猫が便秘になる原因とは
猫は健康であれば通常毎日排便しますが、猫によっては1日に何度か排便したり、便をしない日があったりします。しかし、丸2日間全く便が出ないようなら、便秘と考えて良いでしょう。猫が便秘になる原因は主に次のようなものがあげられます。
- 水分不足
- フードが合わない
- 異物を飲み込んだ
- 蠕動運動(ぜんどううんどう)が弱い
- 排便時に痛みがある
- ストレス
- 薬の服用
水分不足
猫に限らず便秘の主な要因は便に含まれる水分が不足して便が固くなってしまうことです。硬い便が腸を塞いでスムーズに便を排出できなくなります。水分摂取が減る冬場などは特に水を飲みやすいよう工夫しましょう。
フードが合わない
猫が消化を苦手とする穀物を多く含むフードなどが原因で便秘になる猫もいます。フードを切り替えたとたんに便秘するようになったのなら、フードを見直した方が良いでしょう。自然派のフードに替えて便秘が改善したというケースもあります。
線維が多く含まれているフードで改善することもありますので、動物病院に相談してみるのもよいでしょう。
異物を飲み込んだ
異物や飲み込んだ被毛などが原因で腸を塞ぎ、便が出にくくなることがあります。完全に腸を閉塞してしまうと激しい痛みなどで、元気がなくなってきます。異物を飲み込んだ可能性があり、激しい繰り返す嘔吐、だんだん便が少なく細くなり、便秘するようなら、すぐに病院へ連れて行きましょう。
蠕動運動(ぜんどううんどう)が弱い
腸の蠕動運動が弱まると、便が腸管の中に溜まって閉塞を起こし便秘になります。腸に溜まった便が結腸を押し広げてしまうと「巨大結腸症」などの病気になる可能性があります。巨大結腸症になると便秘の症状が悪化し、治療が長引くこともあります。
高齢になると蠕動運動が弱くなることがあります。適度に運動させるなどして筋肉量の低下を防ぎましょう。
排便時に痛みがある
直腸が何らかの原因で狭くなっていたり、肛門付近に傷があったりすると痛みを感じて猫はいきむことができず便秘になる可能性があります。他にも腫瘍や脱肛、後ろ足の痛みなどが原因で痛みを感じ、排便が困難になることも考えられます。
ストレス
猫は環境の変化を好まない動物です。引っ越しや新しく他の猫を飼い始めるなどした場合大きなストレスを抱えて便秘になる可能性があります。また、トイレの場所が変わったり、トイレが汚れていたりした場合もストレスを感じます。猫が便秘になったとき、何か環境に変化が無かったか考えてみましょう。腸はストレスの影響を受けやすい臓器なのです。
薬の服用
病院で処方される以下のような薬で便秘になることもあります。
- 鎮痛剤
- 硫酸バリウム
- スクラルファート
- 抗コリン剤
- 抗ヒスタミン剤
- 制酸剤
- 利尿剤
猫の便秘解消法① 牛乳やヨーグルトで便秘解消!
人間であれば便秘のときに牛乳やヨーグルトを食べることで、症状の改善に期待できることが知られています。しかし猫の場合はどうでしょう。猫は乳糖の消化が苦手なため人間用の牛乳を飲むと下痢になるとされてきました。
牛乳やヨーグルトの猫の体への影響
猫の多くは牛乳やヨーグルトに含まれる乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」が不足しています。このため消化がうまくできず、下痢などの症状を起こすのです。しかし猫の中には牛乳を飲んでも平気な個体も存在します。
下痢などの症状がない猫でも牛乳の与え過ぎは危険です。乳製品は脂肪分や糖質が多く、与え過ぎると肥満になる可能性があります。さらに、ナトリウムやカルシウムなどのミネラルにより心臓病や、尿結石のリスクが増します。
猫に牛乳やヨーグルトを与えるときの注意点
猫に人間用の牛乳やヨーグルトを与えるときは、まず少量から与えて下痢を起こさないか確認しましょう。下痢は脱水症状につながり、特に老描や子猫にとっては危険です。
他にも以下のようなことに気を付けて与えてください。
- 肥満にならないよう脂肪分の少ない牛乳を与える
- ナトリウムなどの影響があるので与え過ぎに注意
- 常温にして与える
- ヨーグルトであれば1日に与える量は小さじ1~2杯程度のする
猫の便秘解消法② オリゴ糖で便秘解消!
