エキノコックスが猫に感染した時の症状や検査の方法

エキノコックスが猫に感染した時の症状や検査の方法

猫がエキノコックスに感染した場合、人間に感染するリスクがあるため、非常に危険です。そこで今回は、猫を飼っている人に向けて「猫がエキノコックスに感染しないための方法」を詳しく解説していきます。どのような感染ルートで猫がエキノコックスをもらってしまうのか、どのように対処すれば良いのかといったポイントをまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

エキノコックスは猫にも感染する

ふさふさした動物の尻尾

エキノコックスというと、キツネを思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、エキノコックスは猫にも感染することをご存じでしょうか。

ひと昔前は「猫はエキノコックスにかからない」と思われていましたが、猫の便からエキノコックスの卵が見つかったことから、猫もエキノコックスの感染源になると判明しました。

猫に現れる症状

エキノコックスは寄生虫の一種です。とはいえ、猫がエキノコックスに感染しても無症状のことが多いため、エキノコックスに感染していることに気づかないケースが多くあります。猫の体質によっては、軽い下痢や軟便が見られることもありますが、命に関わるような重大な症状を引き起こすことはありません。

猫がエキノコックスに感染する原因

「キツネと猫が接触する機会なんて早々ないし、心配しなくてもいいのでは?」と思っている人もいるかもしれません。しかし、エキノコックスを持っている動物はキツネだけではないのです。

実はネズミもエキノコックスを持っている動物として知られています。エキノコックスに感染しているネズミを猫が食べる事でエキノコックスに感染してしまう可能性があります。

完全室内飼いの猫の場合、ネズミを食べる機会はないはずなので、エキノコックスに感染するリスクは極めて低いといえるでしょう。

しかし外に出かける機会が多く、ネズミなどを捕食する癖がある猫を飼っている場合は、猫がエキノコックスに感染する可能性があります。特に、北海道ではエキノコックスによる感染が多く報告されているため、北海道で猫を飼っている場合はかなり注意が必要です。

ちなみに、北海道以外の地域でエキノコックスに感染した報告は少ないです。しかし、ゼロではないため、北海道以外の場所に住んでいる飼い主さんも万が一のことを考えておきましょう。

治療の方法

猫がエキノコックスに感染しているかどうかは、動物病院で検査してもらえば分かります。日頃から猫を放し飼いにしているのであれば、健康診断などのタイミングで念のため検査してもらうと良いでしょう。

猫がエキノコックスに感染していることが判明した場合は、プラジクアンテルという薬を使ってエキノコックスを駆除します。人間がエキノコックスに感染した場合は発見されるまでに時間がかかり、見つかった時にはかなり進行していることが多く手術などの大がかりな治療が必要になりますが、猫の場合は駆除薬を摂取させるだけで治療ができるのです。

予防の方法

猫を完全室内飼いにすれば、エキノコックスの感染を防ぐことができます。そうすることによって、ネズミの捕食を回避することができますからね。

ちなみに、エキノコックスはアルコール消毒だけでは駆除することができません。なので、やはりエキノコックスの感染を防ぎたいのであれば、猫を外に出さないことを徹底しましょう。

エキノコックスは猫から人へも感染する

猫を抱く女性

先述した通り、猫はエキノコックスに感染をしても深刻な症状は引き起こさないですし、大がかりな治療も必要ありません。しかし、エキノコックスは猫から人に感染する危険性があるのです。

人間がエキノコックスに感染してしまうと、深刻な症状を引き起こしてしまうため、猫を飼っている人は自分の身を守るためにも、しっかりと対策を考えておきましょう。

猫から人への感染ルート

猫のフンの中にエキノコックスが含まれていると、人間に感染する可能性が高いです。猫を飼っていると、猫のフンを間近で見ることは日常茶飯事ですし、何らかの拍子でエキノコックスが人間の手についたりした場合、感染する可能性は一気に高まります。

症状

人間がエキノコックスに感染した場合、肝臓の機能に障害が出るようになります。とはいえすぐに発症するのではなく、5~10年の間は無症状であることが多いです。

しかし、エキノコックスによって肝臓が弱ってしまうと、やがて重度の肝機能不全になってしまうため非常に危険な病気なのです。エキノコックスに感染したまま何も治療を受けずにいた場合、高確率で死に至るため、感染をしたら早めに対処することが重要です。

治療の方法

エキノコックス症になっている場合、手術をしてエキノコックスに感染している患部を摘出します。手術をしないと完治することはできないですし、摘出が遅れるほど死亡率は上がっていく傾向にあるため、早めに手術を受けましょう。

予防の方法

人間がエキノコックスに感染しないためにも、エキノコックスに感染している可能性があるキツネやネズミなどには極力触れないようにしましょう。また、外を出入りしている飼い猫からエキノコックスをもらう可能性もゼロではないため、完全室内飼いにできないかどうか検討することも非常に重要な予防策といえます。

まとめ

猫を抱く男性

「猫もエキノコックスに感染する可能性がある」ということを意識し、できるだけ完全室内飼いを徹底させるようにしましょう。また、住んでいる地域が北海道ではないからといって油断するのも禁物です。

もし飼い猫がエキノコックスに感染してしまった場合は、動物病院に連れていって治療をすれば治るので、ネズミを食べた可能性がある場合は、念のため病院へ連れていきましょう。

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