猫の『血液型』にまつわる基礎知識5つ 事前に知っておきたい理由から調べる方法まで

猫の『血液型』にまつわる基礎知識5つ 事前に知っておきたい理由から調べる方法まで

猫の血液型の特徴は?人間とは何が違うの?今回は『血液型』にまつわる基礎知識を一挙ご紹介!知ってるメリットや実際に型を調べる方法についても解説いたします。

SupervisorImage

記事の監修

2009年麻布大学獣医学部獣医学科を卒業。
2015年から横浜市内で妻と動物病院を営み、犬、猫、エキゾチックアニマルの診療を行なっています。
2024年現在、犬10頭、猫3頭、多数の爬虫類と暮らしています。
愛犬家、愛猫家として飼い主様に寄り添った診療を心がけています。
内科(循環器、内分泌など)、歯科、産科に力を入れています。

『猫の血液型』にまつわる基礎知識5つ!

血液型

もしも愛猫が事故に巻き込まれてしまったら、失血を伴う大怪我をしてしまったら、貧血を伴う病気になってしまったら…?実は、猫の場合も他の猫から血を分けてもらう『輸血』という選択肢があります。

でもそのためには、『血液型』を把握しておく必要があります。なぜなら、同じ血液型同士でなければ輸血ができないからです。

ところで、猫にはO型のような万能選手的な存在はいないのでしょうか。ということで、今回は『猫の血液型』に関する基礎知識を5つ紹介いたします。

1.猫に『O型』はいない

猫の集団

猫の血液型は『AB式』であるため、A型・B型・AB型の3種類のみとなり、O型は存在しません。

さらに興味深いことに、猫の多くはA型(全体の95%)であることが明らかになっています。その他B型は少数、AB型に至っては非常に稀となっています。

ちなみに日本古来の雑種猫やミックス猫のほとんどはA型です。純血種ではアメリカンショートヘアはほぼ100%A型という特徴を持っています。

2.『B型』からの繁殖には注意が必要

猫の子育て

母猫がA型の場合、B型の子猫が母乳を飲んでも何ら支障はありません。しかしながら、逆のパターンでは事情が異なります。

A型もしくはAB型の子猫がB型の母乳を飲んだ場合、赤血球が破壊されて重度の貧血となり、命を落としてしまうのです。これを『新生児溶血』といいます。

愛猫の繁殖を希望する場合は、必ず血液型を把握しておきましょう。B型の場合は繁殖を控えるか、人工哺育を用いて育てるようにしてください。

3.ブリショは『B型』の割合が若干多い

ブリショ

いわゆる"ブリショ"こと、ブリティッシュショートヘアは他の猫種と比べてB型が多いという特徴があります。

先に説明した繁殖の件もさることながら、輸血においても血液型が一致する猫を見つけるのに難航するケースがあります。

とはいえ、悲観する必要は全くありません。血液型は採血を用いて調べることができます。

4.血液型の判別には"特殊なキット"が必要

血液型の検査

これまでの流れから"愛猫の血液型"に興味が湧いてきた飼い主さんも多いのではないでしょうか。気になる方はまず、かかりつけの動物病院に相談してみてください。

多くの場合は外部に検査を委託する『外注』という形をとることになるかと思います。ここからはこのケースを前提に、血液型の調べ方を紹介していきます。

まず、検査に必要な血液自体はかかりつけの動物病院で採取することができます。健康診断のついでに依頼しても大丈夫です。ただし、健康状態が良好な時のほうが正確な判別が得られます。そこだけは注意が必要です。

次に判別用の血液を外部の機関に送ります。おそらく動物病院経由で送ってもらえるとは思いますが、気になる方は事前に確認しておくと安心です。

依頼された検査機関では、特殊なキットを用いて判別します。実はこのキットが通常の動物病院にはない場合が多いため、外注扱いの検査になるのです。

手元(動物病院側)に結果が届くまでにはおおよそ1週間〜2週間程度の時間がかかります。これも踏まえて、元気なうちに調べておくことが理想です。

費用は病院によって異なりますが、概ね1万円程度が相場となります。

5.猫もドナー登録・ドナー探しができる

PCを見る猫

血液型の話からは逸脱してしまうかもしれませんが、いざという時に役立つ情報を紹介していきます。

まず一定の条件をクリアしていれば『ドナー登録』をすることが可能です。関心のある方は『猫 ドナー登録』と検索してみてください。

次に愛猫が輸血を必要とする際に、"団体検索"という手段を用いてドナーが探せるということを覚えておくと便利です。

その一例として『いぬねこ輸血協力隊』という機関があります。また、この機関の仲介人となる人物は『福ちゃん先生』という輸血を専門とする獣医師です。"輸血といえば福ちゃん先生"とインプットしておくと安心ですね。

もちろん福ちゃん先生主催の機関以外にも、ドナーを紹介してくれる機関があるので、興味のある方は調べてみてください。

ちなみに地域の動物病院にも『供血猫』がいるケースがあります。彼らは血液を提供してくれる病院常駐の猫で、安全面や健康面を考慮したうえで輸血に協力してくれます。

まとめ

診察を受ける猫

今回は、猫の血液型にまつわる基礎知識と予め知っておくメリット、実際の検査方法などを紹介いたしました。

人間とは異なり、猫の血液型の分布は偏りがあることが印象的でしたね。また、母乳に関する事情もインパクトが強かったように思います。

皆様はどうでしたか?この記事が少しでも皆様の猫ライフのお役に立てれば嬉しいです。

スポンサーリンク