猫の耳ダニの症状や治療法、予防の方法について

猫の耳ダニの症状や治療法、予防の方法について

猫の耳ダニを知っていますか?猫に耳ダニが感染すると、耳がかゆくなり、特徴的な耳垢が出るなどの症状が出ます。猫の耳ダニの治療や予防についてご紹介します。

SupervisorImage

記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫の耳ダニとは

耳をかく茶トラの子猫

猫の耳ダニは動物の耳に感染するダニ

猫の耳の感染症に「耳ダニ」というものがあります。ダニというとカーペットや布団にいるものを想像するかもしれませんが、猫の耳ダニは「ミミヒゼンダニ」と言います。耳疥癬、耳ダニ感染症とも呼ばれ、猫や犬などの動物の耳の感染するダニです。

猫の耳ダニは人間にうつる?

人間にうつることはないですが、まれに咬まれたりすると皮膚に被害が出ることがありますので注意が必要です。

猫の耳ダニと言われるミミヒゼンダニの生態

ミミヒゼンダニの大きさは0.3mm~0.5mmくらいと小さいですが、虫メガネを使うと動いている様子が分かる場合もあります。耳ダニが餌にしているのは、猫の耳の中のはがれた表皮、分泌物、耳垢とされています。

猫の耳ダニは繁殖能力が高い

耳ダニは繁殖力が強い特徴があり、多頭飼いでは感染した猫から他の猫へとうつってしまうことがあります。野良猫を保護した場合は、耳ダニに感染している可能があるので、お耳の中が汚れていたり、黒っぽい耳垢が確認できたなら、飼い猫がいるならうつらないよう接触を避けるなど、配慮が必要です。

猫の耳ダニは耳の病気の原因になる事もある

耳ダニの感染を放置していると炎症が広がり、外耳炎が慢性化してしまいます。さらに炎症が中耳、内耳へと広がると、平衡感覚などにも悪影響が出てしまいます。

アトピーだと思っていたが、耳の奥に耳ダニがいることが分かったケースや、処置が遅れて悪影響が出てしまったケースがあるのも事実です。早めに受診することがとても大切です。

猫に耳ダニがいる時の症状

耳をかくブリティッシュショートヘアー
  • 耳をかく(強いかゆみがある)
  • 頭を振る
  • 耳の縁の脱毛
  • 黒っぽい耳垢
  • 耳から悪臭がする
  • 耳にかさぶたができる

猫に耳ダニがいると耳をかくようになる

猫が耳ダニに感染すると、強いかゆみのため後足で耳をかく姿を多く見るようになります。かきすぎて、耳に傷や出血が見られることもあります。また、かゆみをどうにかしたいために、頭を振ったり、壁や床に耳をこすりつけたりするとこがあります。

耳ダニがいる猫の耳垢は黒い

しかし、猫によっては耳ダニに感染していても、強いかゆみがみられないこともあるようです。耳ダニに感染した猫の耳垢は黒っぽいのが特徴です。耳ダニのフンや死骸などによって耳垢が黒くなり、耳ダニが増えると耳垢も増えてきます。

耳ダニはコーヒーかすのように、ぼろぼろした耳垢も特徴の一つです。

猫の耳ダニを治療する方法

病院で耳を綿棒で洗浄される猫

まずは耳ダニがいるか確認

猫の耳ダニが疑われた場合は早めに病院に連れて行きましょう。耳ダニと断定するために、耳内視鏡で耳の中を直接見て確認したり、耳垢を採取して顕微鏡で確認したりします。耳の中や耳垢に耳ダニや耳ダニの卵があれば、耳ダニ感染症です。

耳ダニがいる場合は「洗浄とダニ駆除」

耳ダニの治療は主に「洗浄とダニ駆除」です。耳ダニは耳垢を餌としているため、きれいに汚れを取り除く必要があります。コットンや耳洗浄剤を使ってきれいにしていきます。

耳ダニに効くダニ駆除剤を投薬する

その後は、耳ダニに効くダニ駆除剤を使用します。ダニ駆除剤は主に「レボリューション」や「アドボケート」といった皮膚に薬剤を滴下するタイプを使うことが多いです。

滴下タイプの薬剤でよく知られているものに「フロントラインプラス」がありますが、こちらは耳ダニの効果については記載されていません。耳に傷がある場合、もしくは重症の場合は、抗生物質などを使うこともあります。

