理由1.爪の生え変わりを助ける

猫の爪は、人間の爪のように伸びていくタイプではなく、層状に重なった構造をしています。外側の層が古くなると、はがれ落ちて新しい爪になります。
野生の猫は木登りなどによって古い層が自然にはがれやすいですが、室内飼いの猫は爪とぎの頻度が少なくなりがちです。そのため、自分で噛んだり引っ張ったりして、爪の生え変わりを助けることがあります。
基本的には正常なセルフケアであり、心配はいりません。ただし、特定の爪だけを頻繁に気にするような場合は、爪が割れていたり、肉球に食い込んでいたりする可能性があるため、注意しましょう。
理由2:グルーミングの一環

猫はきれい好きな動物。毛づくろい(グルーミング)には被毛だけでなく、爪や肉球の間の汚れを落とすためのケアも含まれており、ごはんやトイレの後などに爪先を噛んだり引っ張ったりすることがあります。
また、猫は足先の感覚が鋭いため、ほんのわずかな異物でも気にすることが多いです。トイレの砂などが爪の間に入り込むと、違和感から噛んだりすることもあります。
1日に数回、丁寧にグルーミングしているだけであれば、問題はありません。
長時間噛んだりしているようであれば、異物や挟まっているものがないかチェックしてあげましょう。
理由3.ストレスのサイン

猫がしきりに爪を噛んでいたら、ストレスを抱えているサインかもしれません。
猫は、環境の変化にとても敏感な動物です。引っ越しや突然の来客、同居猫の増加など、ささいなことでもストレスを感じます。緊張や不安を解消したり、自分を落ち着かせたりするために、爪を噛むことがあります。
こうした場合は、食欲不振や過剰なグルーミングといった他のストレスサインも見られることがほとんどです。
まずは、何がストレスになっているのか原因をしっかりと探りましょう。そのうえで、猫が安心できる空間を作る、一緒に過ごす時間を増やすといった対策を。
理由4.ケガや病気による違和感・痛み

猫が特定の爪をしつこく噛んだり、足を気にして歩き方が変になったりしているときは、ケガや病気が原因かもしれません。
爪が折れる・割れる、爪の根元に炎症がある、ガラス片や砂などの異物が挟まった、ノミ・ダニに感染して爪周りの皮膚がかゆい、といったような様々な原因が考えられます。
また、糖尿病や免疫異常などの場合は、皮膚トラブルが起きやすく、爪に異変があらわれることがあります。
常に爪を気にする、出血や腫れがあるといった異変が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
まとめ

猫の爪噛み行動は、古い爪をはがす、汚れを落とすといった習性にならった、自然な”セルフケア”の一環です。
しかし、しつこく特定の爪を気にしたり、血がにじむほど噛んだりする場合は、病気やけが、ストレスのサインの可能性もあります。
ブラッシングや耳掃除などのお手入れの際に、爪の状態も観察し、伸びすぎや割れ、出血がないかをチェックしましょう。
手を触られるのを嫌がる猫も多いので、まずは遊びやスキンシップの一環として慣らすのもおすすめです。
そして、「何かおかしいな」と感じたら、迷わず獣医師に相談を。
小さな行動の変化を見逃さないことが、愛猫との幸せで快適な毎日を守ることにつながります。