猫が口笛に反応する意外な理由5つ

猫の前で口笛を吹くと、体の一部や顔をぴくっと動かしたり近づいてきたりといった反応を見せることがあります。その理由は、猫の聴覚や記憶などに影響しているのです。
1.高周波音が猫の注意を引くから
猫の聴覚は優れていて、人間が聞き取れる音よりもはるかに高周波の音を拾うことができます。人間が20~20,000Hzほどのところ、猫は40~85,000Hzもの可聴域(聞き取れる音の周波数)があると言われているのです。
口笛の高音は猫の可聴域に入り注意を引きます。微妙な音の変化にも敏感に反応するため、「何の音だろう?」と耳を動かしてしまうのです。
2.鳥や小動物の鳴き声に似ているから
口笛の音は、鳥や小動物の鳴き声に似ているようで、猫の狩猟本能をくすぐります。口笛を吹いた時に、外を見ていた猫が急に耳を立てたり、窓際に駆け寄ったりするのは「獲物発見!」と勘違いしている可能性があるでしょう。騙すつもりはなくても、ちょっと申し訳なくなりますね…。
3.飼い主の呼びかけだと勘違いするから
猫は人の声を音の高さや話し方のリズムで識別しています。口笛が飼い主の声のトーンと似ていると感じられる場合、「飼い主が自分を呼んでいる」と誤解することがあるのです。すると、口笛の音を聞いて近寄ってきたり、返事をするような反応を見せることがあります。
4.音の方向がつかみにくく、不安を感じるから
口笛の音の特性として、高周波の音波は障害物に反射しやすく、空間のどの方向から聞こえているかが分かりにくいです。方向感覚に優れた猫にとっては違和感があり、「どこから聞こえてるんだろう?」と耳をピクピク動かして探したり、そわそわと落ち着きがなくなることがあります。
5.過去の経験と結びついて記憶しているから
猫は過去の経験から学習する動物です。以前に驚いたり怒られたりした場面で口笛が鳴っていた場合、辛い体験と紐づいて「嫌な音」として記憶されることがあります。猫が賢いがゆえに、一度ネガティブに学習してしまった音は、同じ音を聞いただけで警戒やストレス反応を示す原因になるのです。
猫が口笛を不快に感じているサイン

猫が口笛の音を「不快」と感じているとき、体や表情にサインが現れます。
代表的なのは、
- 耳を後ろに倒す
 - 尻尾を強く振る
 - 瞳孔が開く
 - 背中の毛を逆立てる
 - 急に毛づくろいを始める
 
といった行動で、猫が「やめて」「警戒している」と伝えているサインなのです。中には無言でその場を離れたり、身を隠してしまう猫もいます。
猫は大きな声で抗議しないぶん、体や表情、仕草の微妙な変化に注意することが大切です。特に寝ている時やくつろいでいる時に突然口笛を吹くと、猫は驚きやすく、信頼関係にも影響します。
口笛が引き起こすストレスの影響

猫は強いストレスを感じると、食欲不振・嘔吐・過剰な毛づくろいなどの症状を起こすことがあります。
猫の前で突然口笛を吹いたり、大きな音で口笛を吹いたりすると、驚きから精神的負担がかかり慢性的な緊張状態を招くことも。
さらに、猫に不快な音を繰り返し聞かせると、「この人のそばは安心できない」と学習して飼い主への信頼を損なう恐れもあります。
もし猫が怯えたり、耳を伏せたりするようならすぐに口笛をやめましょう。代わりにやさしい声で呼びかけ、安心できるよう適度に距離を保つことが信頼関係の回復につながります。
まとめ

猫が口笛に反応するのは、高周波の音に敏感な聴覚や、狩猟本能、過去の経験などが関係しています。しかし、その反応が「興味」なのか「不快」なのかは猫ごとの性格や状況によっても異なるため、猫が発するサインを見極めることが大切です。
耳を伏せたり逃げたりするようなら明確な「やめて」のサイン。猫の繊細な聴覚は、ちょっとした音でも負担になってしまいます。
好奇心で吹いた口笛が、猫にとってストレスになる場合もあります。音よりも、日々のコミュニケーションや静かな優しさで心を通わせるほうが絆を深める近道です。