三毛猫の遺伝子はとっても複雑!
三毛猫はその名の通り3種類の毛色の猫をことを指し、「黒」「茶(オレンジ)」「白」の3色といわれています。日本では三毛猫と呼ばれておりますが、欧米国ではキャリコやトーティー&ホワイトと呼んでいます。
遺伝子は細胞内にある染色体にのっており、猫は19対38本の染色体を持っています。性別を決定するのは、そのうちの「X」と「Y」の2つの染色体であり性染色体といいます。
毛色を決める遺伝子の中で黒色毛と茶色毛(オレンジ)はX染色体に入っており、白色毛は性別を決める以外の染色体にあるので性別に関係はありません。
そのため、その毛色を決める遺伝子からどの毛色が出るかはそれぞれ違うため、同じ父猫と母猫から生まれた兄弟猫でもそれぞれ毛色が異なります。それによって黒色、茶色(オレンジ)、白色の3色全てが揃った場合に三毛猫が生まれるのです。
また猫の遺伝子の組み合わせについて詳しく書かれている記事がねこちゃんほんぽにありますので、この機会にぜひ目を通して見てはいかがでしょうか。
三毛猫になる遺伝子の仕組みとは?オスが珍しい理由についても解説
三毛猫の遺伝子から見るオスの珍しさ
三毛猫のほとんどがメス猫であり、オス猫は遺伝子上生まれることはないといわれています。なぜ三毛猫のほとんどがメスなのか、その仕組みからお話ししたいと思います。
私たち人間と同じように猫もメス猫の染色体は「XX」で、オス猫は「XY」となります。そのうち、猫の毛色を決める黒色と茶色(オレンジ)はX染色体にのります。白色に関しては常染色体にのっているため性染色体に関係がありません。
またこのX染色体は1本につき1色しかのることができません。X染色体が2本ある場合は1本は不活化されますが、受精卵が分裂し成長していく段階の中で細胞ごとに不規則に発生します。
メス猫は「XX」と2つあるため「黒色×黒色」「黒色×茶色(オレンジ)」「茶色(オレンジ)×茶色(オレンジ)」が生まれる可能性があります。
しかし、一方でオス猫は「XY」とX染色体が1本しかないため、黒色か茶色(オレンジ)のどちらかしか持つことができず、白色が出たとしても2色の毛色となるため、遺伝子の関係上、三毛猫のオスは基本的に生まれることができないのです。
ですが中にはオスの三毛猫が存在することがあります。クラインフェルター症候群といって染色体異常によって「XXY遺伝子型」を持ってしまうことで三毛猫のオスが生まれてくるのです。
ちなみにこのクラインフェルター症候群は猫だけではなく、犬や豚、馬、そして人間にも存在します。
三毛猫の雄に関する疑問を遺伝子的観点から調べてみた
雄の三毛猫の性格は?
三毛猫の性格は好き嫌いが激しい性格といわれており、嫌いなものに対しては嫌いと突き通す頑固さやプライドが高いです。
ですがこれはメス猫特有による影響が強いため、オスの三毛猫の場合は甘えん坊で寂しがりやなど、オス猫に多い性格が見られる傾向があるようです。
三毛猫の雄が生まれる確率は?
基本的に三毛猫は遺伝子上、メスが生まれます。ですが染色体異を持つクラインフェルター症候群で生まれくる三毛猫のオスの確率はとても低く、およそ30000万匹分の1匹といわれています。
三毛猫の雄は生殖能力がないって本当?
クラインフェルター症候群で生まれてきた三毛猫のオスは突然変異のよる染色体異常なため、生殖能力がないといわれています。
しかしモザイク(遺伝的に異なる細胞が入り混じること)や、遺伝子の乗り換えによる三毛猫のオスの場合は、生殖能力をもっているそうです。
実際にある動物病院ではオスの三毛猫に遺伝子検査をおこなったところ、混じり気のないオス猫という結果でしたが、精巣を調べたら精子がないことが分かりました。
三毛猫の雄の寿命は?
やはり三毛猫のオスは何らかの遺伝子による染色体異常によって生まれてきますが、寿命に大きな影響はないようです。ですが猫の平均寿命はオスよりもメスの方が1〜2才長生きなため、三毛猫のオスはメスよりも短命の傾向です。
三毛猫の雄は遺伝的疾患を抱えているの?
純血種の猫はそれぞれ特有の遺伝性疾患をもっていることが多いですが、三毛猫を含め、雑種の猫はないといわれています。
ですが三毛猫のオスのほとんどが生殖能力をもっていないため、陰睾丸となったり、それによって腫瘍化することもあります。
一般的に猫の場合は生後1ヶ月程で精巣下降が終わるので、それ以上経過しても見られないようならば陰睾丸の可能性があります。
もちろん食事や生活環境など飼い方によって病気を招くことがあるため、適切な飼育がとても大事になります。
三毛猫の雄を拾った!ぶっちゃけいくらになる?
三毛猫はかわいいだけではなく、古くから幸運を招くと信じられており特に三毛猫のオスはとても珍しいため希少価値のある存在です。
数が少ない上に生殖能力がない個体が多いこともあり、値段がとても高いようです。アメリカのオークションでおよそ2000万円で取引きされたことがあったそうです。日本でもある番組で2000万円のオスの三毛猫が登場したことがありました。
ですが三毛猫自体は「雑種」扱いになるため血統書もないので、基本的にはペットショップなどでは販売されておらず、幸運良く拾ったり、保護団体から譲り受けるなどの方法となります。
高額だからといって販売することは動物愛護的観点からも問題ですし、そもそも一般の人が猫を含め生態販売をすることは法律で禁止されています。
もし三毛猫を拾って見つけたら、健康状態に問題はないか確認する必要があります。また大人の場合は迷子猫の可能性もあるため、近くで似たような迷子猫の情報がないか、マイクロチップの有無も調べる必要があります。
まとめ
猫の毛色は遺伝子によって決まり、性別を決定する染色体と関係しています。3色の毛色をもつ三毛猫の遺伝子はとても複雑で、基本的にはメスしか生まれません。
ですが稀に染色体異常によってオスの三毛猫が生まれることがありますが、そのほとんどが生殖能力をもっていないことがわかっています。
現段階ではオスの三毛猫に遺伝性疾患があるとはハッキリ判明されておらず、実際に20才近く生きた子もいます。
ですが場合によっては精巣下降が不十分なまま停留したり、それに伴い腫瘍化するリスクが高くなります。そのためもし、三毛猫の子どもでオスの場合は睾丸の確認を注意深くチェックするとともに、予防のためにも去勢手術をおこなうことを勧めます。