多頭飼いで耳ダニがいる場合

その他、症状や猫の状態、生活環境に合わせて塗り薬、点耳薬、飲み薬、注射などで治療が行われます。多頭飼いの場合は、1匹感染していると他の猫にもうつる可能性があるので、全ての猫に検査や薬を滴下する場合があります。

猫の耳ダニの治療期間

猫の耳ダニは、駆除が徹底して行われないと再発する感染症です。耳ダニの卵には薬剤が効きにくく、卵から成虫になるまで約3~4週間かかります。そのため、治療期間は症状が軽い場合、最低でも1か月以上かかります。

滴下タイプの薬剤を使用すると1か月後にはほとんどの耳ダニを駆除できますが、根気よく治療を続ける必要があります。注射や耳掃除で通院することもあります。

猫の耳ダニを予防する方法

耳掃除される猫

室内で飼育

猫の耳ダニは、耳ダニに感染した動物からうつるため、室内で飼育することが予防方法です。外に出かける猫は野良猫から感染する可能性があり、多頭飼いでは他の猫にもうつってしまうことがあります。また、室内を清潔に保つことも必要です。

駆除薬

耳ダニの治療では皮膚に滴下するタイプの薬を使用しますが、定期的に使用することで発生を抑えることが可能です。駆除薬は耳ダニの他にノミ、マダニ、猫回虫などにも効果があるものがあります。

耳掃除

猫の体のケアは人間と快適に生活をするために必要なことでもあり、猫の健康管理のためにも大切なことです。猫の耳掃除は毎日行う必要はありませんが、清潔にすることで耳ダニの予防になります。

耳垢がたまった状態は耳ダニが住みやすく、繁殖しやすい環境となるからです。また、耳掃除は耳ダニや耳の炎症などの早期発見にもつながるメリットがあります。猫の耳はデリケートな部分です。猫も飼い主さんも耳掃除に慣れていないと思わぬケガをすることがあります。

慣れていないうちは、イヤークリーナーやぬるま湯を染み込ませたコットンやガーゼで耳の入り口を優しく拭きます。

耳洗浄の動画

まとめ

ノルウェージャンフォレストキャット

猫の耳ダニは、ミミヒゼンダニというダニが感染することで、かゆみや黒い耳垢が出る感染症です。

強いかゆみがあるため、耳をかくことが多く、場合によっては耳に傷がついて悪化してしまうこともあります。さらに炎症が広がると平衡感覚や聴力にまで影響してしまうのです。そのため、猫が耳を気にしていたら病院へ相談をしましょう。

病院で検査をして、耳ダニに合った治療をすればよくなる感染症です。治療は主に耳の洗浄とダニの駆除です。定期的にレボリューションなどの薬を使うことで、耳ダニの駆除と予防ができます。

他にも薬や処置の方法があり、どういった方法で治療や予防をするのかは、猫の状態などによって変わるので、病院で相談して決めましょう。耳掃除は耳ダニの予防や早期発見にもつながる大切なケアですが、慣れないと耳に傷をつけたりケガをしてしまうこともあります。

病院で耳の掃除をしてもらうこともできるので、無理をしないようにしましょう。

猫のダニについてはこちらの記事もどうぞ↓
猫にダニが寄生する原因と駆除する方法、予防法

投稿者

40代 男性 しげる

猫ちゃんを、拾ったらまずは耳ダニを治療しなければならないくらい、捨て猫は耳ダニに感染しています。耳の中が、真っ黒になり痒がります。獣医さんに診ていただき洗浄と治療をしていただくと、すっとしたのか元気になるのです。耳ダニを治療したあとには、予防接種をして里親に出します。それ以降は耳ダニに感染することはなかったです。

スポンサーリンク