猫が膀胱炎になったときのフードの選び方
オメガ3系脂肪酸を含んだフードを選ぶ
オメガ3系脂肪酸は、EPAやDHAなどが含まれており、イワシやサンマなどの青魚に多く存在します。
このオメガ3系脂肪酸は抗酸化作用があり、猫の膀胱内で炎症をおこした原因である細菌を抑制する効果があるといわれています。
猫が膀胱炎を発症した場合は、オメガ3系脂肪酸が含まれるフード、及び魚油など、魚成分が入っているフードを選びましょう。
トリプトファンを含んだフードを選ぶ
トリプトファンは、人や猫の体内で合成できない必須アミノ酸の1つでもあります。
トリプトファンは、ナイアシンやセロトニンという物資に変換され、セロトニンの量が多いと幸福を感じ、精神状態を安定化させる効果をもたらします。
猫は、ストレスに敏感なので、ストレスは膀胱炎を引き起こす原因として考えられています。
そのため、フードの中にトリプトファンが含まれていると、その分セロトニンを得ることができ、ストレス緩和に大きな期待があります。
マグネシウムが少ないフードを選ぶ
猫は膀胱炎だけではなく、オシッコの中に結石や結晶ができてしまう尿石症になりやすい動物です。
オシッコの中に結石や結晶ができると、尿道に詰まりオシッコが出なくなるだけではなく、膀胱内を傷つけるため、荒れて出血(血尿)をし、炎症がおこり膀胱炎になるケースがあります。
実際に、膀胱に結石ができたことが原因で膀胱炎を発症した猫がいます。尿石症を先に治さないと、膀胱炎が治ったり再発したりを繰り返してしまいます。
猫が尿石症になりやすい原因は、体質や飲水量の減少、ストレス、細菌感染のほか、猫は元々、濃いオシッコをするため尿Phが変化しやすいなど様々あります。
その中で、特にフード中のミネラル成分であるマグネシウムの含有量が多いと、尿石症になりやすいといわれています。
猫の膀胱炎だけではなく、尿石症予防のためにもマグネシウム含有量が少なく、調整されたフードを選ぶとよいです。
猫が膀胱炎になったときにおすすめなフード
ロイヤルカナン「PHコントロール0・1・2」
PHコントロールシリーズは、猫に発症しやすい下部尿路疾患に対応している療法食です。
猫の膀胱炎の原因でもある結晶や、結石をつくらせないようにフード中のマグネシウムの含有量を制限しており、全体的にミネラルバランスを調節しているフードでもあります。
また、抗酸化作用があるEPAとDHAが含まれており、特発性膀胱炎に配慮されています。猫の膀胱炎には効果のあるフードですが、それぞれPHコントロール0や1・2に含まれているミネラル成分の量が多少違うため、個体差によっては尿phがアルカリ性、及び酸性に傾いてしまう可能性があります。
処方食なので食べさせる前に尿検査をおこない、獣医師と相談してフードを選んでください。
ヒルズ「c/dマルチケア コンフォート」
この療法食は、特発性膀胱炎に考慮してつくられています。
猫の膀胱炎の原因ともいえるストレスを緩和させるL-トリプトファンと、加水分解タンパク質を配合しています。また、抗酸化成分であるオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)が含まれており、膀胱炎の炎症を抑えてくれます。
実際に1年間続けて食べさせたところ、特発性膀胱炎の再発率が約89%減少したことが証明されています。
他のc/dシリーズと同様に、マグネシウムなどのミネラル成分を調節しているため、ストラバイト結石及びシュウ酸カルシウム結石の再発率も減少していることが証明されています。
猫が膀胱炎を再発しないためには水分も必要
猫は下部尿路疾患になりやすく、その6割ほどが何らかの原因によって膀胱炎を発症しています。
個体差やふだん食べているフード、ストレスなどが関与しているといわれていますが、飲水量も非常に大事です。元々猫はあまり水分を好んで飲まない動物のため、水分を取っていないとその分排尿回数も減ります。
オシッコは体内の老廃物などを排出するだけではなく、膀胱内に侵入してくる細菌も一緒に流してくれるため、オシッコの回数が適度に多いことが大切です。
そのため、猫の膀胱炎を発症、再発させないためにも日々の飲水量に気をつけなければいけません。飲水量を増やすポイントをいくつかあげてみました。
水飲み場を増やす
水飲み場を1か所だけではなく、複数用意し、部屋の所々に置いておきます。特にふだん猫がよくいるスペースに置いておくだけでも、水を飲んでくれることがあります。
多頭飼いの場合も、猫の頭数よりも多めの水飲み場を用意してあげてください。
容器を変えてみる、給水器を使う
中には容器が気に入らなくて水を飲まない猫がいます。陶器製の容器に変えてみるなど、工夫をすると良いです。また、猫は流れる水が好きなため、水が流れる給水器を設置すると飲水量が増えやすくなります。
私もピュアクリスタルという給水器を使っており、ただ容器に入れている水と比較すると、よく水を飲むようになりました。
適度に水を新しいものに交換する
猫は、フードの味だけではなく水にもこだわりが強いです。水を変えずにそのままにしてしまうことが原因で、水を飲んでいないのかもしれません。
私の場合は、1日にこまめにフードをあげているので、その都度水を変えるようにしています。
まとめ
猫は膀胱炎になりやすく、体質や性格など、様々な要因が重なっています。ストレスや飲水量の低下によって引き起こすこともあれば、フードに含まれているミネラル成分の影響で尿石症を発症し、膀胱炎を併発してしまうケースも多いです。
しかし、尿石症及び膀胱炎に配慮したフード(療法食も含めて)を食べさせることで、症状を治すことができますし、今後の再発を予防することもできます。
最近では、尿路結石に対応した市販のフードが販売されていますが、猫が何度も膀胱炎を発症していたり、なかなか治りが悪かったりする場合は、別の要素が原因の可能性が考えられます。
尿検査をおこない、その猫に合う適切なフードを選択することが大切だと思います。