腎臓病の猫に『自宅で点滴』をするかためらっているあなたに

腎臓病の猫に『自宅で点滴』をするかためらっているあなたに

猫に多い病気のひとつが腎臓病です。この病気では、おしっこの量を増やすために、生理食塩水を定期的に輸液する治療が第一に行われます。もし、かかりつけの獣医さんに「ご自宅で点滴をされては?」と勧められたら、あなたは何と答えるでしょう。「自分が針を刺すなんて考えられない!」と思う方がほとんどではないでしょうか。私もそうでした。しかし、猫の皮下点滴はとても簡単ですし、良いことがたくさんあるんですよ。

SupervisorImage

記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

自宅での輸液は、猫のストレスと飼い主の負担を軽くする!

自宅で点滴をするメリット

自宅で点滴をすれば、とにかく猫のストレスを軽減することができます。怖い診察室に入る必要もなく、待合室で犬と隣り合って順番待ちをすることもない。治療代の支払いで待たされたり、痛いままキャリーバッグの中、車に揺られることもありません。

自宅の場合、猫がストレスを感じるのは針を刺している間だけ。そして、終わればすぐにお気に入りの場所で痛さを紛らわせることができるのです。その間10分ほど。短いですね。

また、飼い主側にも良いことがあります。何より通院回数が激減するので時間的なゆとりができ、身体への負担も軽くなります。もちろん、治療費も軽減できますよ。

点滴による輸液の頻度と料金

点滴による輸液は、腎臓病治療の要です。健康状態にもよるでしょうが、普通は毎日から数日おきに輸液して排尿を促し、老廃物を体外に排出しなければなりません。それが何年も続くのです。

点滴セット一式

猫の輸液でかかる料金は、1回だいたい3,000円くらいでしょうか。診察費が必要な病院では、もう少しかかるかもしれません。しかし、自宅でなら実費で済みます。

500mlのリンゲル液なら5000~1000円くらい。これで2回から4回輸液ができます。さらに針と管(ライン)が必要ですが、そんなに高いものではありません。

ねこの皮下点滴はとても簡単

いくら「猫の点滴は簡単ですよ」と言われても、なかなか「はい、そうですか」とはならないものです。点滴に抵抗があるのではなく、皮膚に針を刺すことに抵抗があるのですから。

猫は当然痛みを感じますし、皮膚の下に生暖かい液が流れ込んでいくのも気持ちが悪いし、終わった後に肩が膨れて重くなります。猫にとっても喜ばしいことではありません。

とはいえ、誰かが輸液をしなくてはなりません。幸い、猫の皮はとても伸びるので、皮膚の下に針を通す感覚が非常に分かりやすく、素人でもやりやすい医療行為のひとつです。最初は勇気が要りますが、1回か2回の練習で誰でもあっさりできるようになるようです。

猫に自宅で点滴をする方法

実際のところ、自宅で飼い猫に点滴をしている飼い主さんは珍しくありません。私も自宅で点滴をしています。点滴をする時はひとりでします。こんな感じです。

《準備》

①冷蔵庫で保管していたリンゲル液を、人肌くらいに温める。
②針とラインをセットし、脱脂綿に消毒液を染み込ませる。
③リンゲル液のバッグを、身長くらいの高さのフックにかける。

吊るした点滴バッグ

《点滴作業》

④猫を確保。両足の間に腹ばいにさせる。
⑤脱脂綿で軽く消毒して、左手で皮をつまみ、針を刺す。
(2年続けても毎回「痛いじゃないか」と抗議の声が上がります。)
⑥コックを緩めて、点滴開始。
⑦両手が空くので、アゴや頭を撫でつつ、むやみに話しかけて注意を引き、逃げないようにさりげなく押さえる。
⑧100ccから150ccくらい液を流したらコックを閉め、針を皮膚から抜いて両手を離す。

後は、とっとと逃げて行く後ろ姿に向かって「ほらトイレへゴー!」とエールを送って終了です。

まとめ

初めて自宅で点滴をした時、「何するのこの人!?信じられない!裏切り者!」という顔をされました。その時の猫の傷ついた様子は、肌に針を刺すこと以上に心をえぐりました。

