腎不全の猫におすすめの食事と3つの注意点

腎不全の猫におすすめの食事と3つの注意点

猫の腎不全には基本的に対処療法しかないため、腎臓の負担を減らす食事に切り替える必要があります。腎臓は体内の老廃物をオシッコと一緒に排出してくれる大事な働きをもっています。しかし腎不全をおこすと老廃物を排出することができなくなり体内に残ってしまいます。特に猫が非常にかかりやすい病気の一つでもあります。腎不全の猫に食事をあたえる際に注意すべき点や食べない場合の対処法、腎臓に優しい食材やレシピを紹介します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

腎不全の猫への食事で注意すべきこと

腎不全の食事を食べている猫
  • 食事中のタンパク質含有量を減らす
  • 食事中のリンの量を減らす
  • 食事中の塩分の量に注意する

食事中のタンパク質含有量を減らす

猫の腎臓は体内の老廃物や余分な水分をオシッコと一緒に体の外に排出してくれる大事な働きがあります。しかし猫が腎不全になってしまうと腎臓の働きが悪くなり老廃物がうまく濾過することができず体の中に溜まってしまいます。特に猫は腎不全を発症しやすく、高齢になると多くの猫が腎不全になっています。

タンパク質は体をつくるために必要な栄養素ですが、体内で分解した際に尿素窒素いう老廃物となります。食事に含まれているタンパク質の量が多いとその分、猫の腎臓に大きく負担がかかってしまいます。一度でも働きが悪くなった腎臓は元には戻ることはできません。

そのため腎不全の猫にタンパク質が多く含まれている食事をあたえてしまうと、体内に残ってしまった老廃物の量が多くなるため腎臓に悪影響をあたえてしまいます。また、タンパク質は分子量が大きいため腎臓のろ過作用の負担になります。少しでも猫の腎臓の負担を減らすため食事中のタンパク質含有量を減らすことが必要です。

食事中のリンの量を減らす

タンパク質と同様に食事中のリンの量も制限しなければいけません。リンはカルシウムと一緒に骨や歯を形成したり再吸収する働きがあるため必要な物質でもあります。健康な状態であればリンは腎臓から排出することができますが、猫が腎不全になってしまうと排出できないためタンパク質と同じく体内に残り、リンが異常に増えてしまい高リン血症をおこしてしまいます。リンとカルシウムは深い関係にあり、常に猫の体の中でバランスをとっています。

そのためリンの量が多くなると、骨に含まれているカルシウムを血中に移動させてカルシウムの濃度が上がります。骨に含まれてるカルシウムの量が少なくなるため骨が弱くなってしまいます。

また血中カルシウム濃度があがってしまう影響で骨以外の腎臓などの臓器にカルシウムが沈着し、石灰化がおきてしまいます。腎臓に石灰化すると猫の腎不全の進行が早くなってしまい一気に末期状態になります。猫の腎不全の悪化や高リン血症をおこさないために食事中のリンの含有量を減らしてあげなければいけません。

食事中の塩分(ナトリウム)の量に注意する

食事中に入っている塩分(ナトリウム)の量が多いと血液中にナトリウムの濃度が上昇します。塩気のものを口にすると水を飲みたくなるのと同じように体は塩分の濃度を水で薄めようと働くため、血圧があがります。腎臓は血圧を調節する働きがありますが猫が腎不全になってしまうと血圧のバランスが崩れ高血圧になります。高血圧になると腎臓だけではなく心臓に影響をあたえ心不全をひきおこしてしまう恐れがあります。

元々猫は水を多く飲まない動物なため健康な状態でもオシッコが濃いので、腎臓に負担がかかりやすい体の構造をしてします。健康な場合でも食事中の塩分(ナトリウム)の量に気をつけなければいけませんが、特に猫が腎不全の場合は注意が必要です。

腎不全の猫にオススメのフード

猫の腎不全の食事

オススメの腎不全用の療法食

ロイヤルカナン「腎臓サポートセレクション」

ロイヤルカナン 療法食 腎臓サポートセレクション
1,269円(税込)

商品情報
・リンの含有量を制限
・タンパク質や必須脂肪酸の含有量を調整
・腎臓病による食欲低下に配慮

猫の腎臓の負担がかかってしまうタンパク質やリンの含有量を調節し制限しています。タンパク質は嗜好性が高いため、どうしても量を少なく調節された腎臓食のフードは嗜好性が落ち食欲が低下しやすい傾向があります。また最初は食べていても飽きて食べムラが出ることもよくみられます。

そのため腎臓サポートセレクションはフード外側と中の食感が別々に作られているため、飽きにくく比較的よく食べてくれるフードです。また猫が腎不全になると食欲不振や嘔吐などの症状がでるため体重が減少してしまいますが、他の腎臓食と比べてカロリーが高いのが特徴です。

少量でもカロリーを摂取することができるため体重減少を防ぐことができるためドライフードの中でオススメの療法食です。

ヒルズ 「k/d シチュー缶」

ヒルズ Hills 療法食 猫用 腎臓ケア k/d シチュー 缶
680円(税込)

商品情報
・蛋白質を制限
・リンを制限
・ナトリウムを制限

リンやナトリウムの量を調節してつくられているので猫の腎臓だけではなく心臓の負担が少ないフードです。また缶詰タイプなのでドライフードと比べて水分量が多く含まれており、腎臓の負荷を減らしてあげるだけではなく元々水を好んで飲まない猫にとって水分を摂取することができます。また猫が腎不全になると必要な水分も失われてしまうため脱水状態を防ぐこともできます。

k/dシチュー缶は野菜や鶏肉、マグロが入っており見た目だけではなく他の腎臓食のウェットタイプより嗜好性が高く食いつきが良いです。このシチュー缶は「ツナ&野菜入りシチュー」と「チキン&野菜入りシチュー」の2つの味があるため飽きにくく食べやすいです。

