猫が嫌いなハーブと食べても安全なハーブについて

猫が嫌いなハーブと食べても安全なハーブについて

インテリアの飾りや匂いを楽しむなど、生活の一部になってきたハーブですが、猫にとってのハーブは危険なものとなる場合がたくさんあります。猫が嫌いなハーブや、食べても安全なハーブについてご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫が嫌いなハーブ

ハーブと猫

猫が嫌うとされているハーブは、以下です。

  • ローズマリー
  • セージ
  • オレガノ
  • ミント
  • ペパーミント
  • オレンジ
  • マンダリン
  • ベルガモット
  • チャイブ
  • ユーカリ
  • タンジー
  • ゼラニウム
  • ランタナ
  • マリーゴールド
  • マツヨイグサ

一般的に猫が嫌うハーブは、柑橘系、ミント(ハッカ)系、シソ系の匂いがするものと言われています。そのような匂いはすっぱかったり苦かったりすることが多く、すっぱさや苦さは猫の食性においては「腐っている」「毒がある」ことになるので、猫はこれらの匂いを避けるのではないかと考えられます。

ハーブとは、昔から薬、香料、防虫、料理の保存料や香りづけなどに利用されたり、鎮静や気分高揚などの作用を期待して利用されたりする植物のことです。ハーブは、料理に使う以外にもハーブティやハーブを入れた入浴、アロマテラピーなどに使われていて、人間の生活に多く入り込んでいると言えるでしょう。そのため、猫がハーブやハーブから抽出した精油と接触することもあると言えます。

猫は人間の何十万倍もの嗅覚を持っていると言われています。少しの匂いでも、猫は敏感に感じているということになります。花を育てている人で、庭や花壇を野良猫に荒らされて困っていることもあるでしょう。花をいたずらでかじられたり、土をトイレがわりに使われたりといったことです。そんな時に、猫の嫌う匂いのハーブも一緒に植えておくと、植物や庭を守れる可能性があります。しかし猫にも個体差がありますので、必ずしもハーブで被害が起こらなくなるとは言えません。

また、猫が好むかどうかとは別に、バジルやパクチー、ローズマリー、レモンバームなどは猫が食べても問題が起こらないハーブとされています。

【猫が嫌いな匂いのハーブについての補足】

 上記に紹介されているハーブのうち、ローズマリー、セージ、オレガノ、ミント、ペパーミントはシソ科の植物で独特の匂いを持ち、特にミント類は清涼感のある強い匂いを持っています。ここで言われているベルガモットとはベルガモットオレンジのことだと考えられ、マンダリンとはみかんのことです。オレンジを含むこれら柑橘系の匂いは、人間にとっては多くの場合爽やかで良い香りですが、猫にとっては良い匂いではないようです。また柑橘系の精油は、下記に説明がありますように、猫に対して毒性を示すことがあります。ベルガモットオレンジと似た香りを持つことから、モナルダ(ワイルドベルガモット、ヤグルマハッカ)という植物もベルガモットと呼ばれることがありますが、モナルダはシソ科の植物です。
 チャイブはネギの仲間で、猫が匂いを嫌がるだけではなく、猫が口にしてはいけない植物です。ユーカリもハッカに似た独特の匂いがあり、猫が嫌うことが多いでしょう。レモンユーカリは柑橘系の香りがするユーカリの近縁種ですが、どちらにしても柑橘類やユーカリと同様に猫が嫌う匂いがします。
 タンジーとは除虫菊のことです。ゼラニウム、ランタナ、マリーゴールド、マツヨイグサなどは、葉や花に独特の匂いを持ちますので、猫がその匂いを嫌うと考えられます。

獣医師:木下明紀子

猫が好む植物

猫草を食べる子猫と長毛猫

キャットグラス

ハーブではありませんが、いわゆる猫草と呼ばれるものです。ホームセンターでも購入できるものがたくさんあります。猫草として販売されている植物の多くは、エンバクというイネ科の植物ですが、大麦やチモシーなど他のイネ科の植物が猫草として売られていることもあります。飲み込んだ毛を吐き出しやすくするため、おやつとして、食感が好き、などが猫がこのような草を食べる理由として考えられています。道端にも様々なイネ科植物が生えていますが、自宅で種や苗から育てて農薬や動物の排泄物などがついていないことが分かっている猫草を与えることをおすすめします。

