外部寄生虫とは?
外部寄生虫という名前を聞いたことがありますか?体表に感染し害を及ぼす寄生虫のことを総称して「外部寄生虫」と言います。
では外部寄生虫とはどのようなものなのでしょうか?特にお家で生活する猫ちゃんが気を付けるべき外部寄生虫は以下の二つになります。
ノミ
猫ちゃんに感染する可能性のあるノミの種類は2種類あり、「ネコノミ」と「イヌノミ」が存在します。
共に、宿主特異性は少ないとされ、どちらも猫ちゃんに感染する可能性がありますが、活動性の違いなどからネコノミの感染の方が主流と言われています。ノミは体表に寄生をし、吸血を行います。
マダニ
先ほどと同様にマダニも体表に寄生し、吸血をします。幼ダニであれば栄養を得ながら成長します。
山や森などの自然の多い場所で感染するイメージがありますが、野生動物に付着して環境に落とされることもありますので、住宅街でも野生動物が見られるような場所であれば草むらなどで存在する場合もあります。
最近では人獣共通感染症の「SFTS(重症熱性血小板減少症)」を媒介することでも注目されています。
なぜ外部寄生虫に気を付けないといけないの?
気を付けなければいけない外部寄生虫は上記2種になります。吸血する寄生虫であることがおわかりいただけたと思いますが、寄生虫の感染によって、実際にどのような害が起こるのでしょうか。
外部寄生虫感染によって起こる害
ノミやマダニは体表に寄生をし、吸血を行います。感染した猫ちゃんは皮膚をもぞもぞとするような不快感や皮膚炎などのトラブルを起こすことが多いです。
体質によってはノミのアレルギーなども起こす子がいるので注意が必要です。大量寄生により不快感は増し、吸血の程度も増すので貧血を起こす危険性もあります。
外部寄生虫を介して起こる病気の二次感染
前述したSFTSもマダニによって媒介される病気の一つです。SFTSウイルスがマダニを媒介して感染するのですが、猫の発症例も近年では報告されています。
この病気の怖いところは飼い主さんに感染する人獣共通感染症であるということです。猫ちゃんが持ち込んだマダニが原因となり、飼い主さんにも感染症の危険が及ぶ場合があります。
猫ちゃんにも影響があるものとして条虫が挙げられます。条虫はノミを媒介して感染する消化器に害を及ぼす寄生虫です。この寄生虫の感染により、下痢などの消化器症状が見られることが多いです。
どんなところで感染は起こり得る?
うちの子が感染なんて…という飼い主さんがほとんどなのではないでしょうか。
実は感染の危険は身近な場所に潜んでいます。思い当たる飼い主さんもいるかもしれません。
お外に出たとき
お家の猫ちゃんが、お外に出ているご家庭もあるのではないでしょうか。
外に出る猫ちゃんは、野良ネコちゃんや野生動物さんたちと接触する機会が多くあります。また、ノミやダニの存在する草むらなどに行く機会も多いです。
そこでノミやダニを体につけてしまう危険があります。
同居している動物を介して
わんちゃんと一緒に生活している猫ちゃんもいるでしょう。同居しているわんちゃんはお散歩を毎日の日課にしている子も多いと思います。
わんちゃんが体につけてきたノミやダニが家庭に持ち込まれてしまい、猫ちゃんが感染してしまう場合があります。
その猫ちゃん自身がお外に出なくても、お外に出るような動物さんが同居している場合、そしてその子と体を密着させたり接触する場合は特に感染の危険があるため予防することをおすすめします。
飼い主を介して
飼い主さんが外部寄生虫を持ち込んでしまうこともあります。
野良猫さんなどのお世話をしている飼い主さんや、かわいくてつい外の猫さんを触ったりそばに寄ったりしている飼い主さんもいると思います。
皮膚などに付着すると、気づくケースが多いですが、衣服などに付着する場合は気付かずに家庭に持ち込んでしまう危険性があります。
お家の中に入る前に衣服を払う、こまめに洗濯をするなどの対策でも感染のリスクは減らせますが、一番安心なのはお家の猫ちゃんにも予防薬の投与を行なうことです。
どんな予防方法があるの?
意外と身近にある感染の危険から猫ちゃんを守るために、予防が大切というお話をさせていただきました。
動物病院で取り扱うお薬は予防薬という名目ですが、実際は駆虫薬で、体表に付着をし、吸血した外部寄生虫を駆虫するお薬です。
それでは、どのような予防方法があるのでしょうか。お家の猫ちゃんの特徴によって、適したお薬を選ぶことが大切です。
滴下タイプ
首の付け根や背中などに液体を滴下するタイプのお薬で、一般的なタイプになります。
ノミダニの予防だけのもの、消化器系に害を及ぼす寄生虫も併せて駆虫できるものなど、お薬のタイプも様々です。
予防すべき病気がどんなものなのか、お家の猫ちゃんのルーツや生活をもとに選択できると良いでしょう。
対象となる寄生虫のみ駆虫して、猫ちゃんの体には安全性の高いお薬が多いですが、稀に基材となる液体成分にアルコールが含まれていたり、その成分が合わない体質の場合、体調不良になる場合や嘔吐などの症状が見られる場合もあります。
その場合は使用を控えたり、お薬を変えることをおすすめします。
錠剤タイプ
触ることを嫌がる猫ちゃんなどに好まれるのが錠剤タイプのお薬です。ご飯などに混ぜて与えると、警戒されずに与えられる可能性が高いです。
滴下タイプと同じく、寄生虫のみに効果のある成分であるため、猫ちゃんの健康に問題が起きる可能性は低いお薬になります。
まとめ
たかが感染症と思いがちですが、感染によって健康面や不快感など多くの問題が起こり得る外部寄生虫の感染です。
お外には出ないからと安心していても、実は気付かぬうちに家庭に持ち込まれてしまっている危険性もあります。
万が一の感染が起こらないように、日頃からの予防をお勧めします。