
猫は長者の生まれ変わり
猫はお金持ちの生まれ変わりという意味。猫はお金持ちのように一日中のんびり過ごしているように見えることから、前世はお金持ちだったと考えられていたそうです。
猫は三年の恩を三日で忘れる
猫は三年飼っても三日で恩を忘れるつれない動物であることのたとえ。
猫が顔を洗うと雨
暖かくなるとノミがよく活動するため猫が顔をこするようになると同時に、暖かくなると低気圧が近づいているため雨が降りやすい様子。
猫を殺せば七代祟る
猫を殺すと七代に渡って祟るほど執念深い動物であることのたとえ。
猫糞(ねこばば)
猫が糞をしたあとに土や砂をかける様子から、自分の悪事を隠して、知らぬふりをすることのたとえ。また金目の物を盗んで素知らぬふりを決め込む様子。
猫といろいろな「生き物」にまつわることわざ・慣用句
猫にまつわることわざや慣用句には、他の生き物との関わりから派生したものもたくさんあります。「窮鼠(きゅうそ)猫を嚙む」の鼠だけでなく、虎・犬・魚など様々な動物が登場するので非常に興味深いです。その一部をご紹介します。
窮鼠猫を噛む
鼠でも追い詰められれば猫に嚙みかかるように、弱いものでも窮地に立たされれば強いものに反撃して勝つこともあることのたとえ。
三年になる鼠を今年生まれの猫の子が捕らえる
有能な人物は子供の頃からその才能を発揮すること。また、大人が子供に一本取られることのたとえ。
猫が鼠を捕るようなもの
猫にとって鼠を捕まえるのは簡単なように、実際に行うことが非常に簡単なことのたとえ。
猫に会った鼠
猫を目の前にした鼠のように、絶体絶命の様子。また、圧倒的に強い立場の人の前で萎縮してしまうことのたとえ。
魚を猫に預ける
魚を猫のそばに置いていたら、いつ食べられてもおかしくない様子。自分の不注意からトラブルが起きやすい状況にしてしまうことのたとえ。
猫にもなれば虎にもなる
状況によって、同じ人でも猫のように大人しい時も虎のように荒々しい時もあることのたとえ。
犬は人に付き、猫は家に付く
犬は飼い主に従順で、猫は住み慣れた家にこだわることのたとえ。
猫の「体」に由来することわざ・慣用句
猫の体の部位をもとに意味を成すことわざ・慣用句もたくさんあって面白いです。「猫の手も借りたい」以外にも首・目・顔など様々な体の部位から派生したことわざ・慣用句がありますのでご紹介します。
猫の手も借りたい
誰でも良いので手伝ってほしいほど忙しい様子。
猫の首に鈴を付ける
とても良いと思われる計画でも、いざ実行に移すと難しい様子。また、他に誰も実行できる人がいないことのたとえ。
この言葉は、イソップ寓話の「ネズミの相談」から生まれました。
〈あらすじ〉
猫にひどい目にあわされたネズミたちは、みんなで集まって反撃の方法を話し合うことにしました。そこで一匹のネズミが、「猫が来たらわかるように首に鈴をつけよう!」と提案しました。
その案にネズミたちは産生しましたが、いざ誰がそれを実行するかという話になると、誰もその役を引き受けようとしませんでした。
猫の目のよう
物事がせわしなく変化することのたとえ。猫の黒目が明るさによって変化することから。
秋の雨が降れば猫の顔が三尺になる
秋は雨の日の方が暖かいので、猫も顔を長くしてご機嫌になる様子。
有っても無くても猫の尻尾
あってもなくてもどちらでも良いことのたとえ。
海外にもある!猫のことわざ・慣用句
猫にまつわることわざ・慣用句は海外にもたくさんあります。猫は鼠を捕まえる動物として重宝され、ペットとして現在も世界中で愛されていることが伝わってきますね。
海外の猫にまつわることわざ・慣用句をご紹介します。
猫と犬が降ってくる
原文:rain cats and dogs
国名:イギリス
猫と犬が降っているように見えるほど土砂降りの様子。語源には諸説ありますが、「降りしきる雨の音を犬と猫の喧嘩に例えた」「猫と犬を一緒にすると暴れてどうにもならなくなる」などの説が有力とされています。
猫がいないとネズミが踊る
原文:Quand le chat n'est pas là, les souris dansent.
国名:フランス
怖くて苦手な人が去って踊りだすほどうれしいことのたとえ。日本語の「鬼の居ぬ間に洗濯」と同じ意味。
僧侶に頼る猫
原文:แมวที่พึ่งพระ
国名:タイ
僧侶のように権力のある人にすぐに頼ろうとする人のたとえ。
火傷した猫は冷たい水から逃げる
原文:Gato escaldado del agua fría huye.
国名:スペイン
一度熱湯で火傷を負った猫は水を見ると逃げ出すようになる様子。失敗してしまい、用心深くなりすぎてしまうことのたとえ。
暗闇では猫はすべて灰色
原文:All cats are gray in the dark
国名:アメリカ
暗闇ではどんな毛色の猫も灰色に見えることから、人を見かけで判断してはいけないという意味。
猫の親しさ
原文:Katzen freundlich
国名:ドイツ
本性を隠して大人しそうに振る舞う様子。日本語の「猫を被る」と同じ意味。
猫を嫌う人には気をつけろ
原文:Beware of People Who Dislike Cats.
国名:アイルランド
自由が好きな猫が嫌いな人は支配欲が強いので気をつけなさいという意味。
「やり方はいくらでもある」と、おばあちゃんは猫でテーブルを拭きながら言った
原文:konstit on monet, sanoi akka, kun kissalla pöytää pyyhki
国名:フィンランド
意外なところに解決策はあるので簡単には諦めないで!という意味。
猫が席を外したら、遊べ、ネズミよ!
原文:إن غاب القط العب يا فار
国名:アラビア語圏
強い権力者がいない間に遊ぼうという意味。日本語の「鬼の居ぬ間に洗濯」と同じ意味。
猫の子一匹いなかった
原文:إNon c'era un gatto
国名:イタリア
あたりに誰もいない様子。日本語の「人っ子一人いない」と同じ意味。
「猫にベーコン」
原文:إDe kat op het spek binden.
国名:オランダ
日本語の「猫に小判」と同じ意味。
まとめ
はるか昔から人と共に生きてきた猫は、人間の言葉の中にことわざや慣用句として表現されていることが分かりました。猫に関することわざには他の生き物との関わりから派生したものや、猫の体の一部から派生したものもありました。
海外にも猫にまつわることわざはたくさんあり、猫は世界中で人間に愛されてきたことが分かります。猫にまつわることわざを普段の会話に取り入れることで、愛猫との距離がさらに縮まるかもしれません。