猫にも5月病はあるの?
猫も人間のように5月病(正式な診断名ではありませんが、ここでは分かりやすくするためにあえて5月病と表記します)になることはあるのでしょうか。
結論からいうと猫に5月病はありません。しかし、ストレスが引き金となりうつ病を発症することはあります。猫がうつ病になると以下のような症状が出現します。
- 遊ばなくなる
- 食欲不振や体重減少
- グルーミングをしない
- 元気がなく、部屋の隅でじっとしている
- 急に性格が変わる(例:家族に対して攻撃的になる)
- 粗相をするなど
これらの症状は身体の病が原因でも起こり得る症状ですので、当てはまる症状があったらまずは動物病院を受診して下さい。
しかし、特に身体的な異常がないのにも関わらずこれらの症状がある場合はストレスに注目してみてください。心当たりがある場合はストレス要因を取り除いてあげましょう。
猫にとってありがちな連休中のストレス要因とアフターケア
猫はとてもデリケートな動物です。我々人間からするとほんの些細なことでも猫にとっては大きなストレスになることもあります。ここではGWにありがちな猫のストレス要因とケアについて紹介します。
1.来客
GWに来客があったご家庭もあると思います。猫にとって慣れない人間の訪問は大きなストレスです。お客様が来た時や帰った後から猫の様子に異変が起きた場合は、来客によるストレスも要因の一つかもしれないと頭の片隅に置いておきましょう。特に排泄と食事が普段通りかどうか注目してください。
2.飼い主さんとの距離感
普段、日中は仕事に行っている飼い主さんが家にいること。一見すると嬉しいことのように思いますが、猫には猫の生活リズムがあります。
ある程度は人間に合わせて行動することができますが、極端にリズムを乱されることはストレスになります。連休中にたくさん猫と過ごす時間があった飼い主さんは、少しずつ元のリズムに戻してあげましょう。
また逆も然りです。普段は家にいてくれる飼い主さんの外出頻度が増すと猫も不安になります。こちらの場合は、適度にスキンシップをとるようにしてあげましょう。
3.猫が外泊を経験した場合
連休中は、ペットホテルを利用したご家庭もあるでしょう。日頃から利用しているホテルで、飼い主さんとスタッフさんとの間に信頼関係がしっかり築けていたとしても猫にとってはやはりストレスになります。
人間にも休息や楽しみは必要なので、こればかりは仕方ありません。その代わり帰宅後は頑張ってお泊まりした猫を労ってあげましょう。そして猫が求めてきたときは十分スキンシップをとりましょう。ペットホテルを利用することが大きなストレスになってしまう猫ちゃんに対しては、おうちにいられるペットシッターの利用が良いかもしれません。
ストレスが原因で発症する猫の病気
ここで述べることは連休中に限ったことではありませんが、この連休中に何かしらのストレスに晒された猫にはとくに気をつけてほしい病気をいくつか紹介します。
1.特発性膀胱炎
特発性とは、とくに限定された原因がないものを指します。細菌感染や膀胱結石がないのにも関わらず、トイレへ頻繁に行ったり血尿が出る病気です。
この病気の発症にはストレスが関与していると考えられており、緊張しやすいデリケートな猫に多いといわれています。年齢も若年層の猫で多く発症する病気です。
ストレスの原因を取り除くことはもちろんのこと、獣医師の指示があればストレスを和らげながら膀胱炎の治療が可能な療法食を取り入れることも対策のひとつです。
2.心因性脱毛
猫は不安を感じると、気持ちを落ち着かせるためにグルーミング(毛繕い)を行います。これが過剰になると脱毛してしまい、脱毛しても更にグルーミングを続けてしまうことがあります。
とくに腹部、前脚の外側、体の側面など猫が舐めやすい部分で脱毛が起こりやすくなります。これはストレス要因を取り除くことで落ち着く場合もありますが、アレルギー性疾患や寄生虫による皮膚病などの病との区別が難しい場合もあるため、気になるようであれば病院を受診しましょう。
3.猫伝染性腹膜炎(FIP)
これは、健康な猫でも保有していることのある「猫コロナウイルス」が突然変異でFIPウイルスになり、発症する病気です。比較的若い猫が発症し、一度発症してしまうと短期間で死に至ることも多いとても怖い病気です。
詳細は割愛しますが、普段は悪さをしないウイルスが突然変異する要因にストレスも関与しているといわれています。日頃から明らかにストレスになるようなことを避けることはもちろんですが、連休中に疲れてしまった場合はゆっくり休ませてあげましょう。
その他、猫の気になる行動
1.トイレの失敗
猫は不安になると、周囲を自分の匂いで満たそうとします。その結果、普段は問題なくトイレで尿をする猫がベッドや柱など比較的目立つ場所で尿をすることがあります。
この現象はたとえ避妊・去勢手術を受けていても起こることがあります。トイレの汚れや設置場所に問題がない場合はストレスを疑ってみてください。また、ストレスが関与する特発性膀胱炎の他にも猫には泌尿器のトラブルが多く見られます。トイレの失敗や排泄の変化が見られたら、泌尿器の病気がないかまず病院でチェックしてもらいましょう。
2.自傷行為
過度なストレスを感じると、毛がちぎれて脱毛するだけではなく皮膚がただれてもなめ続けたり、自分の尻尾を出血するまで噛んでしまうことがあります。繰り返しなめたり噛んだりすることで傷が治癒せず、重症になると手術が必要になるケースもあります。ストレスになった原因を取り除くことが治療になります。
まとめ
連休明けは人間でも不安定になったり、普段の生活リズムに戻るまでに時間がかかることがあります。一緒に生活する猫も多少生活リズムが乱れ、ストレスを感じてしまうことがあっても不思議ではありません。
連休明けのように一時的なストレスであれば、徐々に普段通りの生活に戻ることで改善できることも多いでしょう。飼い主さんは自分の生活リズムを見直すと同時に愛猫の生活リズムやストレスにも気を配ってあげましょう。