猫がダンボール好きな理由
部屋にダンボール箱が置いてあると、気づいたら愛猫の遊び道具になっていたという経験はないでしょうか。
ダンボールに向かってダイブしたり、噛みついてボロボロにしたり、中に入ってくつろいでいたり、何の変哲もないただの箱なのに、なぜ猫はこれほどまでに夢中になってしまうのか、不思議に思った飼い主さんもいると思います。
猫がダンボールに入る理由は何でしょう?どんなところに魅力を感じているのか見ていきましょう。
猫が好きな場所の条件が揃っているから
猫は狭いところが好きで入りたがりますが、これは野生時代の名残だと考えられます。
猫の祖先は、「リビアヤマネコ」という中東の砂漠で暮らしていた動物だと言われています。外敵から身を守るために、木の上に登ったり、砂漠の穴倉や草の茂みなどに隠れたりして暮らしていました。狭くて身を隠せる場所が唯一安心できる場所だったのです。
その名残が現代に生きる猫たちにも本能的に引き継がれているのでしょう。四方が囲まれた狭くて薄暗いダンボールの中は、猫にとって落ち着いて過ごせる場所と認識しているのでしょう。
爪とぎに最適だから
猫の爪は、外側に古い爪があってその下に新しい爪が生えており、古い爪を剥がすことで新しい爪を出しています。この時、爪とぎをして古い爪が丸くなっていると、爪が引っかかって、新しい爪を出しやすくなります。
市販の猫用爪とぎにも、ダンボール製のものがあります。ダンボールの硬さは猫の爪とぎにちょうど良く、引っかかりもあるので爪とぎしやすい材質なのです。
飼い主に構ってもらいたいから
猫がダンボールの中に入っている時に、「何しているの?」「面白いね!」と声をかけたり笑ったりしている飼い主さんはいませんか?
猫はダンボールの中に入ることで、飼い主さんが喜ぶという記憶が残り、「もっと構ってもらいたい」「喜んでもらいたい」と、何度も同じことを行っているとも考えられます。
快適で心地よい温度だから
四方が囲まれたダンボールの中は、外部からの冷たい風を遮ることができます。
また、猫は寒い時期、自分の熱を逃がさないように体を丸くして寝ますが、ダンボールは断熱性に優れ温かさを保つ効果があるので、猫の寝床としても最適です。
また、通気性も良く夏はひんやりとしているので、1年中快適に過ごすことができます。ダンボールを簡単にリサイクルしてダンボールハウスを作ってあげると喜ぶでしょう。
ダンボールに付いたニオイに興味があるから
ダンボールは宅配便や郵便などで外から持ち込まれることがほとんどでしょう。家猫にとっては、初めてのニオイが詰まった宝箱です。
特に、ダンボールはニオイを吸収しやすい素材なので、中に入っていたものや外側に付いたニオイなど、外の世界を知らない猫にとっては興味津々でしょう。
ダンボールのニオイから情報を得た後は、自分のニオイを擦りつけて、ダンボールの中に入り「ここはわたしの縄張り!」とアピールしているのでしょう。
猫のダンボールアイテムは手作りも人気!
狭くて暗いダンボールの中は、猫にとって安心して身を隠すことができる場所になります。また、保温性や通気性にも優れているので、冬は暖かくて夏は涼しい、いつでも快適な温度を保つ心地よい空間です。
さらに、ダンボールの素材は適度な柔らかさもあり寝心地も抜群で、外部の音を吸収する効果もあるので、猫には最高のベッドにもなるでしょう。
このように、ダンボールの中は、猫にとってくつろぎの場所と言えます。ダンボールを置いておくだけで猫は大喜びですが、せっかくかわいい愛猫のためなら、少しだけ手を加えてより快適で便利なアイテムを作ってみませんか?