腎不全の猫が食事を食べない時の対策

フードを温める

ドライフードの場合はお湯でふやかして猫にあげるとフードの風味が増して食欲に刺激をあたえることができます。猫はネズミや小動物を狩りして食べて生活していたため冷たいものより温かいものを好みます。

なのでウェットフードと混ぜて電子レンジで軽く温めてあげるのと食いつきが良くなる傾向があります。温かいものを好みますが熱すぎるのは苦手なので温める時に注意が必要です。

状態によってはフードを高カロリーなものにする

猫の腎不全が進行すると嘔吐が頻繁におこり食欲不振になり、場合には全く食事をとらなくなる状態になります。猫は全く食事をとっていないと「肝リピドーシス」を発症し肝臓に障害をあたえてしまう場合があります。

腎臓に負担が少ない低タンパクや低リンなどの腎臓食がベストだが、嗜好性があまりよくなく食べてくれないことがあります。食欲が落ちている場合は腎臓食よりもヒルズのa/d缶のような高カロリーのフードを一時的にあたえたほうがよいです。それか嗜好性がある一般食のフードでもよいです。

腎不全の猫にあたえてよい食材

上を見ている猫

猫は食事に対してこだわりが強かったり、飽きやすいところがあるため色々な工夫を凝らしても食いつきが良くないことがあります。腎不全の猫に低タンパク質や低リンの食事をあたえることが大事ですが食べてくれなければ意味がなくなってしまいます。もし猫があまり進んで食べてくれない場合は食材をトッピングとしてフードと一緒にあげたり、腎臓に優しい手作り食をあたえる方法があります。

猫の腎臓の負担が少ない食材

鶏肉

猫は肉食動物なため、たとえ腎不全でタンパク質の量を制限しなければいけませんが体をつくるうえでもタンパク質は摂取すべき栄養素です。肉類の中で特に鶏肉はリンやタンパク質の含有量が少ないため腎臓に優しいお肉でもあります。また猫の腎臓の働きを補う効果もあるといわれています。

白身魚

魚の中でも白身魚のほうがリンの含有量が少ないため腎臓に負担が少ないです。猫が腎不全になるとうまく体の熱をつくりにくくなるため低体温になる傾向がありますが、白身魚には新陳代謝を促進させる効果があるため体温をあげてくれます。

しかし白身魚にはビタミンB1を分解するチアミナーゼという酵素があるため、しっかりと熱を通して調理することが必要です。

人参、大根、キュウリ

利尿作用があるため、猫の腎不全により働くことができなくなった腎臓を補ってくれるため、体内で溜まってしまった老廃物をオシッコと一緒に排出させてくれます。また腎臓に負担がかかってしまう余分な塩分(ナトリウム)も排出してくれます。野菜類は消化しにくいため調理するときは、細かく刻んだりしっかりと熱を通すことで消化が良くなります。

また野菜類の中に玉ねぎやニラなどは猫にとって中毒症状をおこしてしまうため絶対にあたえてはいけません。

腎臓に優しい手作り食「白身魚のおじや」

  • 白身魚50g
  • ごはん20g
  • 野菜(人参や大根)10g
  • 水150ml
  • 卵1/2個
     
  1. 野菜類を細かく刻み、白身魚は骨が残っていないか注意しながら食べやすいように小さく切ります。
  2. ご飯と一緒に水が入っている鍋に入れ火をつけ熱を通します。
  3. 卵は茹で卵にします。
  4. 野菜類や白身魚がしっかりと火が通ったら、茹で卵を入れ細かく潰し全体に混ぜ込みます。

まとめ

食事を見ている猫

猫は腎不全になりやすく対処療法しかないため、なるべく腎臓に負担がかからないように食事に気をつかわなければいけません。そのためタンパク質やリン、塩分であるナトリウムの量を制限する必要があります。色んなメーカーで猫の腎不全用の療法食がありますが一般食と比べて嗜好性が低いので食いつきが悪く、食べてくれない場合があります。

その時はフードをお湯でふやかしたり、ウェットフードもあたえ電子レンジで温める工夫させたり、嗜好性を重視した療法食もありますので猫が食べてくれる食事を探すことも大事です。

しかし猫の中には食事の味にこだわりが強い子もいるので、その場合は腎臓に優しい食材を使って手作り食をあたえてみたりフードのトッピングして食べさせるとよいでしょう。

投稿者

20代 女性 匿名

今18才の雄猫です。体重は3.9kgです。ご飯は腎臓食を食べていますが、最近は余り食べる量が増えません。家にはもう一匹いるので正確に食べた量がわからないので、18才のこはシリンジで1日分を与えています。全く食欲不振ではなく、たまに市販の15才以上の腎臓に優しいカリカリは飛び付いて食べます。体に悪いとは思いますが食べてくれるので与えてしまいます。1ヶ月前ですが私が風邪をひいて寝込んだ時、上手くご飯を与えてあげれなくなった時に体重が100g減って今に至ります。腎臓の悪いこが体重を増やすにはどうすればいいですか。
書き込みではオリーブ油とか、ブドウ糖、シーチキンのオイル、カロリーエースなどあるみたいですが、実際どうなのでしょうか。

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