猫が浣腸をするのはどんな時?
猫に浣腸をするのはひどい便秘の時
猫の便秘の状態によっては便の水分量を増やし、排便を促進させる薬や下剤による対策や食事療法をおこないますが、腸にたくさんの便がたまっているなど慢性的な便秘の場合は摘便したり、浣腸を使い排便を促す処置をおこないます。
猫の食事量にもよりますが、通常であれば猫は1日1回〜2回は排便をします。しかし2〜3日全く便が出ていないならば便秘といえます。また排便したとしても、便がコロコロと小さく、いつもより量が少ない、踏ん張っている状態でも便秘の範囲と考えられます。
特に以下の症状は便秘が原因で苦しみ、体調を崩しているのですぐに動物病院に受診すべきです。
- 排便姿勢をとるが、便が出ていない(あるいは便が小さくコロコロしている)
- 食欲不振、元気喪失
- 嘔吐など
猫はあまり水を好んで飲まないため便が硬くなり、便秘になりやすい動物です。また元々骨盤が狭い骨格の猫も、便が骨盤を通過できずに便秘になり、結腸にたまる巨大結腸症を引き起こすことがあります。
他にも毛玉や高齢により腸の蠕動運動が低下することが原因で便秘になりやすいです。人と同様に猫の便秘も、便が腸に長期間排出されずにたまっている状態のことをいいます。
猫に浣腸をする方法
猫に浣腸する場合、通常は体温程度に温めた生理食塩水で浣腸したり、濃度を調節したグリセリン浣腸剤を用います。浣腸剤を猫の肛門から注入し、お腹部分を優しくマッサージしながらたまっている便の排泄を促します。
便秘状態の猫は大量にたまった便により苦しみ、気が立ってしまうことがあり、その場合は浣腸剤を注入させた後、30分〜1時間程お預かりし自然に排泄するのを待ちます。
猫の年齢やたまっている便の量などにもよりますが、すぐに効果が現れるケースもありますがその一方で浣腸をしてから排便まで時間がかかることもあります。また帰宅後も便が出たり、垂れ流し状態になります。
猫の浣腸は動物病院で
浣腸が効きすぎて下痢状態になったり、浣腸剤を腸に注入するため浣腸の頻度が高いと腸の粘膜が傷つく恐れがあるため、動物病院では浣腸剤の量を調節したり、猫の状態をみて脱水傾向があれば点滴などの治療をおこないます。
そのため自己判断で浣腸をおこなうと逆に猫の体調を損ねてしまう恐れがあるため、必ず動物病院で浣腸をおこなってもらいましょう。
猫に浣腸をしてもうんちが出ない時は?
便秘を繰り返すことでたまった便が原因で結腸が巨大化する「巨大結腸症」になることがあります。年齢による腸の蠕動運動の低下や交通事故による骨盤骨折・狭窄などが原因で慢性的な便秘になることで発症します。
外科手術
骨盤狭窄が重症であったり、ひどい慢性的な便秘で浣腸をしてもあまり効果がない場合は、巨大化した結腸を切除したり、骨盤狭窄の場合は骨盤腔を広げる手術をおこなう必要があります。
浣腸以外の猫の便秘解消法
水分をとらせる
水分摂取量が少ないことが原因で便がカチカチと硬くなり便秘を引き起こしてしまいます。
元々猫は水を好んで飲まないため、いつでも水を飲めるように水飲み場を複数箇所設置します。またドライフードは水分量が5〜10%と少ないため、お湯でふやかして水分を含ませたり、水分量が多いウェットフードもあたえるとよいです。
食物繊維が調節された食事療法に切り替える
人の便秘対策で食物繊維をたくさん取った方がいいと聞いたことがあると思いますが、猫の便秘もある程度の食物繊維を摂取することが大事です。食物繊維には便を軟らかくさせ腸の通過をよくさせたり、腸の蠕動運動を活発させる効果があります。
しかし猫は肉食動物ということもあり食物繊維を摂取する食習慣がないため逆に過度にあたえすぎると返って便秘を悪化させてしまうことがあります。そのためバランスのよい食物繊維を取ることが大事になります。
食物繊維が豊富なカボチャやサツマイモなどを茹で、フードと一緒にあたえる方法もありますし、食物繊維を調節してつくられたフードに切り替える方法もあります。
マッサージをする
