猫の『口臭』が気になったら疑うべき4つの病気 痛みを我慢している場合も

猫の『口臭』が気になったら疑うべき4つの病気 痛みを我慢している場合も

猫の口臭を日頃からチェックしていない飼い主さんもいるかもしれませんが、実は口臭の変化は病気のサインである場合があります。なかには、歯周病や腎臓病など放置できない疾患が潜んでいる可能性も。さらに猫は痛みを隠す習性があるため、行動の変化にも注意が必要です。この記事では、口臭から疑うべき病気と、見逃したくない痛みのサインを解説します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

1.歯周病や口内炎

猫の歯

猫の口臭の多くは、歯周病や口内炎といった口腔内のトラブルが関係しています。歯石がたまると細菌が繁殖し、炎症が進むことで強い臭いを発するようになります。

特に歯周病は進行すると歯がぐらつくだけでなく、顎の骨にまで影響を与えることもあるため放置するのは危険です。

また、免疫異常やウイルス感染によって口内炎を起こす猫も多く、ひどいケースでは食欲低下やよだれの増加につながります。普段から歯磨きをする習慣がない猫はリスクが高いため、定期的な口腔ケアや動物病院での歯石除去が欠かせません。

「口が臭い」だけでなく「食べ方が変わった」「固いものを避ける」などの行動もあれば、状態が悪化している可能性があるので早めに受診しましょう。

2.腎臓病

水を飲む猫

猫に多い慢性腎臓病も、口臭の原因として見逃せません。腎臓の機能が低下すると、老廃物を体外に排出できず血液中に蓄積し、アンモニアのようなツンとした口臭に変わるのが特徴です。

腎臓病はシニア猫に特に多く、病気が進行するまで症状が目立たないため、口臭がきっかけで発覚するケースも少なくありません。他にも、水をよく飲む、尿の量が増える、体重が減ってきたといったサインが同時に見られることがあります。

放置すると取り返しがつかなくなるため、定期的な血液検査や尿検査を行うようにしましょう。口臭が急に変化した場合は腎臓病の可能性を疑い、速やかに病院で相談してください。

3.糖尿病

血糖値計測をする猫

猫が甘酸っぱいフルーツのような口臭を放つ場合、糖尿病のサインである可能性があります。

糖尿病ではインスリンがうまく働かなくなり、体がブドウ糖をうまく利用できなくなるため、代わりに脂肪を分解してエネルギーに変えようとします。その過程で生じる「ケトン体」が血液に増えると、独特の甘酸っぱい臭いが口から漂うのです。

糖尿病の猫は多飲多尿、急な体重減少、食欲の増減などの症状を示すことが多く、放置すると命に関わる「ケトアシドーシス」に進行する危険があります。口臭とあわせて普段と違う行動を取っている場合には至急の受診が必要です。

4.消化器疾患や肝臓病

吐きそうな猫

口腔や腎臓以外にも、胃腸や肝臓などの内臓トラブルが口臭の原因になることがあります。消化器系の異常で食べ物がうまく消化されないと、ガスや腐敗臭に似た臭いが口から漏れ出る場合があるのです。

また、肝臓病では血液中の毒素が分解されず、口臭や黄疸、食欲低下などを引き起こすことがあります。特に若い猫でも異物誤飲や胃腸の炎症によって口臭が強くなるケースがあるため、「年齢が若いから安心」とは言えません。

内臓疾患は進行するまで気づきにくいことが多いため、口臭が長引く、吐き気や下痢を伴うなどの症状が見られるときは、迷わず動物病院に相談してください。

猫が痛みを我慢しているときのサイン

うずくまる猫

猫は本能的に痛みを隠す動物です。そのため、病気が進行していても「口臭」だけが目立ち、その他の症状が見逃されることがあります。

痛みを我慢しているときによく見られるサインには、食欲の低下、毛づくろいをしなくなる、口を触られるのを嫌がる、隠れて過ごす時間が増えるなどがあります。中には「性格が変わった」「急に攻撃的になった」と感じるケースもあり、痛みや不快感を現しているサインである可能性が高いです。

飼い主が「気のせい」と流してしまうと病気の発見が遅れてしまいます。普段の仕草や態度をよく観察し、小さな違和感を見逃さないことが健康維持につながります。

まとめ

歯ブラシを抱えた猫

猫の口臭は単なる口内の問題にとどまらず、腎臓病や糖尿病、肝臓病といった命に関わる病気のサインである可能性があります。さらに猫は痛みを隠す習性があるため、口臭に加えて食欲や行動の変化が見られた場合は特に注意が必要です。

健康維持のためにも、日頃から歯磨きをするなど口の中をチェックする習慣を持ち、定期的に健康診断を受けることが早期発見とスムーズな治療につながります。少しでも愛猫の様子に異常を感じたら、迷わず動物病院を受診しましょう。

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