ここでは、ダンボールアイテムとその作り方を紹介します。猫に喜んでもらえるものやSNSで自慢したくなるものばかりなので、ぜひチャレンジしてみてください。
ダンボールベッド
保温性に優れたダンボールは、どの季節も快適な温度を保ち、猫用のベッドにピッタリです。中に毛布やタオル、クッションなどを敷いておくだけで、簡単に猫専用ベッドになります。
猫を複数飼っている場合は、ダンボールを縦に積み重ねて置くことで、猫のアパートのようなかわいいベッドができます。
ダンボールを猫のベッドにする時に気をつけてほしいことは、配送される際にゴミや汚れが付いていることもあります。
猫がダンボールベッドで寝ている間に、ダニや虫などに食われてしまう可能性もあるので、使用する前に十分に拭き取りましょう。
それでは、ダンボールベッドの作り方を紹介します。
- ベッドの入口になる部分を切り取ります。愛猫の大きさに合わせてカッターで入口を作ります。窓も作って上げると、見た目にもかわいいです。
- 中に毛布やクッションなどを入れます。ダンボールの中に押し込んで入れると、猫がリラックスできないので、ふんわりとさせて敷きましょう。中に入れるものは、愛猫のお気に入りのものだとさらに喜ぶでしょう。
- これだけで完成です。ダンボールなので、使い古してボロボロになったら、そのまま燃えるゴミとして簡単に処分できます。
猫戦車
海外では、ダンボールで「猫戦車」を自作するのが流行っているようです。
猫戦車とは、猫が戦車の中に入って操縦しているように見える猫のおもちゃです。見た目がかわいいだけでなく、猫の大好きな狭くてすっぽりと収まる空間に大満足の表情を見せてくれます。
ツイッターやインスタグラムなどのSNSには、多くの猫戦車が紹介されており、どれも飼い主さんのアイデアが光るDIY作品ばかりです。
ここでは、基本的な猫戦車の作り方を紹介します。簡単に作れるのでぜひチャレンジしてみてください。
- ダンボールを2つと筒を用意します。ダンボールは大きいものと小さいものを使い重ねると戦車らしくなります。長い筒状のものがあればそのまま取り付ければ良いですが、なければダンボールや紙を丸めてもOKです。
- 2つのダンボールの上部に、猫の体が通るくらいの穴を開けます。
- 大きいダンボールの上に小さいダンボールを積み重ねて固定します。あとは、筒やタイヤを付けて、お好みで装飾すれば完成です。
頭を出す穴を増やして2匹乗りの戦車にしたり、大きなタイヤを付けて “戦闘力”の高さを表現したり、アイデア次第でいろいろな猫戦車を楽しむことがでいますよ。
リアルクロネコ宅急便
“リアルクロネコ宅急便” もSNSで注目されています。これは、クロネコヤマトのダンボールでトラックを作り、そこに猫を入れることで運転しているかのように見えて、とてもかわいいと話題になっています。
クロネコヤマトのダンボールは、ヤマト運輸の営業所で荷物梱包用として販売しています。ただし、取り扱っていない営業所もあるようなので、事前に問い合わせて確認しておきましょう。
作り方は次の手順に沿って進めてください。
- 底をガムテープで留めます。底部分は白いので、白いガムテープだと目立たなくて良いです。
- 窓の白い部分をカッターで切り抜きます。
- 後ろのドア部分も開くように切り目を入れて、猫の出入口にします。
- フロントは窓をくり抜くだけでも良いですが、ボンネット部分に傾斜をつけると、よりリアルなトラックに近づけることができます。まず、フロント部分にある “クロネコマーク” のすぐ上の線に沿って本体から切り離し、左右の白い不要な部分は切り取ります。切り抜いたフロント部分を本体に貼りつけます。ボンネット部分に隙間ができてしまうので、フロント部分を切り取った時に余った緑の部分で埋めましょう。
- タイヤ周りをカットして立体感を出しましょう。ただ、足元が弱くなるので、底を補強する必要があります。余ったダンボールを縦4cm×横4cmくらいにカットし4枚重ねたものを4~5個作り、底に貼り付けてください。これで、リアルクロネコ宅急便の完成です。
その他にも、“猫用トンネル” なら、ダンボールに穴を開けるだけで簡単に作れます。
