猫にアロマオイルは危険?理由や症状、対策など

猫にアロマオイルは危険?理由や症状、対策など

心身をリラックスさせる効果がある「アロマオイル」。湯船に垂らして浴室内で香りを楽しんだり、マッサージに使ったりと様々な使い方がありますよね。しかし、猫にとってアロマオイルは危険と言われています。もし猫を飼っている場合は、愛猫がアロマオイルを嗅がないようにするための対策をしましょう。 今回は「猫にアロマオイルが危険な理由」や「アロマオイルを嗅いだ時の症状」、「アロマオイルを嗅がないようにする対策」について紹介していきますね。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫にアロマオイルは危険!その理由

ディフューザーに近寄ってくつろぐ猫

猫にアロマオイルが危険な理由は、アロマの香りを嗅ぐと中毒を引き起こしてしまう恐れがあるからです。ではなぜ人間は大丈夫で、猫は中毒を引き起こしてしまうのか、その理由はいくつかあるため、ひとつずつ詳しく紹介していきますね。

肉食動物なため、植物由来成分の代謝が苦手

中毒を起こす理由のひとつは、「肉食動物なため、植物由来成分の代謝が苦手」であることが挙げられます。

猫は本来肉食動物なため、お肉がないと生きていけない生き物です。そして、肉食の生き物は、肝臓の働きがこの食べ方に合うように作られています。猫の肝臓は、肉食の解毒を主に行うよう進化しており、植物を必要としない体なのです。

そのため、アロマオイルに含まれている植物由来の成分を分解する機能が猫は弱く、代謝ができません。代謝ができないと体内に留まり続けてしまうので、中毒を引き起こしやすくなります。

ちなみに、猫以外にもウサギやフェレット、鳥などの小動物もアロマで中毒を引き起こした例が報告されていますよ。草食動物である馬や羊、雑食性のある犬ではアロマオイルの成分を代謝する能力が猫よりあり、中毒を起こしにくいと言われていますね。

また、アロマオイルと似ているものに「エッセンシャルオイル(精油)」がありますが、こちらも猫には危険です。エッセンシャルオイルは特定の植物の油分のみを抽出して製造された天然成分100%のオイルです。アロマオイルは、エッセンシャルオイルに加え人工香料が加えられるなどした1天然成分以外の成分を含むものです。エッセンシャルオイルがアロマオイルと呼ばれていることもありますが、いずれにせよ、植物由来成分が含まれているオイルは猫には危険である可能性があります。

肌からの吸収

猫の皮膚は薄いという特徴があります。

皮膚が薄いのは、柔らかくよく伸びるため、活発に動きやすいという利点があるのですが、皮膚が傷つきやすいという欠点もあるのです。

人間も猫も、皮膚は「表皮」、「真皮」、「皮下組織」の三層構造になっており、表皮にはバリア機能の役割があります。ですが、「猫の表皮は人間の半分以下の厚みしかない」と言われているため、バリア機能が弱くなりやすいのです。バリア機能が弱くなった場合には少量でも有害となり、中毒を引き起こす場合があります。

モノテルペン炭化水素類に敏感に反応する

猫は「モノテルペン炭化水素類」に敏感に反応する生き物と言われています。モノテルペン炭化水素類とは、C(炭素原子)とH(水素原子)のみで構成された芳香分子のことであり、特に柑橘系(レモンやオレンジ、グレープフルーツ)のアロマオイルの大半を占める主要成分です。

フェノール類やケトン類に過敏に反応する

猫はフェノール類やケトン類などの成分にも敏感に反応すると言われています。フェノール類はオレガノやクローブ、シナモン、バジルなどに多く含まれています。ケトン類はカンファーやセージ、ヒソップ、スペアミントなどに多く含まれていますよ。

フェノール類とケトン類は使い方や量によっては人間にも有害とされているので、これらの成分が含まれるアロマを使う時は、飼い主さんも過剰摂取しないよう、また正しく使うように気をつけましょうね。

猫がアロマオイルを嗅いだときの症状

日当たりが良い場所でスヤスヤと眠る猫

ここでは、猫がアロマオイルを嗅いだ時に引き起こす可能性のある中毒症状を詳しく紹介していきますね。

目の異常

猫がアロマオイルを嗅ぎ、中毒を引き起こした場合、「流涙(りゅうるい)」や「まぶしがる」などの症状が見られることがあります。

流涙とは、涙が溢れるように出る症状のことです。また、グルーミングを介してや誤って眼にオイルが入ってしまうと、「角膜潰瘍」が出来る可能性もあるそうです。角膜潰瘍とは、角膜の組織が深く損傷してしまう病変のことです。角膜潰瘍が出来ると強い痛みを伴いますよ。