キャットニップ

キャットニップは、イヌハッカとも呼ばれます。白い綿毛が茎と葉についています。日本で猫にまたたびが与えられているように、西洋で猫に与えられているので西洋またたびとも呼ばれ、猫が好む匂いで、興奮状態になり、体をすりつけたり、ごろごろと転がったりします。葉っぱや粉状にしたものを袋などにいれて、猫用のおもちゃなどに使われています。ただし、嘔吐や下痢を起こす猫もいますし、興奮し過ぎてしまうこともあるので、与える際には適度な量や時間を考慮しなければなりません。

レモングラス

猫は柑橘系の匂いが嫌いなはずですが、レモングラスを好んで噛んだり食べたりする猫は多いようです。レモングラスは猫草と同じイネ科の植物なので、形や食感から猫が好むのかも知れません。しかしその匂いから、レモングラスが嫌いな猫もいるようです。少量を噛んで遊んだり食べたりするくらいでしたら危険はありませんが、レモングラスには猫に毒性を示すリモネンやシアン配糖体が含まれていますので食べ過ぎないように注意しましょう。あまりにもレモングラスが好きでしょっちゅう食べてしまうようでしたら、食べるのをやめさせた方が無難でしょう。イネ科の植物を食べるのが好きなら、猫が安全に食べられる植物(猫草)が他にありますので、わざわざレモングラスを食べさせることはないでしょう。

また、大量ではなければ食べても安全なのはレモングラスの植物としての状態で、精油の状態ではレモングラスに含まれる成分が濃縮されていて猫に毒性がある成分も高濃度に含まれることになるので、猫に対して使うことには危険があります。ハーブの成分が凝縮された精油を舐めたり、精油を拡散させた空気に長時間さらされたり、精油が直接皮膚についたりすると、中毒や炎症を起こし、命にかかわるまでになる場合もあります。

【レモングラスと猫についての補足】

 多くのサイトに「レモングラスは猫にとって安全」と書いてありますが、確かに嗜好品として常識的な量を食べる程度では問題とならない、と考えて良いでしょう。ただし、ここで説明されているように、大量に摂取すると猫が中毒を起こす成分も含まれていますので、積極的に食べさせたり、猫草の第一選択として選ぶべき植物ではないと思います。
 ネギやチョコレートのように猫が食べるのは絶対に避けたい食べ物もありますが、そうではなくても、ハーブに限らず、猫でも人間でも少量を時折食べるのは問題ないけれども、大量に継続的に食べると健康を害する食べ物もいくつもあります。

獣医師:木下明紀子

猫にとって危険なハーブ

猫とラベンダー

ハーブは、植物の状態として庭などにあるだけでなく、人間の世界ではアロマテラピーとして使われることが多いでしょう。アロマテラピーとは、精油を使って、心身の健康維持やストレス解消などを期待する療法です。精油は、ハーブや木などの植物から抽出された液体(オイル)で、原料の植物に含まれる様々な揮発性成分が凝縮されています。精油やエッセンシャルオイル、アロマオイルとして売られているものには色々なものがありますが、本来、精油と呼ばれるものには不純物が混ざってはだめで、純度100%のものだけを精油、エッセンシャルオイルと呼びます。

猫は、多くの精油に含まれるモノテルペン炭化水素類という成分によって、中毒を起こすことがあります。モノテルペン炭化水素に分類される物質は多くの哺乳動物では毒性が低いとされていますが、猫を含む一部の動物にとっては他の動物では問題にならない少量で危険なものになります。モノテルペン炭化水素類にはd-リモネンやα-ピネン、メントールなどがあり、精油のほとんどに含まれている物質です。特にd-リモネンが多い柑橘系の精油とα-ピネンが多い針葉樹の精油は、猫に使ってはいけない精油と言われています。
以下に代表的なものをあげます。もちろん、この他にも猫にとって危険なものはありますので、これ以外にも注意が必要です。