マッサージさせることで腸に刺激をあたえ便秘解消に効果があるといわれています。猫を抱っこした状態で、お腹部分を円を描くように優しく撫でてあげたり、軽く揉んであげます。
ですが猫は長時間同じ姿勢で我慢することが苦手でストレスとなってしまうため、3分程度にしておきましょう。
猫の便秘を予防する方法
運動
猫は1日の大半は寝て過ごす動物ですが、運動不足も腸の運動を悪くさせてしまい便秘になりやすくなります。オモチャを使って遊ばせたり、キャットタワーを置き上下運動をさせるなど、体を動かしてあげます。
毛玉防止にこまめなブラッシングを
猫の便秘の原因の1つに毛玉があげられます。猫の舌はザラザラと奥に向かって突起状になっているため、毛づくろいする際に被毛が絡み飲み込んでしまいます。毛玉を吐き戻すことがありますが、うまく吐くことができず消化管内に停滞し、便秘を引き起こします。
特に被毛が抜ける換毛期の時期は毛玉により、便秘になる猫が多いです。そのため飲み込む被毛の量を減らすために、こまめなブラッシングをすることです。
ストレスを減らす
排便を促す腸の蠕動運動は自立神経により作用しており、ストレスにより機能が低下します。そのため人もストレスが原因で便秘になるのと同様に、猫もストレスにより腸の蠕動運動を悪くさせてしまい便秘を引き起こします。
特に猫は警戒心が強く、些細な変化に対して過剰に反応してしまうためストレスを感じやすい動物です。できるだけストレスとなる原因を排除させ、ストレスフリーな生活環境に配慮することです。
安心できるキャットタワーなどの高いものを設置させたり、トイレを常に綺麗な状態に保つ、過度なスキンシップを控える(またはスキンシップを増やし、オモチャで遊ばせる)などの工夫してあげたり、猫の性格に合わせて接することが大事です。
猫の便秘に効くサプリメントやフード
ラキサトーン
猫の毛玉の排出をサポートするサプリメントです。流動パラフィンと白色ワセリンを主成分としており、消化管内でつくられた毛玉をスムーズに排泄を促す効果があります。また毛玉の形成しにくい効果もあるため便通を良くさせてくれます。
ロイヤルカナン 消化器サポート可溶性繊維
この療法食は便秘の猫に向けてつくられたフードです。消化が高い原材料を使っており、食物繊維の含有量を調節しています。また腸内環境の改善や便を軟らかくさせてくれるサイリウムなどの食物繊維が入っています。
まとめ
猫は便秘になりやすい傾向があり水分摂取量の低下や運動不足、毛玉や高齢に伴う蠕動運動の低下、骨盤狭窄などが原因としてあげられます。通常であれば猫は1日1〜2回排便しますが、2〜3日全く便が出ていなければ便秘といえるでしょう。
また排便したとしても便が硬くコロコロと小さかったり、踏ん張っている様子も便秘の範囲と考えられます。
比較的たまっている便の量が少ないなど比較的便秘の状態が軽度であれば、排便を促進させる薬や食事療法で改善されますが、慢性的な便秘や自然に排泄するのが困難と判断した場合は浣腸を使用します。
濃度を調節したグリセリン浣腸剤や生理食塩水を猫の肛門から注入し、たまっている便を排泄するように促します。場合によっては浣腸が効きすぎて下痢状態になったり、浣腸の使用頻度が高いと腸の粘膜を損傷させる恐れがあるため、動物病院でおこなうようにしてください。
慢性的な便秘になると結腸が巨大化する巨大結腸症を引き起こすことがあります。一般的に巨大結腸症も浣腸を使用したり摘便する処置をおこないますが、あまり効果が見られない場合は巨大した結腸を切除したり、骨盤を広げる外科的な手術をおこないます。
猫が便秘にならないように飲水量を増やすために水飲み場を用意したり、水分量が多いウェットフードをあたえる、オモチャを使って運動させたり、お腹をマッサージさせるなどの対策を日頃からおこなうことが大事です。
また排便を促すようにサポートしてくれるサプリメントや食物繊維を調節したフードをあたえることも便秘予防に効果的です。特に猫はストレスを感じやすく腸の動きを悪くさせてしまうため、ストレスがないように生活環境を心がけることも大切です。