皮膚の異常

中毒症状には皮膚の異常も認められており、主に皮膚の赤みや痒み、腫れ、炎症などが見られることがあります。

その他の異常

アロマによる中毒症状は他にもたくさんあり、以下のような症状が報告されているそうです。

  • 下痢、嘔吐
  • 失禁
  • 元気がなくなる、食欲不振
  • 低体温
  • 筋肉の震え
  • 抑うつ状態
  • 口腔粘膜の炎症、よだれ
  • 肝臓の数値が上がる
  • 死亡

上記のように、アロマを嗅いで引き起こす症状は様々です。他の薬物などで発症する中毒症状とも類似しており、最悪の場合死亡する恐れもあります。そのため、「猫にアロマはダメ!」と家族全員に周知しておきましょう。

また、これらの症状はアロマ成分を取り込んでからすぐに引き起こすわけではなく、2〜8時間程で起こったと報告されている例もあるようです。ですが、必ずしも2〜8時間程で症状が現れるわけではなく、数年間かけて体内に蓄積して、「肝不全」を引き起こす場合もあると言われていますよ。

猫がアロマオイルを嗅がないようにする対策

ボディーケア用品に近寄って匂いを嗅ぐ猫

猫がアロマオイルを嗅がないようにするために、飼い主さんができる対策をひとつずつ紹介していきますね。

猫のいる家ではアロマオイルを使用しない

一番安全なのは、猫のいる家ではアロマオイルを使用しないことです。前述したように、アロマによって中毒を起こすと様々な症状を引き起こし、最悪の場合死に至る恐れがあるため、リスクをゼロにするには使わないことが一番なのです。

また、長期間に渡って蓄積していくこともあるため、外見では分からなくても徐々に体内で毒が溜まり、肝不全などの症状を引き起こす恐れもあります。そのため、アロマを使わないと決めておく方が、猫の健康のためには良いかもしれません。

ちなみに、他にも猫に中毒を引き起こすものがあります。例えば観葉植物の中ではポトスやアグラオネマ、セローム、フィドルリーフ、ブラッサイア属、カラジウム、ヒメカズラなどには不溶性のシュウ酸カルシウムが含まれ、それらを食べてしまった場合には、口の中や舌、唇への熱いヒリヒリとした刺激があり、よだれや嘔吐、食べ物を飲み込むことが出来なくなるなどの中毒症状が出ます。

また、ユリ科(チューリップ)やキジカクシ科の植物(スズラン・ヒヤシンス)も毒性があり、活けてある花瓶の水を飲んだだけでも中毒を起こした例もあるそうです。

ユリ科、キジカクシ科の植物について監修獣医師による補足

ユリ科の植物には、種類によって毒性の強さに差はありますが、植物のどの部分を食べてしまっても中毒が起こりえます。中毒の原因となる物質は未だ不明なのですが、腎臓が損傷されて腎不全を起こしてしまいます。

スズランにはカルデノリドと言う強心配糖体が含まれ、食べてしまうと異常な心拍、低血圧、ふらつき、昏睡、痙攣などが起こる危険性があります。ヒヤシンスにはアルカロイドが含まれ、ひどい嘔吐や下痢、抑うつ状態、痙攣をおこす危険性があります。

英語にはなりますが、植物の毒性を調べるには、アメリカ動物虐待防止協会(The American Society for the Prevention of Cruelty to Animals, ASPCA)が載せているリストが役に立ちます。

https://www.aspca.org/pet-care/animal-poison-control/toxic-and-non-toxic-plants

獣医師:木下 明紀子

他にも、ガソリンや灯油、塗料シンナー、洗浄剤、接着剤などを摂取すると喉が痛くなったり、呼吸困難、激しい咳、チアノーゼなどが出ることがあります。もちろん、除草剤や殺虫剤などの使用も、猫にかかったりなめたりしないように十分な注意が必要です。

もし虫よけ製剤や殺虫剤などを使い、猫の被毛に付着すれば、グルーミングにより口から成分を摂取してしまうかもしれません。これらのような猫にとって危険なものも、猫の近くに置かないことや、使わないようにしましょうね。

アロマを使用する部屋に猫を入れない

今では、加湿器やディフューザー、キャンドルなど、様々なアロマを楽しむアイテムがあるので、猫を飼っていても「どうしてもアロマを楽しみたい」という方もいるかと思います。