  • オレンジ
  • レモン
  • グレープフルーツ
  • ベルガモット(ベルガモットオレンジ)
  • レモングラス
  • フェンネル
  • ブラックペッパー
  • ユーカリ
  • サイプレス
  • ミルラ(没薬)

一時期、ティートゥリーオイルによる猫の中毒が、猫を飼っている人の間で話題になったことがありました。ティートゥリーオイルは多くのモノテルペン炭化水素類を含むだけではなく、フェノール類が特に多い精油の一つです。フェノールは強い殺菌作用を持ちますが、皮膚への刺激も強い芳香成分です。人が使う場合でも、かぶれや皮膚炎、アレルギー反応が起きることがあります。フェノール類を特に多く含む精油の一例は以下の通りです。

  • オレガノ
  • タイム
  • シナモン
  • クローブ
  • ユーカリ
  • ペパーミント
  • イランイラン

ケトン類は、長期間使用すると神経に毒性を示すことがあると言われている成分です。ケトン類を特に多く含む精油の一例は以下の通りです。もちろん、他にもたくさんの精油がありますので、これ以外は全て安全というわけではありません。

  • スペアミント
  • ペパーミント
  • セージ
  • ディル
  • タンジー

猫は、多くの物質が代謝されて体外に排泄されるのに必要な、グルクロン酸抱合を行う能力が低い動物です。そのため、グルクロン酸抱合によって代謝される物質の排泄がすみやかに進まず、有毒な物質が体内に蓄積しやすいため猫はそのような物質による中毒を起こしやすいと考えられています。

ハーブだけではなく、ユリ科の植物(ユリやチューリップなど)を部屋に飾っておいたら、その植物や花が入っていた水をいたずらしたり飲んでしまったりして猫が体調を壊したり、命を落としたりした、という例があるように、猫と暮らす際には気を付けなければいけない植物が多くあります。猫を飼っている場合には、庭に植える植物、室内で楽しむ観葉植物、花瓶で飾る花、精油の使い方と管理に注意する必要があります。アロマテラピーとして精油を使う場合にも細心の注意と配慮が必要だということです。

  • 猫がいる部屋では精油を使用しない
  • 精油を長時間、または日常的に使わない
  • 精油を使った部屋の換気をしっかりする、換気が終わってから猫をその部屋に入れる
  • 猫が自分でその場を離れられるようにしておく

クラリセージやゼラニウム、フランキンセンス、ハイグレードのラベンダー、ローマンカモミール、ローズマリーなどが、猫にも比較的安全に使える精油と言われているようですが、猫への精油の使用に詳しい人に使用法を教えてもらってから使うのが良いでしょう。

【猫とエッセンシャルオイルについての補足】

 エッセンシャルオイルの猫への影響について分かっていないこともまだ多くあり、どんな使用法でも猫に精油を使うのはだめだと言う人から、猫には危険と言われている精油を使っても大丈夫だったという人までいて、多くの混乱が生じていると思います。獣医学的には、猫を飼っている場合には精油を使わない、または猫が入らないお風呂でだけ使うなど、猫と精油を接触させないことが推奨されます。絶対にどんな精油も使わないで下さい、とまでは言えないかもしれませんが、ディフューザーで空気中に精油を拡散させて使う場合でも、経験と知識の豊富な方の指導の下に使う、そして上記の注意事項を守る必要があると思います。精油を希釈せずに直接猫の皮膚に対して使うことは絶対にしてはいけません。精油と言うと、天然の植物由来なので安全、というイメージを持っている方も多くいますが、植物に含まれる成分が高度に濃縮されているオイルですので、動物に使う場合にも人間自身のために使う場合にも医薬品を使う時と同様の慎重さを持って使うべきものだと思います。
 精油を空気中に拡散させるアロマセラピーを行う場合には、精油成分の毒性による影響だけではなく、芳香粒子が猫の気道を刺激してしまうことによる健康被害も起きています。また、空気中に拡散していた精油の成分が猫の毛や皮膚に付着し、皮膚からその成分が吸収されたり、毛を舐めることで精油を口から摂取してしまう可能性も、猫と精油の関係において心配される点です。