また、凝ったものだと、ダンボールを神社の形にして、餌台として使える賽銭箱も作り、立派な猫神社を作る方もいます。ダンボールは加工しやすいので、いろいろな楽しいアイテムを作ることができます。
猫がダンボールに入らないときに考えられる理由
ほとんどの猫がダンボールが好きですが、中に入るのを嫌がる猫もいます。愛猫に喜んでもらうために、DIYをしてダンボールハウスやキャットタワーを作ったのに、全然遊んでくれなかったら悲しいですよね。
ただ、猫にもダンボールに入りたくない理由があるのでしょう。考えられる理由を紹介します。
ダンボールのサイズが気に入らない
猫は狭い場所を好むので、ダンボールが大きすぎると落ち着いて過ごすことができません。そのため、ダンボールの大きさは、猫の体がちょうどフィットするくらいが良いです。
また、箱の深さも猫によって好みがあり、「深さのある箱には入らなかったけど、浅い箱に替えたら入ってくれた」ということもあります。
いろいろなサイズのダンボールを用意して試してみると良いでしょう。
初めてのものに警戒心を抱いている
猫の性格によっては、初めて見るダンボールに警戒している可能性もあります。また、隠れたり寝床にしたりするためには、素材やニオイにも慎重になるので、嫌いな部分や気に入らない理由があるのかもしれません。
ただ、最初は警戒心を抱いていても、「身を守ってくれるもの」「中に入るとうれしいことがある」として、ダンボールの居心地の良さを認めさせることで、入ってくれることもあります。
その方法の1つとして、ダンボールの中で猫の好きなおやつを与えると良いでしょう。おやつの与えすぎは厳禁ですが、繰り返すことで「ダンボールの中はおやつをもらえる場所」と刷り込むことができます。
置き場所が落ち着かない
ダンボールの中に入ってくれない時は、ダンボールを置く位置を変えてみてください。
猫は高いところや外が見える場所が好きです。高い場所が好きなのは、野生で暮らしていた頃の本能に基づきます。
自分のテリトリーに問題がないか見渡して確認できる場所は、猫にとって大きな安心感になります。そして、飼い主さんの姿もいつでも見ることができ、行動を察知するためにも適しています。
また、家猫の場合は、ストレスがどうしても溜まってしまいます。好奇心旺盛な性格の場合は、窓際にダンボールを置くことで、常に変化する外の様子を眺めることができ、ストレス解消になります。
飼い主さんも、猫がダンボールに入ってリラックスした表情で、外の景色を眺める姿に癒されますよ。
猫がダンボールを食べたりかじったりする理由と対策
ほとんどの猫がダンボールに興味を持ちますが、中に入ってくつろぐだけでなく、噛んだり食べたりしてしまう猫もいます。
ダンボールはもちろん食べ物ではないので、猫の体に悪い影響を与えるのではないかと心配になってしまうでしょう。猫はどんな理由があってダンボールを噛むのでしょう。噛まないようにする対策も紹介します。
ストレスを発散しているから
生活環境の変化や一緒に暮らしている猫との相性などが原因で、ストレスがたまることもあります。
また、運動量が少ないことやスキンシップ不足も、猫にはストレスになります。これらのストレスを発散させるために、ダンボールをかじっている可能性があります。
ダンボールをかじるだけなら問題ありませんが、食いちぎるほど酷くなると、食べてしまったり部屋がゴミだらけになったりしてしまいます。食べるのを防ぐために、猫がかじっても健康に悪影響のない安全なおもちゃを与えると良いです。
運動不足やスキンシップ不足によってストレスが溜まっている場合は、家の中でも体を動かせるようにキャットタワーを設置したり、一緒に遊んだりしてあげましょう。
噛み心地を気に入っているから
「なんだかいいニオイがする」「この感触好き」と、単純にニオイや噛み心地が気に入ったという理由でかじっている場合も多いです。
歯がかゆいから
子猫の乳歯は生後3週間から生え始め、生後1ヶ月半くらいまでに生え揃います。そして、3ヶ月~6ヶ月で永久歯に生え変わりますが、この頃に、歯がとてもかゆくなります。そのかゆみを抑えるためにダンボールを噛むことがあります。