しかし、猫の立ち直りは早く、文句を言いつつ我慢してくれるようになりました。

一方、飼い主の方は、2年経った今も針を刺すことに慣れません。

ただ、通院せずに済むようになって、気持ちと身体が非常に楽になりました。それに、持病のために通院ができなくなる可能性に怯えなくてすむようにもなりました。

針を刺しても、猫が飼い主を嫌うことはありません。また、針を刺すことに慣れなくても、針を上手に扱えるようになるものです。
コツは、針を刺す時、自信を持って迷わないことです。

もし獣医さんに「自分でやらない?」と勧められたら、愛猫のQOLのために、是非前向きに検討してみてください。そして、獣医さんの指導の下、これからも続く治療生活のために、飼い主さん側の気力と体力そして資金力を温存してくださいね。

猫
投稿者

女性 レオ

とても参考になりました!自宅で注射をしている方のリアルな声が聞けて良かったです。
投稿者

50代以上 女性 さとこ

腎臓病の猫がいます。
先行き、経験すると思います。
勉強になります。
投稿者

50代以上 女性 猫のまま

今日から飼い猫の自宅での皮下輸液を始めました。病院に行くのがストレスになるので自宅で行うのがベストだと決めましたが(腎不全で脱水症状が激しいため皮下輸液を行うととても元気になります)、案の定とても嫌がって終わった後は私を見ると逃げ回り結構凹んでいましたが、こちらの投稿で励まされました。今年18歳の高齢猫ですが、少しでも元気でいてくれるよう頑張りたいと思います。ありがとうございます。
投稿者

40代 女性 はなこ

皆さん皮下輸液って獣医から薦められてるのでしょうか?それともネットで調べて知って、獣医に相談にしに行ってるのかしら?
私は今まで3匹の猫を腎臓病で亡くしてますが、皮下輸液の話を獣医から聞いたことがありません。
1匹目と3匹目は違う病院したが、どちらも輸液の話はされてません。
今の猫は18歳で腎臓病で病院にかかってますが、やはり話が出たことはありません。
輸液をしていたら亡くなったあの子達はもう少し長く元気で生きていられたのかしら…?

週末病院に行って聞いてきます!
投稿者

50代以上 女性 匿名

うちの子も腎臓が悪く週一で連れて行ってますが、打った時は尿がきれいですが3日程で血尿が出ます、獣医師から自宅点滴薦められたのですが、怖くてふみきれませんが、しっぽに大きな出来物ができ一昨日断尾手術で入院し今は、自宅ですが、16才高齢なので
いよいよ、自分で針の恐怖を克服してやらなければと思っています。
投稿者

40代 女性 サスキキジジ

今日初めて皮下輸液をしましたが、十分な量を入れることができず抜いてしまいました…。怖かったです。
が、こちらの記事を読み勇気付けられました。

「針を刺しても、猫が飼い主を嫌うことはありません。」
心に響きました。
ありがとうございます。
投稿者

50代以上 女性 匿名

10歳のシンガプーラ男の子です
アジソン病を患ってますが、、
最近、急性腎不全から慢性腎不全へと、、急激に痩せて行き入退院の繰り返しでした!
経済的にも厳しくなって来てた所に先生からお話が、、迷ってましたが吹っ切れました❗️頑張ってトライします
投稿者

50代以上 男性 たけにゃん

愛猫が昨年の夏に腎不全と診断を受けて点滴と血圧の薬とクレメジンと食欲増進剤で様子を見ています。半年ぐらいは尿素窒素とクレアチンの数値が落ちついていたのですが1ヶ月前から食欲が落ちて毎日しんどそうなので採血したら数値が上がってました。毎日のように通院して点滴治療をしてるのですが自分も猫も大変です。自宅での点滴治療にしていこうと考えてるのですが怖いのと不安でなかなか前にすすめません。後悔はしたくないので皆さんも頑張っていろいろ助言や投稿で力を頂けたらと思います。病院の診察台では大人しいのですが、また針をさす時の痛そうな声を聞いてると悩んでしまいます。今の状態をできるだけ維持したいとは思っています。

スポンサーリンク