1.頬の大きさと張り具合

オス猫は繁殖期にオス同士の闘争があることから、先天的に身体を守るよう頑丈に成長していきます。特に未去勢のオスは、顔の筋肉や皮下脂肪も発達して、頬が丸く盛り上がったように大きくなるので、メスにはない「顔の大きさ」が見分けるポイントのひとつになります。
この頬の張りは、分泌されるテストステロンによって成長するため、去勢後にホルモン分泌が減ることから、時間とともに頬の張りが少しずつ落ち着いたり、早期の去勢でそもそも大きくならなかったりすることがあります。
2.ウィスカーパッド(ヒゲ袋)の盛り上がり

頬の張り方と同様に、猫はヒゲの根元・ウィスカーパッドにもオスとメスで多少の違いが見られます。顔全体が筋肉質になるオスは、ウィスカーパッドがメスよりもぷっくりと張り出して立体的になっています。
一方、メス猫や子猫、性ホルモンの影響が弱い去勢済みのオスは、ウィスカーパッドの盛り上がりは控えめなので顔立ちはすっきりとしています。
ウィスカーパッドの盛り上がりには個体差が大きく、毛の長さや体格などでも見え方が多少変わります。また、感覚神経が集まっている場所なので、おもちゃに集中してヒゲが前に向いているときには、オス・メス関係なくふっくらとして見えることがあります。
3.鼻の大きさ・鼻筋の太さ

メス猫と比べると、オスの鼻は大きくどっしりとして目立ちます。目頭から鼻の幅がほぼ同じくらいです。メス猫の場合は、鼻の中央の幅がいくらか控えめです。
オス猫は特に成猫になると骨格がしっかりして、顔全体の筋肉が発達して厚みが増すことから、鼻筋全体が太く力強い印象を与えるのです。一方、メス猫は顔立ちが小ぶりで、鼻筋もスッとしているので全体として優しい印象を受けます。
鼻幅の違いは、成長段階や年齢によっても多少変化します。子猫や若いオス猫はメスのようにスッとした鼻筋をしているので鼻だけではオスかメスかはわかりにくいことがあります。
4.おでこの広さ

狭い土地のことを「猫のひたいのようだ」と形容するように、猫には人間のように眉から髪の生え際までのおでこがなく、大きな目のすぐ上に耳がこちらを向いて付いています。ところが、オスとメスでは、おでこの広さにも違いが見られます。
オス猫は頭蓋骨の骨格そのものが大きく発達し、前頭部が横方向に広がっているため、おでこが広く平らな印象を与えます。正面から見たときに、おでこから頭頂部が四角っぽく、どっしりとした印象になります。
一方、メス猫は頭の骨も比較的コンパクトなので、おでこの幅も狭めです。横幅の発達が控えめなため、正面から見ると両耳の間の幅が狭く、顔の輪郭は逆三角形の「小顔」な印象になります。
まとめ

猫の性別による顔立ちの違いは、主に性ホルモンの影響です。特に去勢されていないオスの成猫は、テストステロンの影響で頭の骨も顔の筋肉もしっかりと大きく発達し、男性的な顔立ちになります。まさに、ボス猫というイメージがぴったりです。
ただし、若い猫や去勢・避妊手術をした猫は性ホルモンの影響が少ないため、これらの特徴が出にくく、オスかメスかの違いは見た目だけでは見分けにくいこともあります。
また、品種や個体差もかなり影響するため、あくまで参考程度に考えましょう。正確にオスかメスかを知りたい場合は、生殖器を確認するか、獣医師に相談するといいでしょう。