獣医師:木下明紀子

猫とハーブのまとめ

猫と缶の中のハーブ

猫におけるハーブの毒性に関しては、まだまだはっきりと解明されていないものがたくさんあります。現在、安全とされているハーブでも、科学的な研究結果が出ているわけではないので、将来毒性が確認されることもあり得ます。猫に安全と言われているハーブについては、たとえ食べても急に命には関わらない、少量なら健康上の問題はない、という意味の安全と考えたほうが良いでしょう。食べた物の代謝の仕方が人間とは異なり、人間より体の小さな猫は、人間では全く問題にならない量のアロマ成分を吸引や接触しただけでも、数時間から数日で命にかかわる状態になってしまうことがあります。

ハーブは、庭や花壇、プランターでの栽培のほか、室内でも栽培されたり、水差しに入れられたりして楽しまれていますね。猫がいたずらしたり、食べてしまったりということは、思いがけず起こることがあると考えられます。うちの猫はハーブに興味ない、と思っていても、いつどのようにして接触するかはわかりません。

ハーブの楽しみは人間用として使用し、飼い猫には出来る限り接触しないような環境を整えてあげることをお勧めします。

▼こちらの記事も参考にして下さい。

投稿者

40代 女性 しげ

ハーブはよく、ハーブティーなどで親しみをかんじますが、一度猫ちゃんが中毒を起こしたことがあり、気をつけています。気軽に接触してしまったのはラベンダーです、知らなかったのですが、猫ちゃんにはよくないそうで、獣医さんに気をつけるようにと注意されて猫ちゃんには危険なのだと初めて知りました。
それからは、ハーブのアロマもやめました。嫌がるなとは思っていましたが、命の危険もあるとは考えていなかったのです。気軽にしていたアロマテラピー、猫ちゃんの為にこれからは、気を付けたいと思います。
投稿者

40代 女性 たんご

我が家でも、猫ちゃんが入ってほしくない場所の入り口に、ハーブのユーカリを栽培しています。やはり、ユーカリを置いている部屋には嫌がって入りません。私はユーカリの香りが落ち着くので好きです。さいわい、我が家の猫ちゃんたちは寝室で一緒に寝るのを嫌がるので、寝室でユーカリを栽培しています。子猫の頃は、おしっこしてほしくない場所に色んなハーブを置いていました。その甲斐があってトイレをすぐに覚えてくれました。ハーブを使う場合も、工夫が大切ですね。
投稿者

30代 女性 はなこ

うちは、キャットグラスを栽培しています。
毎日食べる猫ちゃんの草なので安心して栽培しています。
他のハーブは、猫ちゃんに害のあるものが多いので、注意が必要ですね。
うちの家庭で育てているキャットグラスは、毛球症にならないための対策です。キャットグラスの草を食べると毛玉をスムーズに吐いてくれます!お腹にたまらないので重宝しています。
カシカシの葉っぱですがシャクシャクいって、嬉しそうに食べるのでこちらも嬉しくなります。猫ちゃんを飼ったら、キャットグラスを栽培するのを、オススメします。
投稿者

女性 匿名

虫除けシールのレモンユーカリはどうなのでしょうか。
ペットに使用可能とあるけれど、ユーカリは猫にダメとこちらでは書かれていますし、見るサイトによって違うから混乱してしまいます
投稿者

40代 女性 さくら

アロマオイルが入っている虫除けでペットにも使えると書いてあるものは、私は犬用と考えています。

猫に使えると表記してあるものもありますが、「万が一」があっては困るので私は一切使いませんが、ご自分を優先するか、猫の健康を取るか、なのではないでしょうか?
投稿者

40代 女性 みー

パワーストーンを購入するとセージで燻された状態で来るのですが、やたら包装や段ボールを嗅ぎ回ります。好きなのかと思いきや嫌いな種類なんですね。何であんなに嗅ぐんでしょうか(;・∀・)

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