歯が完全に生え変わる頃には、噛むのをやめる猫がほとんどですが、猫の安全のために噛んでも問題のない専用のおもちゃを与えることをおすすめします。
狩りへの欲求を満たそうとしているから
猫は肉食動物で俊敏な運動能力を活かして狩りをしながら暮らしていました。飼い猫の多くは、野生の性質を失いかけていますが、今でも小動物や小鳥など小さな生き物なら簡単に捕まえることができます。
ダンボールに飛びついたり噛みついたりする行動も、本能の名残として狩りへの欲求を満たすために行っていると考えられます。
狩りへの欲求を発散させるためには、猫じゃらしを使い、生き物のように細かく動かして遊んであげると良いでしょう。ペットショップやホームセンターなどには、猫が興味を持ってくるように工夫されたおもちゃがたくさん販売されているので、いろいろと試してみてください。
猫にダンボールを与える時の注意点
猫がダンボールの中に入って、楽しそうに遊んでいる姿はとてもかわいいですね。
猫にとって安心できる場所にもなり、爪とぎにも最適なダンボールですが、猫に与える際は注意すべきこともあります。安心して使わせてあげられるように、よく確認しておいてください。
ダニがついていないかチェックする
新品ではないダンボールには、ダニが住みついている可能性があります。
ダンボールの内部はダニにとって繁殖しやすい条件が揃っているので、表面上はきれいに見えても、中までよく見てみるとダニが見つかることがあります。
猫のためのダンボールアイテムを作る際は、ダニがいないか十分にチェックすることが大切です。また、ダニに対してアレルギー反応が生じる猫もいるので、アレルギー症状が現れた場合はすぐに使用をやめましょう。
寝床にするなら防寒対策をする
ダンボールは保温性に優れているので、冬でも暖かくて快適な寝床になります。しかし、寒さが厳しい地域や気温の下がる日などは、さらなる防寒対策が必要です。
例えば、ダンボールを2つ重ねて、その間にアルミ製の保温シートを挟んでおくと良いです。また、下に敷く毛布は、柔らかくて保温性に優れたフリース素材のものがおすすめです。
誤食したら病院で診断を受ける
ダンボールを噛むだけなら、それほど問題はありませんが、噛んでいるうちに徐々に柔らかくなって誤飲誤食してしまうこともあります。
紙で作られているダンボールは、猫の体の中で消化されません。すぐに吐き出せば問題ないですが、飲み込んでお腹に残ると、腸閉塞になってしまう恐れがあります。
腸閉塞を起こすと、嘔吐や下痢、食欲不振などの症状が現れます。開腹手術が必要になったり、最悪の場合は死に至ることもあります。
愛猫を喜ばせるために用意したダンボールアイテムで、苦しませることにならないように、噛んでいるのを見つけたらすぐにやめさせましょう。ダンボールを噛むのが癖になっているようなら、その猫には与えない方が良いです。
また、ダンボールを食べてしまい、吐き出さない場合は、できるだけ早く動物病院に連れて行きましょう。
高いところに置く場合は落下に注意する
猫は高いところや外が見える窓際が好きなので、そのような場所にダンボールを置いておくと喜んで入ります。しかし、高い場所に置いておくだけだと、落下の危険性があります。
猫は運動神経が良い動物ですが、ダンボールに入ったまま落ちてケガをしてしまう可能性もあります。しっかり固定しておくか高所には置かないようにしましょう。
まとめ
猫がなぜダンボールが好きなのか、その理由を紹介しました。ずっと不思議だった飼い主さんもスッキリしたのではないでしょうか。
ダンボールの中は猫の本能的に安心できる場所、良いことや嬉しいことがある場所として認識しているようです。 ただし、ダンボールにはダニが潜んでいる場合があるので注意が必要です。
また、ダンボールの置き場所によっては、落下や転倒の危険性があるので、動かないようにしっかりと固定させることも大切です。
ダンボールは加工しやすいので、飼い主さんが自作で愛猫のために楽しいアイテムを作ることもできます。猫に与える際の注意点をよく確認して、安全を確保して猫を楽しませてあげてくださいね!