猫に起こりうる『冬のトラブル』6つ ケガや病気の危険性から予防策まで

猫に起こりうる『冬のトラブル』6つ ケガや病気の危険性から予防策まで

冬は猫にとってトラブルの宝庫!多くの猫がこよなく愛する○○で熱中症や酸欠の危機も!?特に多い『冬のトラブル』とともに、予防策を徹底解説いたします!

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫に起こりうる『冬のトラブル』6選

カラーを巻く猫

夏の厳しい暑さが落ち着き、「熱中症」の心配から解放されてホッとしている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

しかし、安心するのはまだ早いかもしれません。実は冬には、猫の健康を脅かす“冬特有の危険”がいくつも潜んでいるのです。

ここでは、猫に起こりうる『冬のトラブル』を6つ取り上げ、あわせてその予防策についても分かりやすく解説します。

1.低温やけど

湯たんぽに乗る猫

ホットカーペットや電気あんかを好む猫には、『低温やけど』のリスクがあります。

低温やけどは瞬間的な熱さを感じにくい温度で生じるため、本人(猫)はおろか飼い主さんですら気づきにくい厄介なやけどです。発見時には既に患部が広範囲に広がっているということも珍しくないので気をつけましょう。

特に皮膚が薄い子猫や高齢の猫に使用する際は、細心の注意を払ってください。大切な愛猫を低温やけどから守る方法をいくつか挙げておきます。

  • ホットカーペットの場合は上から絨毯を敷く
  • 電気あんかには厚手のタオルを巻きつける
  • いずれも最低温度に設定する
  • 湯たんぽの場合も同様にタオルで保護する
  • ペット用の電気あんかも同様に扱う

尚、生後1ヶ月未満の子猫に湯たんぽを使用する際は、ケージ(箱の場合は箱の中)全体を温めるのではなく、一部暖を取れる空間を作るイメージで設置してあげてください。

自力では寝返りの打てないシニア猫の場合は、そばで見守れる時間帯のみ湯たんぽを使用するようにしてください。

2.やけど

暖を取る猫

低温やけどのみならず、通常のやけどが起こりやすいのも冬ならではの特徴です。特に石油ストーブを置いているご家庭では気をつけてください。ストーブがきっかけで起こるトラブルを挙げておきます。

  • 接近し過ぎによって被毛やヒゲの焦げる
  • 走り回る過程での衝突
  • 好奇心からストーブの上に乗ってしまうなど

これらはストーブに囲いをつけることで予防することができます。ストーブと適度な距離が生まれることによって、上に乗せる鍋ややかんのお湯がかかるという痛ましい事故も防ぐことができるでしょう。

特にストーブを好む猫や、遊び盛りで部屋中を駆け回る猫がいるご家庭では参考にしてみてください。

3.熱中症

ぐったりする猫

これは意外かもしれませんね。実は、冬場でも熱中症が起こり得ます。

  • エアコンの設定温度が高い
  • 扉の閉め切りによる室温の上昇
  • こたつ内で眠り込んでしまう

上記のような状態が続くと、猫が熱中症になる可能性が高まります。そのため、以下のような対策をとりしょう。

  • エアコンは26℃前後に設定する
  • 涼しい空間を作りいつでも移動できる環境を整える
  • こたつ布団に隙間をつくり外気を取り込む

我々の中には"猫は寒さに弱い"という認識がありますが、実際には心地よいと感じる温度感は人間と似通っています。

つまり、人間が暑いと感じる空間は猫にも暑いのです。常時室温が25℃〜26℃程度になるように工夫してみてください。ちなみにシニアは28℃、子猫の場合は30℃程度が適温です。

これを参考に、猫が暑いと感じたらいつでも涼しい場所に移動できるようにしておくと安心です。

4.脱水や酸欠

こたつに入る猫

こたつを好む猫にふりかかるリスクはもう1つあります。それは『脱水』と『酸欠』のリスクです。

こたつは本来、足を入れて使用する暖房器具。全身を入れることを想定した作りにはなっておりません。しかし猫は体が小さいうえに穴蔵のような空間を好むことから、なんのためらいもなく潜り込んでしまいます。

これが結果的に酸欠や脱水を招くのです。したがって、愛猫がこたつを好む場合は密閉状態にならないように気をつけましょう。隙間を作り、空気を送り込んであげてくださいね。

連続使用は避け、ある程度温まってきたら電源を切っておくことも大切です。

5.膀胱炎や尿石症

トイレに入る猫

皆様は、寒くてトイレに行くこと自体が億劫になり、気づけば膀胱炎になっていたという経験はありませんか?

実は猫にも似通った現象が起こり得ます。猫も冷え込んだ室内を移動してトイレに行くのが面倒だと感じるものなのです。

加えて猫は元々水分補給が苦手なうえに、さらに億劫で(寒いからという理由で)ますます水を飲まなくなるという悪循環が起こりやすくなります。

その結果、膀胱炎や尿石症などを招いてしまうのです。そう、寒い季節はオシッコのトラブルが頻発する時期として警戒しなければなりません。

暖かい部屋にもトイレを設置し、なるべく猫がトイレに行きやすい環境を整えるのも一つです。

水分補給に関しては、人肌程度に温めたスープ状の食事を取り入れるのも一つの手です。もちろん、普通の水も積極的に飲んでもらいたいので、暖かい部屋に水飲みスポットを作ってあげてください。

尚、飲み水は腐敗を防ぐ意味では水道水がベターです。日頃から湯冷ましを飲ませているご家庭ではこまめに水を取り替え、いつでも新鮮な水が飲めるようにしてあげてください。

これまで膀胱炎や尿石症の既往歴がある猫はもちろんのこと、新たに発症する恐れもあるので気をつけてください。

6.呼吸器系の病気

診察を受ける猫

冬に多くなるものとして、もう1つ『呼吸器系の病気』が挙げられます。具体的には上気道感染症(猫風邪)・猫カリシウイルス・猫喘息などに注意が必要です。

これらの病気の発症、もしくは再発の引き金となるのは『乾燥』です。室内にタオルや衣類を干したり、加湿器を利用して湿度を整えておきましょう。

猫が快適に過ごせる湿度は50%〜60%です。特に乾燥しやすいこの時期は60%を目安に湿度を上げてください。

特に抵抗力の弱い子猫や高齢の猫は、過去に引いた猫風邪が再発しやすいので気を配ってあげてください。

まとめ

雪景色を眺める猫

冬は暖房器具によるケガや事故、冷え込みや乾燥が引き金となる病気になりやすい傾向があります。

愛猫が安全に、そして快適に過ごせるように守ってあげてください。ちなみに我が家では、あえて猫が入っていない時間帯にこたつを温め、使用時には電源を切るようにしています。参考にしてみてください。

ちなみに今回は割愛しましたが、冬場はお腹の調子が崩れやすい猫や、関節炎がひどくなる猫もいます。

いずれも室内を適温に保つことも予防の一つになります。大好きなおやつで誘導しながら適度に動く習慣を作ってみてください。

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