猫に腫瘍がある時の対処法と考えられる病気

猫に腫瘍がある時の対処法と考えられる病気

猫に腫瘍ができた時、飼い主はどのように対処するとよいのでしょうか。何かの病気にかかっているのではないかと心配にもなりますよね。今回の記事では、猫に腫瘍がある時の対処法や腫瘍ができる部位、考えられる病気と原因、治療法や予防法についてまとめました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫に腫瘍がある時の対処法

キャリーバッグに入れられている猫

すぐに病院へ

猫に腫瘍がある時は、すぐに病院に連れて行きましょう。もし腫瘍が悪性だった場合、放置すると病状が進行してしまうだけでなく、むやみに触ると腫瘍が破裂する恐れもあり、危険だからです。

病院に行くと、まずは腫瘍が良性であるか悪性であるかを判断するための細胞診(腫瘍細胞を針で吸引して専門機関で検査すること)を行います。

結果が出るまでには1週間~10日程度かかり、原因や症状、年齢を考慮しつつ治療方法を定めていきますが、腫瘍が悪性の場合は治療法によって病院が限られることもあります。

腫瘍の発見から治療の開始まで時間がかかることも想定されるので、病気の進行を最小限にして治療方針を早期に定めるためにも、早急な診察を受けて原因を突きとめることが大切です。

猫の腫瘍は悪性である可能性が高い

猫の腫瘍は、犬の腫瘍に比べて悪性腫瘍である確率が高いと言われています。特に体表にできる腫瘍は悪性の腫瘍であるケースも多いため、猫の体にしこりを感じたら早急に対応する方がよいでしょう。

猫に腫瘍ができる体の部位

お腹を見せて仰向けに眠る猫

皮膚

  • 扁平上皮癌
  • 乳頭腫
  • 基底細胞癌
  • 毛芽腫
  • 皮脂腺腫
  • 悪性黒色腫(悪性メラノーマ)
  • 肥満細胞腫

皮膚に腫瘍がある時はこれらの病気である可能性があります。「乳頭腫」のように若い猫に多く見られる良性のものから、「悪性黒色腫(悪性メラノーマ)」のように高齢の猫に多いのものまで様々です。

また、腫瘍の状態も柔らかいものや硬いもの、赤くなって熱をもっているものなどがあります。

猫の皮膚にできる悪性腫瘍で一番多いのは紫外線などが原因となる「扁平上皮癌」で、進行すると出血や膿などの症状が見られ、悪化するとその部分の機能障害が起こります。

鼻や耳などにできることが多く、「かさぶた」のように見えることもあるので見逃さないよう気をつけましょう。

また、感染症やアレルギーなどによる皮膚疾患の場合は腫瘍の他に大量の脱毛をともなうことが多いので、換毛期でもないのに抜け毛が増えた時は注意が必要です。

お腹

  • 血管肉腫
  • リンパ腫
  • 肥満細胞腫
  • 乳腺腫瘍

お腹に腫瘍がある時は、上記のような内臓に腫瘍がある病気の可能性を考えましょう。

肥満細胞が癌化して起こる「肥満細胞腫」は皮膚だけでなく内臓に生じることも多く、脾臓や消化管に発生することが一般的です。脾臓は他の臓器の中でも腫瘍ができやすく、巨大化して破裂すると多量の出血をともないます。

