1.生活環境の変化

猫は自分が暮らす環境が変化することが苦手で、引っ越しや模様替えで見慣れた空間が一変してしまうと強い不安を感じてしまうのです。
これは場所の変化だけでなく、新しい家族やペットが来たときも同様です。知らない存在が自分のテリトリーにいることは、猫にとっては、体調を崩すほどの大きなストレスとなることがあります。
こうした変化による不安があると、飼い主への過剰な甘え行動や後追い、夜鳴きなど子猫に戻ったような行動を起こすようになります。ストレスが強い場合には、さらにトイレ以外の粗相や過剰グルーミングなども出てきます。
対処法としては、以前から使っているお気に入りの毛布やベッドで安心できる場所を作ってあげることが大切です。新しい環境に慣れるまでは、その場所は猫専用の安全地帯として、できるだけ触れないようにすることがポイントです。
そして猫が甘えてくるときはできるだけ時間を取って、いつも以上にスキンシップをしてあげましょう。
2.なんとなく寂しい

飼い主が仕事で忙しく連日帰りが遅いときや、ほかのことに夢中で構ってくれない時間が増えたときなどに、愛情を求めて急に甘えん坊になるケースもあります。
猫がなんとなく寂しいなぁと感じているときは、抱っこすると離れない、飼い主さんに前足でふみふみする、足元で鳴き続けるという子猫時代の行動パターンが現れることがあります。これらの行動は、もともとは母猫に対して示していた甘えの行動です。
対処法としては、猫との触れ合いを毎日の習慣にすることです。毎日決まった時間に10〜15分でも撫でたり遊んだりする時間を確保しましょう。猫は予測可能なルーティンを好むため、決まった時間にふれあうことで安心し、過度な赤ちゃん返りも落ち着いていきます。
簡単にできそうですが、根本的な原因が不安によるものなので、飼い主さんの猫への対応もあわせて改善していく必要があります。多少時間がかかりますが、根気強くやっていきましょう。
3.軽い体調不良

猫は基本的に体調が悪いことを隠そうとしますが、それほど重症ではないときには、なんとなく赤ちゃん返りのような行動を見せることがあります。たとえば、お腹に溜まった毛玉による吐き気や便意があるのにスムーズに出ないようなときです。
体の違和感を早く取り除きたいという気持ちから、飼い主に助けを求めるように甘えてくることがあります。
特にふだんからしっかりとして自立している猫が急に甘えん坊になったり、飼い主の後をついて回ったり、過度に鳴くようになった場合は要注意です。
たとえば、急な食欲不振、排泄の回数や状態の変化、動きが鈍くなる、毛づやが落ちるといったサインが見られたら、体調不良を疑ってください。
まず自宅での食欲の変化、トイレの回数など、いつもと違う様子がないか細かくチェックしましょう。健康状態を確認して、気になる症状があれば早めに動物病院を受診することが大切です。早期発見により重症化を防ぐことができる場合があります。
まとめ

猫の赤ちゃん返りは、不安や違和感などの猫の気持ちによって起きる行動です。引っ越しや新しい家族など、 明らかに飼い主が関わっている原因は気づきやすいものですが、軽い体調不良などは見てもわからないことも少なくありません。
もし、急に甘えが出てきたら、いつから行動が変わったか、その前後に何があったか時系列でメモしておくとよいかもしれません。
また、健康チェックを最優先することも大切です。食欲や排便はわかりやすい指標ですが、いつもと変わらず特に原因がわからなければ、まず動物病院で診断してもらいましょう。
心配なときは、環境に変化がない→健康に問題ない→スキンシップ不足の可能性かもしれないと、消去法で考えるとよいでしょう。
同時に、赤ちゃん返りがあっても猫と生活する上で問題にならない限りは、甘やかしてあげることも決して悪いことではありません。甘えも信頼している証なので、猫のペースに寄り添ってあげてください。