善玉菌のエサとなるオリゴ糖
オリゴ糖は善玉菌を活性化し、腸内環境を整え、便秘の改善に役立つことで知られています。日頃から猫にオリゴ糖を与えることで便秘予防が期待できるのです。
オリゴ糖の摂取方法
オリゴ糖はひよこ豆やレンズ豆などの豆類、バナナなどに多く含まれています。オリゴ糖として人間用に販売されているものを与えたい場合は甘味料としてではなく、腸内環境改善を目的とした製品を選びましょう。
日頃の食べ物で便秘を予防、改善したいのであればオリゴ糖や便秘に良い芋類を含むフードを選ぶのが手軽で安心です。
猫の便秘解消法③ オリーブオイルで便秘解消!
オリーブオイルの効能
オリーブオイルはオレイン酸やリノール酸、ビタミンA、ビタミンE、食物繊維など豊富な栄養素を含んでいます。アンチエイジングや便秘予防に日頃から利用している人も少なくありません
オレイン酸はコレステロール値を下げ、動脈硬化や心臓病を予防する効果の他、便秘解消にも効果が期待できます。リノール酸は血糖値低下や老化防止、ビタミンEには生活習慣病の予防、ビタミンAには皮膚や粘膜の保護、抗酸化作用など健康に良いあらゆる成分が含まれています。そして食物繊維にはよく知られているように整腸作用、便秘の症状を改善する効果があるのです。
酸化にも強く、皮膚に直接つけても安全なオリーブオイルは食用としてだけではなく、マッサージやクレンジングオイルなどにも適しています。
猫がオリーブオイルを摂取しても大丈夫?
刺激が少なく、栄養成分の多いオリーブオイルは少量であれば便秘改善目的で猫に与えても問題はありません。与える量が多すぎたり、体質に合わなかったりした場合、下痢を起こすことがあるので注意しながら与えましょう。
また、カロリーもあるため日常的に与えると肥満の原因になります。便秘が改善した、または与えても改善が見られない場合は与えるのを止めましょう。改善しない場合は病院などと相談して食事などの面から見直すとよいでしょう。
オリーブオイルの与え方
オリーブオイルには様々な種類があります。一般的に食用としてよく使用されているのはエクストラバージンとピュアオリーブオイルです。エクストラバージンの方が高品質で香りも強く感じます。猫はこの香りが苦手な場合もあるので、与えるときは食べ物に混ぜて与えるとよいでしょう。ウェットタイプの餌に混ぜると抵抗が少ないようです。
綿棒を使って肛門を刺激する
オリーブオイルは保湿効果が高く、皮膚を柔らかくする効果もあります。刺激も少ないので猫の皮膚に使用してもよいでしょう。綿棒などをオリーブオイルに浸して猫の肛門を優しく刺激することで、便の排泄を促す効果が期待できます。
ただし、猫が嫌がって暴れるようなら綿棒は危険な場合があります。かえって肛門を傷つけてしまい便秘を悪化させる原因にもなりかねません。嫌がる場合は柔らかいティッシュなどをオリーブオイルで湿らせて肛門を優しくなでて刺激するだけでもよいでしょう。
猫の便秘解消法④ ツボマッサージで便秘解消!
手軽にできるツボマッサージで気持ちよく便秘を改善
日頃からできる予防法にツボのマッサージがあります。スキンシップがてら優しくマッサージしてあげることで、ツボの刺激の他にストレスの軽減や体を温めるなどの効果も期待できるのでおすすめです。
マッサージする場所
猫のお腹を指の腹を使って時計回りに円を描くようにマッサージします。こうすることでお腹のガスが抜けて排便を促す効果が期待できます。症状が重い便秘の場合、お腹を触ると痛がる猫もいるので、嫌がるようなら止めてあげましょう。
お腹の他にもしっぽ、後ろ足、背骨の辺りにも便秘に効くツボがあるので、自然に優しくなでてあげるとよいでしょう。
まとめ
便秘は症状が重くなると痛みや不快感を伴い、猫の体に大きな負担を与えます。何日も溜まった便をそのままにしておくと、深刻な病気にも繋がるので放っておいてはいけません。
硬くなった便が溜まって出なくなると、病院で治療することになりますが、浣腸したり獣医さんが指で便を掻き出したり猫にとっては辛い治療になることも多いようです。
元気な様子でも何日も便が出ない場合は獣医さんに相談しましょう。トイレの様子や便の様子を確認して早めに便秘に気付くことが大切です。複数人でトイレの世話をしていると気が付かないこともあるので、その日便が出ていたかだけでも家族で確認しておきたいですね。
腸は健康の要です。日頃から食事やツボの刺激など便秘しないように工夫してあげましょう。日頃からしっかりスキンシップをしてあげることも猫との信頼関係を深め、お互いのストレスの軽減にも繋がるはずです。