そのような方への対策としては、アロマを使用する部屋に愛猫を入れないことです。アロマを使用する部屋にいるだけでも危険性があるかもしれないからです。また、こまめに換気を行うのも、中毒を引き起こすリスクを下げることに繋がりますよ。

猫が触れられない場所にアロマを片付ける

猫のいる部屋でアロマを使うだけでなく、保管場所にも気をつけましょう。猫が触れられる場所にアロマオイルを保管していると、舐めたりする恐れがあります。特に好奇心旺盛でいろいろなものに興味があり、近づいていく猫には気をつけてください。

舐めたり体に直接オイルがかかったりすることがないよう、猫が触れられない場所に片付けるなど、しっかりと管理した上で楽しみましょうね。

アロマ成分が含まれる製品に注意する

アロマオイルだけでなく、アロマ成分が含まれる製品も猫が触れられない場所に置くようにしてください。シャンプーやトリートメントなどにアロマ成分が含まれている場合があるため、購入する前はチェックする習慣をつけておくと良いでしょう。

また、前述したように、エッセンシャルオイル(精油)も同じように中毒を引き起こす引き金となります。もしエッセンシャルオイル配合のハンドクリームやボディクリームなどを使っていたら、愛猫が舐めて摂取してしまう恐れがあります。

愛猫に使うものだけでなく、飼い主さんが使うものにも気をつけておくことが大切ですよ。

まとめ

様々なオーガニック用品に近寄る猫

猫はアロマオイルに含まれる植物由来成分を代謝するのが苦手です。飼い主さんからすると心地よい香りでリラックスができますが、アロマオイルに含まれる植物由来成分は、猫にとっては中毒を引き起こす引き金となるものもあります。

飼い猫がいる場合は、自宅でアロマオイルを使わないことが一番安全でしょう。どうしても使いたい場合は、「アロマを使う部屋に猫を入れないこと」と「猫が触れられない場所にアロマを保管すること」を徹底しましょう。

エッセンシャルオイルの猫への安全性について監修獣医師による補足

アロマセラピーに使われるエッセンシャルオイルの猫への安全性については多くの異なった意見があり、エッセンシャルオイルを生活に取り入れたい飼い主さんにとっては、何をどう使って良いのか判断することが難しいと思います。

猫が完全な肉食動物であるために、様々な成分の代謝・解毒システムに人間とは違う点が多くあることは事実ですが、科学的な根拠をもって「猫に安全」または「猫に危険」と言える情報はとても少ないのが現状です。

しかし、はっきりとした因果関係は示されていなくてもエッセンシャルオイルとの関連が疑われている猫の健康被害は世界中で多く報告されているので、ディフューザーによる拡散なのか直接の外用なのかなどの使用法にかかわらず、一般の飼い主さんはエッセンシャルオイルを猫がいる環境では使用しないことが、現時点では最も安全ではないでしょうか。

ペットにアロマテラピーを行っている獣医師の中には、エッセンシャルオイルの成分そのものではなく使われたエッセンシャルオイルの質(原料の植物が栽培されていた環境、オイルが新鮮かどうか、混入していた成分など)と濃度に問題があった場合が多いと言う人もいます。

また、2000年代初頭までは、ペット用として販売されたエッセンシャルオイル入りのシャンプーやノミよけ製品に、オイルの濃度が高すぎるものがあり、それらの使用で中毒を起こした猫もいたそうです。

動物に使用しない方が良いエッセンシャルオイル

参考までに、動物用の医療用エッセンシャルオイルを販売している会社のサイトに記載されていた、動物に使用しない方が良いエッセンシャルオイルの種類を紹介します。

ファー(モミ)、サイプレス(ホソイトスギ)、ジュニパー、スプルース(トウヒ)などの針葉樹系オイル 非常に酸化しやすい。酸化したオイルを使用した場合、炎症を起こしやすくなります。
タンジー タンジーは除虫菊の近縁種で、β‐ツヨンという毒性の強い成分が含まれます。人間に対してもアロマセラピーでは使われないようです。*原文には「tansy」とだけ記載されていますが、「コモンタンジー」のことだと思われます。「ブルータンジー」とは別物です。
バーチ、ウィンターグリーン サリチル酸メチルの含有量が高く、人間のアロマセラピーでも要注意または使用を避けるべきとされています。

https://www.animaleo.info/learn-more.html

獣医師:木下 明紀子

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