1.不適切な餌やり

飼い主のいない猫への餌やりは、一見善意の行為に思えますが、無計画に行うと近隣トラブルや衛生問題につながる可能性があります。とくに、複数の猫が集まって騒音や糞尿被害が発生したような場合、近隣との摩擦が生じやすくなるでしょう。
日本では、餌やりそのものを禁止する法律はありませんが、周辺環境を悪化させた場合に都道府県知事は餌やりをやめるように、指導・勧告・命令することができるとしています。なお、命令に従わない場合は50万円以下の罰金が科される場合もありえます。
また、自治体によっては条例で飼い主のいない猫への餌やりを規制しています。餌やりを行う場合は地域のルールを確認し、管理された環境で適切に行う必要があるでしょう。
2.野良猫の駆除

野良猫は「愛護動物」であるため、駆除を目的とした殺傷や虐待は法律で厳しく禁止されています。特に、毒餌を与えて猫を殺傷したり、トラバサミ(捕獲用の罠)を使用して大怪我を負わせたりする行為は、「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」に違反します。
毒餌を使用した場合は、愛護動物をみだりに殺傷したと見なされ、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されます。また、毒餌は他人のペットや子どもにも危害を及ぼす極めて危険な行為です。
トラバサミは、愛護動物の殺傷にあたるだけでなく「鳥獣保護管理法」により原則使用が禁止されている危険な猟具でもあります。こちらに違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
3.無理に近づく・触れる

野良猫に遭遇した際、安易に近づいたり、触ろうとしたりするのは、猫にとっても人にとっても危険な行為なのでやめましょう。
人に慣れていない野良猫にとって、人間に接近されることは強いストレスになります。恐怖心から身を守るために威嚇したり、突然噛んだり引っ掻いたりする可能性も否定できません。
噛まれたり引っ掻かれたりした場合には、パスツレラ症や猫ひっかき病などの人獣共通感染症にかかるリスクがあり、抵抗力の弱い子どもや高齢者は特に注意が必要です。
野良猫に触れた際は、感染症のリスクを避けるため、必ず手を洗いましょう。猫を飼っている場合は、野良猫が持っている病原菌やウイルスを持ち込んでしまい、愛猫に感染させてしまうリスクがあるため、細心の注意が必要です。
4.暴力的な行為

野良猫に対して暴行を加える行為やみだりに傷つける行為は、動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)によって禁止されている犯罪行為です。
猫は「愛護動物」に指定されており、みだりに殺傷した場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金という非常に重い罰則が科せられます。
また、身体に外傷を生じる恐れのある暴行を加えるといった虐待を行った者に対しても、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
猫による糞尿被害や騒音に悩まされることがあっても、決して感情的に猫を傷つける行為に及んではいけません。これは法律で禁止されているだけでなく、人道的な観点からも許されない行為です。
まとめ

野良猫に関わる行動は、一歩間違えると猫や周囲の人に危害を与え、動物愛護管理法などの法律違反につながる可能性があります。無責任な餌やり、毒餌やトラバサミを使った違法な駆除、無理な接触、暴行を加えるといった虐待行為は、処罰の対象となる可能性もあります。
猫の安全を守り、地域住民とのトラブルを避けるには、地域のルールに従い、適切な距離を保って接することが重要です。
それでも問題が発生した際は、個人で解決しようとせず、自治体に相談することをおすすめします。