また、避妊手術をしていないメス猫は「乳腺腫瘍」の発生率が上がり、その80パーセント以上が悪性だと言われています。

お腹の腫瘍は皮膚の腫瘍に比べて見た目でわからないことが多く、症状が全くで出ないこともあるため、猫に食欲が落ちる、元気がないなどの症状が出た場合は注意しましょう。

  • 扁平上皮癌
  • 線維肉腫
  • 棘細胞性エナメル上皮腫
  • 末梢歯原性線維腫

大気汚染物質やストレス、免疫力の低下、などが原因となって猫がこれらの病気にかかり、歯茎や舌に腫瘍ができることもあります。

腫瘍の種類は良性から悪性まで様々ですが、良性であっても腫瘍が大きくなったり骨が溶けたりしている場合は、手術によって周囲の歯や顎の骨まで削る必要が出てきます。

口の中の腫瘍は中々気づきにくいものなので、猫が餌を食べにくそうにしている、血の混ざったよだれが出ているなどしていたら腫瘍ができていないか確認しましょう。

猫に腫瘍がある時の治療方法

病院の手術台の上で横になる猫

猫に腫瘍がある場合の治療とその費用は腫瘍の善悪、進行度や症状、大きさ、猫の年齢などによって異なり、複数の治療法を組み合わせることもあります。

また、治療方法を決定する前に細胞診と必要に応じた検査(血液検査、レントゲン、超音波、CT鏡やMRIなど)が行われるため、それらの検査にもお金がかかることを知っておきましょう。腫瘍が良性で生活に支障がない場合は、治療しないで様子を見ることもあります。

外科的治療

猫の腫瘍の治療の中で最も効果が高く、一般的な方法が外科的治療です。手術によって腫瘍を完全に取り除くことができれば完治も可能であり、部分的な切除でも治療効果の拡大や採食の復活などが期待できます。

費用

外科手術の費用は10万円以上になることも珍しくなく、乳腺腫瘍は10~15万円、肺腫瘍は30万円になることもあるそうです。

腫瘍が悪性の場合は広範囲の切除が必要になることもあるため、腫瘍の大きさや範囲、入院日数によって金額が異なるということを知っておきましょう。

内科的治療

内科的治療は抗がん剤やステロイド剤を使った全身療法で、腫瘍細胞の増殖を抑えることによって、症状の悪化や転移、術後の再発を防止します。外科的治療を行うことで生活が困難になる場合や、猫に手術に耐え得る体力がない場合に行うことが多いとされています。

内科的治療は投薬によって全身に薬剤が巡るため、小さな転移にも効果がありますが、吐き気などの副作用が出るリスクは避けられません。

費用

内科的治療の費用は、抗がん剤であれば1回につき15,000~35,000円程度、ステロイド剤であれば7~10日間で1,000~2,500円程度になることが多いようです。

抗がん剤を使った治療は1~8週間を1クールと定めて治療計画を進めていくため、癌の種類や進行度などによって治療期間と費用が変わります。経過観察のために入院する場合は別途入院費用が必要です。

放射線治療

放射線治療は、X線やガンマ線の照射によって腫瘍内の癌細胞を死滅させる局所療法で、外科手術では困難な場所でも治療できるというメリットがあります。大学病院など設備のある病院が限られているため、一次診療の動物病院を受診した場合は大きな大学病院を紹介されることが一般的です。

費用

費用は治療の目的(根治か緩和か)や照射部位、回数などによって異なりますが、15~50万円と高額になることが多いため、猫の状態や治療期間、予算などを含めた治療計画を獣医と相談するようにしましょう。

猫の腫瘍を予防する方法

目を閉じて猫と額をくっつけ合う女性

猫とスキンシップの時間をとる

猫と日頃からコミュニケーションをとることで、腫瘍に早く気づく可能性が高まります。顔やお腹など全身をくまなく撫でて違和感がないかを確認し、口の中にもできものがないかチェックするようにしましょう。

定期的に健診を受ける

猫の体の中の腫瘍は症状がないことも多く発見が遅れる場合もあるため、年に数回健診を受けるようにしておくと安心です。頻繁に動物病院を受診することが難しい場合は、予防接種の時に身体検査も一緒にしてもらいましょう。

まとめ

病院で獣医師の診察を受けている猫

猫の腫瘍は悪性のものが多いため、もし皮膚やお腹、口の中などに腫瘍を見つけたら、しこりの数や他に食欲不振などの症状が出ていないかを確認して、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

治療の方法は猫の年齢や体調、腫瘍の場所や病気の進行度によって異なるため、治療期間や予算を含めながら獣医と相談して決定してください。猫と日頃からスキンシップをとったり定期的に健診を受けることで、腫瘍を予防できるとよいですね。

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